2016/12/02発行 ジャピオン893号掲載記事

心と体のメンテナンス

歯列矯正の最新技術(前編)

歯型作成の苦痛を解消 治療開始も2週間早く

歯型作成について教えてください。

 歯科医院で歯型をとってもらったことのある人は多いと思います。歯型は、英語で「インプレッション(impression)」といいます。

 歯型をとったら、それに石膏(せっこう)を流し込み、歯列の模型を作ります。クラウン(かぶせ物)や入れ歯などの人工歯は、この模型を基に患者ごとにカスタマイズして作ります。私の専門は歯並びを改善する歯列矯正ですが、その場合も、模型を基に治療計画を立てます。

 治療の目的が何であれ、その成功のためには、まずは歯列模型が正確であることが大事です。

歯型をとり、模型を作る際の問題点とは?

 まず、患者の不快感という問題が一つあります。歯型をとるときは、「印象剤」という、型をとるための粘土状の 材料を専用トレーに詰め、上下の歯列に別々に押し付けます。印象剤が固まるまで、1、2分ほど歯列に着装したまま待ちますが、このとき印象剤の独特のにおいや不快な味、ネバネバした感じで気持ち悪くなったり、吐き気をもよおしたりする人がいます。「歯型をとられるのは苦手」という人は、実は少なくありません。

 次に、歯型を基に模型を作る段階で、「誤差」が生じる可能性です。歯型に石膏を流し込み、乾いたらそれを歯型から外して模型を作るのですが、外す過程で石膏が欠ける可能性があります。石膏に混ぜる水の温度によっては、乾燥段階で石膏が膨張または縮小し、模型が変形することもあります。
 その後、模型を専用ラボに送り、人工歯や、歯列矯正のためのアプライアンス(歯に装着する装置・器具)の作成を手配します。

 このように、歯型から模型を作る従来の方法では、治療開始までに時間がかかるという問題もありました。

デジタル・インプレッション技術とは?

 従来の模型作成の問題点を解消し、コンピューターで歯と歯列の3Dモデルを作る技術です。当院は「アイテロ・エレメント・スキャナー(iTero Element Scanner)」という最新3Dスキャニング・システムを今年の春導入しました。

 検査では、先端にカメラのついた細長いハンドピースを患者の口の中に入れ、歯列のかみ合わせ部分、外側、内側をなぞるように動かしながら、歯の表面と歯茎をスキャンします。スキャン画像は即座にコンピューターに取り込まれ、歯列の3Dモデルがその場で作成されます。

 デジタル・インプレッション技術の主な特長は、次の通りです。
①快適=印象剤を使わないので、不快感や吐き気が起きにくい。スキャン時間は上下各歯列で2~3分程度。検査中も普通に呼吸でき、唾液をのみ込むのを我慢したり、長時間静止したりする必要がない。
②高精度=ほぼ100%の高精度で歯列模型を作ることができるため、より精密なアプライアンスの作製が可能。
③速い=スキャン結果をモニターでその場で確認できる。歯列模型をラボに配送する代わりに、スキャンデータをインターネット経由でラボに送信するため、アプライアンス作製と治療開始までの時間を短縮できる。

 デジタル・インプレッション技術の場合、歯列矯正によって歯列がどう変わるか、歯列の変化をその場でシミュレーションできることも大きな利点です。患者は治療の結果予測を、自分の目で見て理解することで、通常1・5~2年という長い治療期間中も、モチベーションを保ちやすくなります。

 また、この検査は放射線を使用しません。印象剤を誤飲する心配もないので、高齢者や子供も安心して受けられます。

二重顎や首のたるみは解消できますか?

 熱の力でコラーゲン産生を助ける治療が有効です。状態によって、余分な脂肪の吸引、皮膚の切除、皮膚を引き上げるネックリフトなどの外科的治療を検討します。

インビザラインの場合、デジタル・インプレッションで治療開始がどれくらい早くなりますか?

 インビザラインとは、アライナーと呼ばれる透明で取り外し可能なマウスピースを使い、歯を少しずつ動かす方法です。歯科医師が歯の模型を専用ラボに郵送し、それを基に3Dモデルの作成と治療計画の最終化、アライナー製作が行われます。模型作成からアライナー製作まで通常4週間ですが、デジタル・インプレッション技術によって、最低2週間の短縮が可能です。

※来週は、歯を速く動かす技術について伺います。


 

アイテロ・エレメント・スキャナー(アライン•テクノロジー社開発)を使った歯列スキャン検査の様子。スキャン画像をモニターですぐに確認できる
スクリーンショット 2016-12-02 11.59.59

フランク・ルー先生
Frank Lu, DDS, MS

米国矯正歯科学会認定歯科医師。コロンビア大学歯科・口腔外科学部卒業後、同大学で矯正歯科ポスドク研修修了。子供から大人のインビザラインを含む歯列矯正が専門。米国消費者調査評議会選出の「America’s Top Dentist」(2010年)。米海軍所属歯科医師として日本滞在経験がある。
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