2015/09/04発行 ジャピオン829号掲載記事

心と体のメンテナンス

子宮筋腫と治療法(前編)

女性の大半が一度は経験 症状がないまま放置も可

子宮筋腫とは、どういう病気ですか?

成人の子宮は鶏卵程度の大きさで、筋肉でできています。子宮筋腫とは、筋肉の組織が異常に増殖することで発生する良性の腫瘍です。がんではないので、直ちに命にかかわることはありません。

 筋腫は複数できることが多く、大きさはさまざまです。治療せず放置すると徐々に大きくなり、皮膚の上から筋腫に触れたり、妊娠後期のように子宮が大きくなったりする人もいます。ソフトボール大の大きな筋腫が複数できることも、珍しくありません。

 子宮筋腫の原因は、まだはっきりとは解明されていません。しかし、筋腫の成長が女性ホルモンに関連することは分かっており、例えばエストロゲンというホルモンに反応し、筋腫は大きくなります。閉経後は卵巣からの女性ホルモン分泌が止まるため、筋腫の多くは縮小し、症状も気にならなくなります。

 子宮筋腫は、ある程度家族性はあるといわれていますが、単一の遺伝子によって起こるものではありません。複数の遺伝子変異やその他の要因が重なった結果、筋腫ができると考えられています。


年齢や人種での特徴はありますか?

子宮筋腫は年齢とともに徐々に増える病気です。筋腫の発生頻度には人種間で差があり、アフリカ系アメリカ人の8~9割、白人の約7割が、一生のうちある時点で筋腫を持っているといわれます。日本人を含む東洋人の発生頻度は比較的低いとされています。

 子宮筋腫はごく一般的な病気で、無症状の場合も多く、検診でたまたま見つかることが少なくありません。筋腫がごく小さい、あるいは症状がない場合は、直ちに治療をする必要はありません。大半のケースは経過観察で十分です。


子宮筋腫の主な症状を教えてください。

筋腫ができた場所や大きさで症状は異なります。子宮筋腫は、筋腫の場所によって、①子宮の外側に飛び出すようにできた漿膜(しょうまく)下筋腫、②子宮内膜にできた粘膜下筋腫、③子宮の中にできた筋層内筋腫―の三つに大別されます。そのうち最も症状が出やすいのが粘膜下筋腫で、対照的に漿膜下筋腫は、筋腫が相当大きくなっても症状があまりありません。

 典型的な症状は、生理時の出血量が多くなること、つまり生理が重くなることです。どろっとした血の塊が出たり、出血が通常より長く続いたりします。出血量が極端に多いと、それだけで日常生活にかなりの負担になりますが、そのために貧血になると、疲労や立ちくらみ、動悸、倦怠感などの全身症状を伴います。

 ここで言う貧血は、血液検査によって、赤血球とヘモグロビン値が低下していることを指します。重症の場合は、直ちに輸血が必要ですが、そこまでひどい貧血になるケースは、ごくまれです。

 ほかにも、生理痛、不正出血、筋腫が膀胱を圧迫することによる頻尿などが、子宮筋腫の症状として挙げられます。


子宮筋腫の妊娠への影響は?

筋腫があるために、妊娠しにくくなったり、流産や早産を繰り返しやすくなったりする方もいます。しかし、筋腫があっても、問題なく妊娠・出産される人の方が圧倒的に多いのも事実です。そのため、筋腫があっても、必ずしも治療が必要なわけではありません。

 不妊や流産・早産を繰り返す原因がほかになく、特に子宮の内側に筋腫がある場合は、治療の対象になります。妊娠を希望する場合、あるいは妊娠後に筋腫が見つかった場合は、主治医とよく相談してください。


どのように治療しますか?

無症状なら治療は不要ですが、日常生活に支障を来す場合は治療を行います。生理の量が多く貧血がひどい場合は、何らかの治療が必要です。

 主な治療法は、出血や生理痛などの症状を軽減する薬物療法、筋腫の切除、子宮の摘出です。それぞれさまざまな方法があり、例えば筋腫を切除する場合、腹部を切らずに行う方法と、外科手術によって行う方法の2種類があります。

 治療法選択で重要なのは、将来妊娠を希望するか、しないかです。これを考慮した上で、筋腫の大きさや数、位置、年齢などに応じて治療法を選びます。

※ 次回は子宮筋腫の治療法についてお聞きします。


子宮筋腫ができる場所の例。子宮筋腫は、その場所によって①漿膜下筋腫、②粘膜下筋腫、③筋層内筋腫に大別される。
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安西弦先生
Yuzuru Anzai, MD

産婦人科医師(Board Certified)。日本で医師免許取得後、1986年からマウントサイナイ大学病院(当時)で子宮体がんと乳がんの基礎研究に従事、産婦人科臨床研修修了。ニューヨーク大学(NYU)大学病院産婦人科勤務を経て、現在ニューヨーク・ミッドタウンOB/GYN院長。産婦人科一般診療と検診、分娩、内視鏡手術などを手掛ける。NYU医学部産婦人科助教授。米国日本人医師会・会長。

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