2016/11/11発行 ジャピオン890号掲載記事

心と体のメンテナンス

自毛植毛技術の最新動向(後編)

日本人の髪に適したFUE 研究進む毛髪クローニング

自分に適した自毛植毛治療の選び方は?

 植毛の場合、普通は後頭部や側頭部から毛を採取します。採取方法は、毛包ユニット移植(FUT=(FollicularUnit Transplantation)と、毛包ユニット採取(FUE=Folli- cular Unit Extraction)の主に2種類があり、人によって向き不向きがあります。

 そのうちFUTは、頭皮を帯状に切除し、そこから毛包ユニットを採取します。毛包ユニットとは、一つの毛穴から生えている、毛のごく小さな集まり(束)です。短髪にすると、頭皮の線状の切開痕が見えるかもしれないので、長髪にする人に適した方法です。

 一方のFUEは、毛包ユニットを頭皮から直接採取する、FUTより新しい方法です。FUTと違い、頭皮を帯状に切らないので、線状の切開痕が残りません。短髪にしたい人に向いているほか、傷口が広がるリスクの高い運動選手などにも喜ばれています。

 FUEは、日本人を含むアジア人に特に適した方法でもあります。アジア人は傷口が広がりやすく、しかも毛が硬く、頭皮に垂直に生えていることが多いため、頭皮を切除すると、その痕が目立ちやすいからです。

 当院はFUE用ロボットシステム「アルタス(ARTAS)」を導入しており、毛包ユニットをより正確に、短時間で採取できるようになりました。

 治療費は、FUT、FUE、ロボット使用FUEの中ではFUTが最も安価です。ロボット使用FUEは、毛包ユニットを手作業で採取する従来のFUEよりも、わずかに高価です。

自毛植毛治療は誰でも受けられますか?

 いいえ、治療が適す人と、適さない人がいます。まず、自毛植毛は、後頭部や側頭部から患者自身の毛を採取し、薄毛や脱毛部位に「植え替える」治療です。植え替えできるだけの良質な毛が、十分になければいけません。

 治療対象となるには、ほかにも以下の条件を満たす必要があります。

▽男性型脱毛症の診断を受けている(男性の一般的な遺伝性の進行性脱毛症で、前頭部と頭頂部の毛が薄くなった状態。女性も、このパターンがあれば治療対象になる)。
▽抜け毛抑制剤を試したが、十分な効果を得られなかった。
▽見た目の印象が大きく変わるほど、脱毛が進んでいる。
▽自毛植毛の現実的な効果を理解している、など。

 皮膚に問題があり脱毛した場合や毛が生えない場合、体の免疫機能が毛包を攻撃して起こる円形脱毛症の場合も、治療の対象外です。脱毛は、男性だけの悩みではありません。当院では、植毛治療を受ける患者の約4分の1が女性です。

薄毛・脱毛治療以外に、植毛が施されることはありますか?

 植毛治療は、以前受けた植毛治療の傷痕や、やけど痕、フェイスリフト手術の傷痕などを目立たなくするためにも行われます。

 昔の古いやり方で治療を受けた人の中には、見た目が不自然なので修正したいという人もいます。眉毛の修正や脱毛治療にも、植毛は有効です。

植毛治療は何歳から受けられますか?

 植毛は、若者のための治療ではありません。若いうちは、将来はげるかどうかの予想が大変難しいからです。

 若者の脱毛予防のための技術でもありません。脱毛予防には薬が最も効果的で、中でもプロペシア(Pro- pecia=主成分フィナステリド)やロゲイン(Rogaine=主成分ミノキシジル)が有効です。薬にはいくらか副作用があるので、使用前はそれらを考慮する必要があります。

 一般的に、外科的植毛治療は25歳未満の患者に行うべきではありません。例外はありますが、治療は30歳になるまで待つ方がいいと、私は考えます。

自毛植毛治療の将来は?

 私は今、患者自身の毛髪をクローニング(複製)する研究に他の医師と一緒に取り組んでいます。実用化には10年、またはそれ以上かかりそうですが、はげが進行した人も、少ない毛を増やし、頭部全体に生やすことが可能になります。アルタスも改良が進んでおり、より高度なFUE治療ができるようになるでしょう。

※来週はエリック・K・チャ先生に、アンチエージング治療について伺います。


 

世界初のFUE用ロボットシステムの一つ「アルタス(ARTAS)」を使った治療の様子。従来の手作業の場合よりも、毛包ユニットを正確に、短時間で採取できるようになった(写真提供:バーンスティーン先生)
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ロバート・M・バーンスティーン先生
Robert M. Bernstein, MD, MBA, FAAD, FISHRS

皮膚科医師。毛包移植手術の世界的権威であり、FUT(Follicular Unit Trans- plantation)とFUE(Follicular Unit Ex- traction)の開発者として知られる。ARTAS RoboticSystemを開発したRe- storation Robotics社の医療アドバイザーとして、システム改良に従事。コロンビア大学皮膚科臨床教授。米国皮膚科学会フェロー(FAAD)、国際毛髪再生外科学会フェロー(FISHRS)など。

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