2015/08/28発行 ジャピオン828号掲載記事

心と体のメンテナンス

危ない頭痛とよくある頭痛(後編)

誰もが経験する頭痛 生活習慣改善で予防

片頭痛について教えてください。

いわゆる「頭痛持ち」の頭痛の一つであり、約3人に1人が生涯一度は経験するといわれます。女性の発症率は男性の約3倍で、症状は月経時に悪化します。家族歴のあることが多く、親が片頭痛の場合、子供がその体質を受け継ぎやすいことが分かっています。

 片頭痛の主な症状と特徴は次の通りです。
▽痛みが4~72時間続く。
▽頭の右左どちらか一方が痛む・ズキンズキンと脈打つような痛み・中程度から重度の痛み・運動や日常動作で痛みが悪化。
▽頭痛の際に吐き気・嘔吐、光・騒音過敏がある。
▽頭痛の前に、視覚的前兆(視界中央がぼやける・見えなくなる、ジグザグの線が見えるなど)や、感覚的前兆(チクチク感、感覚鈍麻など)がある。

 以上の頭痛が最低5回あり、ほかの病気で痛みの原因を説明できない場合、病歴なども総合的に検討した上で片頭痛と診断されます。

 一方、子供の片頭痛はこれらの典型的な症状を示さないことがあります。頭痛の持続時間は2~72時間。頭の左右両側が痛む場合が多く、頭痛の代わりに周期性の嘔吐・腹痛、めまい、斜顎(首が左右に傾いた状態)がみられることもあります。診断が難しく、腹痛で受診したら、実は片頭痛だったこともあります。


どのように治療しますか?

基本は休養です。ほとんどの場合、寝ると痛みもなくなります。

 休んでも治らない、または休めないときは薬を使います。処方せんなしで購入できる非ステロイド性抗炎症薬(NSAID=Non- Steroidal Anti-Inflammatory Drug)のアスピリンやイブプロフェンは、2人に1人の割合で片頭痛に効くといわれます。

 処方薬では、血管収縮作用のあるセロトニン受容体作動薬(トリプタン)と、吐き気止め・鎮痛作用のあるドーパミン拮抗薬(メトクロプラミド)をよく使います。トリプタンは10人中7・5人に有効とされ、頭痛によく効く薬です。

 重度の痛みには、救急診療科(ER)や病院で強い薬を点滴静脈注射します。


予防のために何ができますか?

最も大事なのは生活習慣の見直しです。規則正しい生活と睡眠時間の確保によって、特に子供の片頭痛のほとんどは解決します。子供は10時間、大人も8時間睡眠が理想です。適度な運動も心掛けましょう。

 頭痛のきっかけ・原因を知り、それを避けることも重要です。そのため、頭痛日記をお勧めします。頭痛が起きた時間、痛みの程度と種類、痛みの前に食べたものなどを記録します。人によっては、チーズやチョコレート、コーヒー、赤ワイン、化学調味料など、特定の飲食物が痛みの契機となるようです。

 慢性化した片頭痛には、高血圧治療薬のベータブロッカー、抗うつ薬、抗てんかん薬を予防的に使用します。いずれも処方薬で、医師の指示と管理の下で使います。ハーブのバターバー、水溶性ビタミンのリボフラビン、マグネシウムも片頭痛予防効果があり、私は患者に、まずサプリメントを処方することが多いです。


緊張性頭痛とは何ですか?

非常によくある頭痛で、10人のうち、ほぼ8人が生涯一度は経験するとの報告もあります。心身のストレスで悪化しやすく、圧迫感を伴う軽度から中度の痛みが頭の両側に現れます。持続時間は30分から長いと7日ほど。日常動作では悪化せず、片頭痛と違い、吐き気や嘔吐、光・騒音過敏はあまりありません。頭痛と同時に肩凝りや筋肉の緊張を訴える人も多く、マッサージや鍼灸治療で症状が緩和する場合もあります。

 治療は、何を置いても休むこと。それが難しいときは、内服薬のNSAIDとドーパミン拮抗薬、また予防的に抗うつ薬を使います。日頃からストレスをためない工夫も大事です。


リバウンド頭痛とは何ですか?

鎮痛薬の乱用が原因の頭痛です。市販薬、処方せん薬に関係なく、鎮痛薬を週3日以上続けて飲むと、頭痛の頻度が高くなり、悪化します。

 「ただの頭痛」も、命にかかわる病気が原因かもしれません。リスクを理解し、早めに医師の適切な診断と治療を受けましょう。

※ 来週は、安西弦先生に子宮筋腫について伺います。


毎日頭痛日記をつけるといい。写真は、米国で使われる頭痛日記の例。頭痛が起きた時間、痛みの程度と種類、吐き気や前触れの有無、痛みのきっかけ・原因と思われること(天候の変化、ストレス、飲食内容など)を記録する。日本頭痛学会のウェブサイト(www.jhsnet.org)で、同会作成の頭痛日記をダウンロードできる。
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成相宏樹先生
Hiroki Nariai, MD

慶應義塾大学医学部卒業後、福岡県麻生飯塚病院で初期臨床研修、慶應義塾大学病院で小児科研修を経て2009年来米。ミシガン小児病院神経生理フェロープログラム修了後、現在アルバート・アインシュタイン医科大学モンテフィオーレ・メディカルセンターの小児神経内科フェローとして、小児神経内科の診療と研究に従事する(小児患者のみ診療)。米国日本人医師会(JMSA)会員。

Children’s Hospital at Montefiore
Montefiore Medical Center

TEL
718-920-4378
WEB
http://www.montefiore.org/neurology
MAP
111 E. 210th St. Bronx, NY 10467

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