2016/01/15発行 ジャピオン847号掲載記事

心と体のメンテナンス

クレニオセイクラルセラピー(前編)

問題の根本原因を解消 体本来の治癒力アップ

クレニオセイクラルセラピー(cranio- sacral therapy)とは?

 体内を循環する脳脊髄液の流れを促進することにより、体本来の自然治癒力を高める治療法です。日本語で頭蓋仙骨療法といいます。

 脳で作られる脳脊髄液は、頭蓋骨を支える脊椎(背骨)に囲まれた管の中を通り、脊椎の一番下の仙骨まで流れています。脳脊髄液は、神経系統で最も重要な脳と脊髄を外部衝撃から守るほか、脳と脊髄に栄養を与えたり、老廃物の体外排出を助けたりする大切な役割を果たしています。

 クレニオセイクラルセラピーでは、まず脳脊髄液の流れが作り出す体の一定のリズムである「クレニオセイクラルリズム」とその強さ、筋肉の機能や柔軟性、関節の可動域などを観察し、リズムの乱れや停滞が起きている場所を診断します。リズムが乱れる主な原因は、けがや手術による影響、姿勢の悪さ、歩き方・立ち方の癖、体の特定部位の偏った使用など。これらの問題を解消して体の柔軟性を取り戻し、リズムの正常化に取り組むことにより、中枢神経の働きを改善し、不調や各種症状、けがを自然治癒できる体作りを目指します。

 クレニオセイクラルリズムは、脳活動の画像検査でも確認されています。

 

施術中は特別な道具を使いますか?

 使いません。クレニオセイクラルセラピーによる診断と治療は、すべて手技によって行います。診断のためにレントゲンを撮ることもなければ、治療のために特別な道具を使う、あるいは薬を処方することもありません。

 静かに流れる川の様子を思い浮かべてください。川のある部分が何らかの原因でせき止められると、下流部や支流、そして上流部の流れが変わります。クレニオセイクラルリズムの場合も、そのリズムには体のあらゆる部位の変化が反映され、またリズム自体の変化と停滞は、体のあらゆる部分に影響を与えます。経験を積んだ施術者は、患者の体に素手で軽く触れるだけでクレニオセイクラルリズムを指先で感じることができます。

 施術中は、服を着たまま治療台に寝てもらいます。そして、施術者が頭部や腰、足などに両手で順番に触れ、クレニオセイクラルリズムを調べます。治療の場合も同様に、リズムに影響を与えている問題部位の「障害」や「制限」を、手技によって取り除きます。

 施術中は体の凝りや緊張がほぐれ、心身ともに深くリラックスできるという人が多いです。

 

クレニオセイクラルセラピーは、どのような症状に有効ですか?

 症状云々の前に、クレニオセイクラルセラピーは症状を緩和・解消する対症療法ではなく、症状の原因解消に取り組むものであることをご理解ください。原因を解消することで、けがや慢性痛といった幅広い症状や病気の緩和と治療に効果があるほか、自然治癒力が高まり、心身に良い変化が現れます。神経・筋肉・関節などのバランスを整えることにより、ダンサーやゴルファーほか運動選手はパフォーマンス向上を期待できます。

 具体的には次のような症状や病気、けがに有効です。▽片頭痛、慢性の首の痛み・腰痛、神経痛▽首・背中・肩の凝り▽脊髄損傷▽股関節のずれや痛み▽顎関節症▽手術後のリハビリ、など。

 症状や問題によっては、クレニオセイクラルセラピーで使われる手技の一つである神経モビリゼーション(nerve mobilization)(本コラム後編で説明)や、各種マッサージ、ピラティスなどを組み合わせます。

 手で軽く触れるだけの、体への負荷が小さいクレニオセイクラルセラピーは、病気療養中の人、けがや手術後のリハビリ中の人、赤ちゃんや小さな子供から高齢者まで、幅広い年齢や症状の人が安心して受けられます。

 

クレニオセイクラルセラピーは、どのような症状に有効ですか?

 施術回数は、問題の原因、症状、重症度などによって決まります。治療法も人によってさまざまで、例えば同じ片頭痛の人でも、治療部位は肩かもしれないし、腰や足かもしれません。

 クレニオセイクラルリズム、言い換えれば体の声をしっかりと聞き、問題の原因を正しく診断することが、治療の第一歩です。

※後編は、施術の進め方や神経モビリゼーションについて伺います。

 

クレニオセイクラルセラピーの施術中は、患者は服を着たまま治療台に仰向けに寝る。施術者が患者の体に両手で軽く触れ、脳脊髄液の流れとリズムを調整する。脳波動が瞑想(めいそう)に似た状態になり、眠ってしまう人もいるという(写真提供:矢内先生)
スクリーンショット 2016-01-14 19.33.36

矢内圭子先生
Keiko Yanai, PT, DPT

理学療法士。ディレクションズ・フィジカルセラピー院長。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校でフィジカルセラピー博士号(DPT=Doctor of Physical Therapy)取得。クレニオセイクラルセラピー、エクササイズ、各種マッサージなどを組み合わせた、体の不調・症状・病気・けがの治療、リハビリ、自然治癒のできる体作りが専門。子供から高齢者、運動選手、ダンサーなど患者層は幅広い。

Directions Physical Therapy

TEL
212-757-1333
WEB
http://www.directionspt57.com
MAP
57 W. 57th St., #1410 (corner of 57th St. & 6th Ave.)

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
「ニューヨークの家賃は学区で決まる」。そうささ...

   
Back Issue 9/14/2018~
Back Issue ~9/7/2018
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント