2016/01/08発行 ジャピオン846号掲載記事

心と体のメンテナンス

成功と幸せをつかむ催眠療法(後編)

負のエネルギーを解消 「自分を愛する」訓練を

「負のエネルギー」の原因を見つける幼児退行療法とは?

 まず負のエネルギーとは、怒り、悲しみ、妬(ねた)みといったネガティブな感情です。原因を探る方法はいろいろありますが、私がよく行うのが幼児退行療法です。負のエネルギーのほとんどは、子供のころの「ささいな経験」に原因があります。幼児退行療法では、催眠下で幼児期までさかのぼり、普段は忘れている、あるいは封じ込めた記憶の中から、負のエネルギーの根本原因を見つけます。

 「特に問題があるわけでもないのに、どうもさえない、楽しくない」と悩んでいた人を例に説明しましょう。催眠下で質問をすると、この人は寂しくなるたびに間食し、気を紛らわせていることが分かりました。また、次第に食べる量が増え、自己嫌悪に陥るパターンを繰り返していました。

 記憶をさらにさかのぼると、3歳の頃に母親から頻繁に叱られ、寂しかったことを思い出しました。その経験が癒やされないまま成長し、寂しい思いをするたびに、「スイッチが入ったように」食べ続けていたのです。

 

負のエネルギーはどのように解消しますか?

 負のエネルギーの正体が分かったら、それを「捕まえて体の外に放り出す」作業をします。「負のエネルギー=寂しさ」という感情を「捕まえる」ことはできませんが、色や形を持つ「エネルギーの塊」をイメージすると分かりやすいかもしれません。作業は催眠下で行うので、実際に体を動かすわけではありませんが、セッション終了後は重労働の後のように息切れし、憑(つ)き物が落ちたように表情がすっきりする人もいます。

 催眠療法の究極の目的は、「自分を愛すること」です。そのため、負のエネルギーを体から出した後は、寂しがっている3歳の頃の自分を抱き締め、「もう心配しなくて大丈夫だよ」と、何度も声を掛けてもらいます。

 大人になった自分は、子供の頃の小さくてかわいい自分を守りたい、幸せになってほしいと思うでしょう。それによって、間違いや失敗もすべて含めて、自分自身を受け入れることができるようになります。好きな人のことは、欠点までもが愛しく感じるものですが、それと同じです。自分を愛しいと思うこと、つまり自分に対する見方が変われば、周囲に対する見方も変わり、さまざまな問題が自ずと解決します。

 負のエネルギーがあると、それだけで心身は疲れてしまいます。負のエネルギーが30の人は、100のエネルギーで仕事をしようとすれば、130のエネルギーが必要だからです。負のエネルギーを解消すれば、それだけエネルギーを生産的かつ効率的に使えます。

 長年の頭痛やひざの痛みが軽減した、肌がきれいになったなど、体が変わったという人も多いです。

 

物の見方を変えるとは?

 過去の出来事や事実を変えることはできませんが、それに対する見方や受け止め方を変えることは可能です。極端なことを言えば、「世の中は非情だ」と最初から決めてかかれば、良いことは見えなくなり、悪いことばかりが目につきます。「世の中=非情」が、自分にとっての真実になるからです。逆に、「世の中は愛にあふれている」という考えでいれば、人の優しさなど、良いことばかりが見えて、毎日が楽しいかもしれません。物の見方を変えるとは、負のエネルギーを解消することでもあります。

 問題や悩み事がない人はいないし、楽しく暮らしていても、ちょっとしたことで傷つくことは誰にでもあるでしょう。大切なのは、問題に直面したときに、自分でそれを解決し、感情をコントロールすることです。

 私たちは、自分が思う以上に自分のことを理解しています。「負のエネルギーの原因は何なのか」「どうすればそれを解消し、問題を解決できるのか」「もっと成功するには、何をどう変えればいいのか」といった問いの答えも、実はすべて分かっています。催眠療法とは、普段使わない95%の脳を催眠下でフルに活用することにより、こうした答えを引き出し、物の見方を変えることとも言えるでしょう。

※来週は理学療法士の矢内圭子先生に、クレニオセイクラルセラピーについてお聞きします。

 

催眠療法中は、ソファに横になって目を閉じる。催眠下でも意識はあり、話したことはすべて覚えているという(写真提供:エミッグさん)
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エミッグ美津さん
Mitsu Emig, MSW

国際メディカル・デンタル・ヒプノセラピー協会認定催眠療法士。ミシガン大学で社会福祉学修士号(MSW=Master of Social Work)取得後、臨床ソーシャルワーカー、サイコセラピストとしてNPO勤務。高所恐怖症を克服しようと催眠療法を受け、関心を持つ。うつやパニック障害、各種依存症などの治療、潜在能力を引き出すサブコンシャス(潜在意識)コーチング、生活改善サービスに注力。

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