2016/04/08発行 ジャピオン859号掲載記事

心と体のメンテナンス

アレルギーと蓄膿症(前編)

いろいろあるアレルゲン 原因特定し根本から解消

花粉症とアレルギーについて教えてください。

 花粉症とは、植物の花粉が原因で鼻や目に症状が出る病気です。ニューヨークでは例年3月にスギやヒノキなどの樹木の花粉、4月末から5月にかけてブタクサなど雑草類の花粉が飛び始め、花粉症シーズンが始まります。花粉の飛散は夏にいったん収まり、秋に再開します。

 私たちの体には、細菌やウイルスといった病原体の侵入から体を守る「免疫」という防御機構が備わっています。本来体に無害な物質を免疫機構が敵とみなし、過剰に攻撃を仕掛けることで起こるのが、アレルギーあるいはアレルギー性疾患です。花粉症もその一つで、花粉が持つアレルギー物質(抗原/アレルゲン)に免疫が反応する結果、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒(かゆ)み、涙、充血などの症状が現れます。

 

アレルギーの主な原因は?

 花粉のほかにも、食物や薬、ハウスダスト、カビ、ダニ、ペットの毛、昆虫など、アレルゲンにはさまざまな種類があります。春や秋に症状の出る花粉症は分かりやすいのですが、それ以外の物質にアレルギーがあっても、本人が気付いていないことが多々あります。

 例えば、冬に症状の出やすいアレルギー性鼻炎は、ハウスダストやダニ、カビが原因で起こります。窓を閉めきって換気が悪い冬は、これらアレルゲンが室内に増えやすい季節です。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、乾いた咳(せき)が長引き、風邪だと思って受診したら、実はアレルギーだったということは珍しくありません。

 ひと冬に2回以上風邪を引く、あるいは風邪の症状が1週間たっても治らない場合、アレルギー性鼻炎が疑われます。「花粉症ではない=アレルギー体質ではない」ことを覚えておきましょう。

 アレルゲンが何かによって、症状の出る時期やタイミング、症状は異なります。現在は成人の約25%が何らかのアレルギーに悩んでおり、その数は増える一方といわれています。

 

アレルゲンはどのように診断しますか?

 液状にしたアレルゲンを希釈して皮膚にたらし、軽く引っかいて反応を見るスクラッチテスト(スキンテスト)を行います。約15分で結果が分かり、複数のアレルゲンに対し、アレルギーの有無を一度に調べることができます。さらに詳しく調べたいときは、血液を採取してラボに送ります。

 

アレルギーはどのように治療しますか?

 症状が出たら、抗ヒスタミン剤やステロイドの内服薬または点鼻薬で抑えるのが一般的です。しかし、薬の服用はあくまで対症療法です。1年を通じて何らかの症状がある場合や、薬は使いたくない・使えない、アレルギーを根本的に治療または予防したいときは、減感作(げんかんさ)療法をお勧めします。

 減感作療法とは、薄めたアレルゲンを注射することにより、体をアレルゲンに徐々に慣れさせ、免疫の過剰反応が起きにくくする治療法です。薬を使わないので体に優しく、アレルギーの根治を期待できます。ごく細い鍼を使用するので、子供も大抵は痛がらず受けられます。

 ただし、最初の1年程度は毎週通院して注射投与を受け、その後も徐々に頻度を減らしながら治療を続ける必要があります。また、薬と違い、治療効果が出るまで数カ月かかるので、根気よく取り組む必要があります。

 最近は、漢方薬や鍼灸に頼る人も増えています。これらも薬と同じように、一時的に症状を抑える効果はありますが、問題の根本的解消とはいえないようです。

 アレルギーを治療せず放置しておくと、症状が出てつらいだけでなく、例えば鼻炎が慢性化すると副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症になり、手術が必要になることもあります。そうなる前に早めにアレルゲンを特定し、それを避ける工夫や、治療に取り組むことが大事です。

 両親ともにアレルギー体質の場合、子供はほぼ例外なくアレルギーになります。特にアレルギー性鼻炎は症状が緩やかに進行するため、問題の発見が遅れがちです。小さな子供の症状は大人が見逃さないように注意し、早めの診断と治療を心掛けてください。

※後編は、蓄膿症についてお聞きします。

 

スクラッチテスト用キット。希釈したアレルゲン(トレイに小分けされた液体)を皮膚にたらし、軽く引っかいて反応をみる
スクリーンショット 2016-04-07 12.01.56

ジェフリー・M・アン先生
Jeffrey M. Ahn, MD

(写真左から3人目。クリニックのスタッフと)耳鼻咽喉科専門医師。コロンビア大学医学部耳鼻咽喉科教授、同大顔面形成外科クリニック・ディレクター/睡眠障害外科治療ディレクター。子供から大人の鼻炎、鼻づまり、アレルギー疾患などが専門。痛みを最小限に抑えた日帰りの蓄膿症手術や、ロボットを使った睡眠時無呼吸症候群手術で定評がある。

TEL
212-714-9117
WEB
http://www.jeffreyahnmd.com
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