2015/12/18発行 ジャピオン844号掲載記事

心と体のメンテナンス

手の美容形成術と静脈瘤治療(後編)

クモ状静脈と下肢静脈瘤 血流改善し外見も美しく

下肢静脈瘤、クモ状静脈とは?

 下肢静脈瘤(varicoseveins)とは、脚にコブやロープ状の太い血管が浮き出る静脈の病気です。足先まで運ばれた血液は、静脈を通って心臓に戻りますが、その際、血液の逆流を防ぐ静脈弁の機能が何らかの原因で低下し、逆流した血液がたまって浮き出た状態が静脈瘤です。

 一方のクモ状静脈(spider veins)は、皮膚表面に近い毛細血管が直径1~2ミリ程度に拡張し、クモの巣状に浮き出た状態です。下肢静脈瘤の場合と同じように血液が逆流し、静脈圧が上昇することによって起こります。

 下肢静脈瘤とクモ状静脈は、約60%のケースで同時に起こります。いずれも原因は未解明ですが、最大の危険因子として遺伝が挙げられます。他にも、妊娠、避妊用ピル、ホルモン補充療法、運動不足、長時間の立ち仕事・座り仕事、肥満、便秘、加齢が危険因子として知られます。

 静脈瘤もクモ状静脈も、最もできやすいのは脚ですが、顔や手、胸、性器周辺に現れることもあります。

 

どのような症状がありますか?

 下肢静脈瘤の主な症状は、脚のむくみ・ズキズキする痛み・ムズムズ感・だるさ・こむら返り(脚のけいれん)などです。放置すると徐々に悪化し、足首の腫れ、皮膚の色素沈着、皮膚が破れて起こる潰瘍や出血と、それらが悪化した状態が続く慢性静脈不全などの合併症を引き起こします。
 
 クモ状静脈は、普通は症状がありませんが、脚の不快感やムズムズ感を訴える人もいます。

 下肢静脈瘤もクモ状静脈も、命にかかわる病気ではありませんが、症状が自然に改善することはないため、悪化する前の早めの治療が大事です。症状がない、あるいは気にならなくても、美容目的で治療を希望する人も多いです。

 

どのように治療しますか?

 静脈瘤の大きさ、静脈圧、問題の場所、重症度、肌のきめ・色などを検討し、適切な治療法を一つ、または複数を組み合わせて行います。治療回数は、血管の大きさや数、場所によって変わります。

 当院で最も頻繁に行う硬化療法(sclerotherapy)は、浮き出た血管に硬化剤を注入し、血管を閉じる方法です。血流が止まった血管は徐々に退化し、 やがて〝消滅〟します(前編参照)。見た目がきれいに若々しくなるだけでなく、問題の血管を閉じることにより、血液が正常な血管に流れ始め、血流が改善します。

 一口で硬化療法と言っても、さまざまな種類があります。例えば、超音波診断装置を使う方法では、問題部位に正確に硬化剤を注入できるようになり、深部の大きな血管も注射だけでより迅速かつ安全に治療が可能になりました。硬化剤も、治療部位によって適切な種類を選びます。

 一度の治療で40~80カ所に注射をしますが、患部に冷気を当てて感覚をまひさせ、その上で振動を与える〝トリック〟を使うことにより、注射針の痛みを感じることはほとんどありません。2~4週間ほど患部が軽く腫れることもありますが、治療日から普通の生活に戻れ、翌日から運動もできます。

 静脈瘤が大きく、皮膚の状態も硬化療法に向かない場合は、静脈瘤切除術(mini-phlebectomy)を検討することもあります。局所麻酔をした上で、ごく小さく皮膚を切開し、そこから静脈瘤を引っ張って切除します。

 

血管内レーザー焼灼(しょうしゃく)術(EVLA=Endovenous Laser Ablation)とは?

 静脈の中にごく細いレーザーファイバーを入れ、血管の内側からレーザーを照射し血管を閉じる方法です。EVLT(Endovenous Laser Treatm- ent)としても知られるこの方法は、当院が開発したもので、静脈瘤の標準的治療として世界的に使われています。局所麻酔をした上で、ファイバー挿入用にごく小さな切開口を作ります。傷跡が残らず、術中に痛みや熱を感じることもありません。

治療法は他にもいろいろあります。それぞれの長所と短所、所用時間、術後のケアと留意点などを検討した上で、医師と相談し、自分に最も合った方法を選んでください。

※来週は催眠療法士のエミッグ美津さんに、成功と幸せのための催眠療法をテーマにお聞きします。

 

下肢静脈瘤の治療前と治療後。肌がスムーズかつ色も明るくなり、血流も改善した(写真提供: Dr. Navarro)
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ルイス・ナバロ先生
Luis Navarro, MD, FACS, FACPh

静脈障害治療の専門医院「ベイン・トリートメント・センター(The Vein Treatment Center)」を1982年創立、院長。米国外科学会フェロー(FACS)、米国静脈学会フェロー(FACPh)。静脈瘤・クモ状静脈治療の権威であり、手の静脈治療のパイオニア。静脈瘤の標準的治療として世界的に知られるレーザー治療法「EVLT」など、複数の治療関連技術を開発し特許を取得。

The Vein Treatment Center

TEL
212-249-6117
WEB
http://veintreatmentcenter.com
MAP
327 E. 65th St. (bet. 1st & 2nd Aves.)

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