2015/08/21発行 ジャピオン827号掲載記事

心と体のメンテナンス

危ない頭痛とよくある頭痛(前編)

見逃せない危険な頭痛 重大な病気の可能性も

医師の診察がすぐに必要な頭痛とは?

頭痛は非常にありふれた症状であり病気ですが、その原因はさまざまです。命に関わる危険な頭痛もあれば、いわゆる「頭痛持ち」の頭痛のように、緊急性の低いものもあります。見逃してはいけない危険な頭痛・頭痛を伴うその他の症状・危険因子は、次の通りです。
▽全身症状=頭痛のほかに発熱や体重減少があり、徐々に調子が悪くなっている。特に1~2カ月この状態が続く場合は要注意。脳腫瘍や髄膜炎(細菌やウイルス感染が原因で、脳を包む髄膜が炎症を起こす病気)などの可能性がある。
▽二次的危険因子=がんやHIV感染などが原因で免疫力が低下していると、中枢神経感染症、脳リンパ腫など、脳の病気にもかかりやすい。
▽神経症状=手足のまひ・しびれ、感覚障害、失語(言葉を言い間違える・言葉が出ない)、歩行障害など。脳梗塞、脳出血(脳と脳周辺部の出血)、脳腫瘍などの可能性がある。
▽突然の頭痛・初めての激しい頭痛=「ハンマーで殴られたような」と形容される激しい頭痛。クモ膜下出血(脳を覆うクモ膜の下で出血する病気)や脳梗塞などが疑われる。
▽50歳以上=加齢とともに血管は詰まりやすくなる。頭痛が徐々に悪化している場合、脳梗塞や脳出血などに要注意。
▽もともと頭痛持ちだが、タイプが異なる頭痛が起きた=痛みの程度がいつもよりひどいか、頻度が高い場合、脳腫瘍や脳梗塞、脳出血の可能性がある。

 症状から脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血が疑われる場合は、直ちに911(緊急電話)に連絡するか、救急診療科(ER)を受診してください。症状が軽く、様子を見てもいいと思っても、そのまま放置せず、速やかに主治医の意見を聞きましょう。脳腫瘍や感染症など、早期発見と治療によって命を救える病気もあるからです。


子供の場合、特に気を付けることは?

以上に説明した危険症状・因子は、若者や子供にも当てはまります。特に幼い子供は痛みや不調をうまく伝えられないので、周囲の大人が行動の変化に気を付けてください。どうも機嫌が悪いとか、頭を押さえてじっとしている、光をまぶしがる・暗い場所から出てこないなどは、異常のサイン。脳の先天的な病気や、血管の異常が頭痛を引き起こしていることもあります。


頭痛はなぜ起きるのですか?

病気などの明らかな原因がない頭痛を機能性頭痛と呼び、痛みの仕組みはまだ完全には分かっていません。血圧や血糖値などと違い、痛みの存在や程度を数値化して評価できないことが、原因解明を難しくしている一因です。よくある片頭痛や緊張性頭痛も機能性頭痛です。

 脳神経の一つである三叉神経(さんさしんけい)系の異常な活性化や、痛みを伝える信号の異常を原因とする説が現在は有力ですが、頭痛の明確な機序は未解明です。


各地にある「頭痛センター」について教えてください。

頭痛患者だけを対象に、頭痛専門家が外来および入院治療と研究を行う医療施設です。1945年にブロンクスのモンテフィオーレ・メディカルセンターが世界で初めて設立して以来、現在は全米各地に設けられています。

 モンテフィオーレ頭痛センターには10人以上の頭痛専門家が勤務しており、生活スタイルの見直しや内服薬による治療を行っています。痛みがなくならず、学校や仕事にも行けないような激しい痛みが続くときは、とりあえず痛みを止めるため、強い鎮痛薬やエルゴタミン製剤などを点滴静脈注射することがあります。エルゴタミン製剤は、頭痛への効果が知られる血管収縮薬です。重症の場合は入院し、痛みがなくなるまで3、4日投与を続けます。こういった治療は副作用を適切に管理する必要があり、頭痛センターが得意とする分野でもあります。

 頭痛センターでは、新薬・既存薬・ハーブ(漢方薬も含む)の治療や予防効果の研究も積極的に行われています。

 頭痛専門家による診療を希望する場合は、主治医に相談するか、病院やクリニックの神経科外来に問い合わせてください。
 
※ 次回は、片頭痛と緊張性頭痛の対処法などについてお聞きします。


非ステロイド性抗炎症薬(NSAID=Non-Steroi dal Anti-Inflammatory Drug)の一つであるアドビル(イブプロフェン)は、片頭痛や緊張性頭痛の急性期治療に有効とされている
スクリーンショット 2015-08-23 10.17.10

成相宏樹先生
Hiroki Nariai, MD

慶應義塾大学医学部卒業後、福岡県麻生飯塚病院で初期臨床研修、慶應義塾大学病院で小児科研修を経て2009年来米。ミシガン小児病院神経生理フェロープログラム修了後、現在アルバート・アインシュタイン医科大学モンテフィオーレ・メディカルセンターの小児神経内科フェローとして、小児神経内科の診療と研究に従事する(小児患者のみ診療)。米国日本人医師会(JMSA)会員。

Children’s Hospital at Montefiore
Montefiore Medical Center

TEL
718-920-4378
WEB
http://www.montefiore.org/neurology
MAP
111 E. 210th St. Bronx, NY 10467

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画


利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント