2016/01/22発行 ジャピオン848号掲載記事

心と体のメンテナンス

クレニオセイクラルセラピー(後編)

意外な片頭痛の原因 根気よくすべて解消

クレニオセイクラルセラピー(craniosa- cral therapy)のセッションでは、具体的に何をしますか?

 まず、患者の姿勢や両肩のバランス、骨盤のゆがみ、体重のかかり方、筋力などを観察します。次に、服を着たまま治療台に寝てもらい、頭部や腰、足などに両手で順番に触れ、「クレニオセイクラルリズム」とその強さ、筋肉の機能や柔軟性、関節の可動域などを調べます。

 クレニオセイクラルリズムとは、体内を循環する脳脊髄液の流れが作る体の一定のリズムです。

 クレニオセイクラルセラピーでは、このリズムの乱れや停滞の原因を診断し、体に軽く力を加える程度の手技によって原因を取り除くことにより、不調や症状を解消し、体本来の自然治癒力を高めます。原因や症状によっては、神経モビリゼーション(nerve mobili- zation)や各種マッサージ、ピラティスなどを組み合わせて治療することもあります。

 

神経モビリゼーションとは?

 病気やけが、手術、悪い姿勢など、さまざまな原因による神経の圧迫を取り除いたり、硬くなった神経やその周りの組織をほぐしたりすることで、神経の働きを正常に戻す治療法です。緊張した筋肉や筋膜、血管や関節を包む膜も、手技によってほぐします。

 具体的には次のような症状や病気、けがに有効です。▽腰痛・坐骨神経痛▽頭痛・片頭痛▽(手指の痛み・しびれを特徴とする)手根管症候群▽関節痛▽手術後のリハビリ、など。

 

片頭痛はどのように治療しますか?

 最初にクレニオセイクラルリズムの乱れや停滞の原因を診断し、その解消に取り組みます。症状が何であれ、診断と治療の考え方は同じです。

 体の不快な症状や痛みの原因が、実は思いもかけないことだったということはよくあります。

 片頭痛の場合も、足、例えば中指の神経の圧迫や、忘れていた過去の捻挫(ねんざ)による足首の可動域の低下、臀部(尻)の筋肉の緊張だったりすることがあります。足の中指の緊張をほぐすことから、長年の片頭痛の治療を始めた例もありました。同じ片頭痛でも原因は人によってさまざまで、治療法も人の数だけあります。

 足や首の神経圧迫や、内臓手術後の筋膜の収縮が腰痛の原因だった例、足に合わない靴のせいでひどく圧迫されていた神経をほぐすことで、四十肩が楽になった例もありました。

 セッションは1回45~60分。1回の施術で症状が2~3割ほど軽減するというケースが多いです。ただ、大抵の場合、一つの原因解消に数セッションを要すること、また特に症状が長く続いている場合は、原因が複数のことも多いため、最初の4週間は週2~3回の集中治療を行うことが多々あります。

 治療期間中は、自宅でできる簡単な運動を指導します。不調や症状を訴える人は、体も硬いことが多いため、ストレッチから始め、柔軟になったところで徐々に筋力をつける運動に移ります。

 

クレニオセイクラルセラピーが運動選手のパフォーマンス向上に効果的なのはなぜ?

 意外かもしれませんが、運動選手は筋膜、神経膜、関節、筋肉などが「硬い」ことが多々あります。例えば、けがによって筋膜が収縮して硬くなると、それに関連する関節の動きが低下し、周辺の神経が圧迫されます。その結果、その神経が司る筋肉が硬くなり、体のバランスが悪くなってしまいます。硬くなった筋肉は機能が低いので、運動能力も低下します。

 クレニオセイクラルセラピーでは、このような体の変化・異常をクレニオセイクラルリズムの乱れを通して検出し、その原因の解消に取り組みます。悪循環を断ち切れば、健康な神経と筋肉、関節が維持され、パフォーマンスも自ずと向上するでしょう。

 強調したいのは、「症状緩和=根本原因の解消」ではないということです。根本原因を取り除かない限り、いずれ症状は再発します。再発を予防し、各種症状やけがを自然治癒できる体を手に入れるには、すべての原因を一つずつ、根気よく解消することが大事です。

※来週は精神科医のリサ・M・パトリック先生に、ADHD(注意欠陥多動性障害)についてお聞きします。

 

意外かもしれませんが、運動選手は筋膜、神経膜、関節、筋肉などが「硬い」ことが多々あります。例えば、けがによって筋膜が収縮して硬くなると、それに関連する関節の動きが低下し、周辺の神経が圧迫されます。その結果、その神経が司る筋肉が硬くなり、体のバランスが悪くなってしまいます。硬くなった筋肉は機能が低いので、運動能力も低下します。
スクリーンショット 2016-01-14 19.33.36

矢内圭子先生
Keiko Yanai, PT, DPT

理学療法士。ディレクションズ・フィジカルセラピー院長。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校でフィジカルセラピー博士号(DPT=Doctor of Physical Therapy)取得。クレニオセイクラルセラピー、エクササイズ、各種マッサージなどを組み合わせた、体の不調・症状・病気・けがの治療、リハビリ、自然治癒のできる体作りが専門。子供から高齢者、運動選手、ダンサーなど患者層は幅広い。

Directions Physical Therapy

TEL
212-757-1333
WEB
http://www.directionspt57.com
MAP
57 W. 57th St., #1410 (corner of 57th St. & 6th Ave.)

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画


利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント