2015/08/14発行 ジャピオン826号掲載記事

心と体のメンテナンス

適用広がる歯科インプラント(後編)

専用ソフトで治療計画練る 正確かつ安全な治療可能に

歯科インプラント(以下インプラント)の治療計画はどのように立てますか?

インプラント治療とは、歯を失った部分の顎(あご)の骨に人工歯根(インプラント)を埋め、その上に人工歯や入れ歯を装着する比較的新しい治療法です。まず、歯科用コンピューター断層撮影(CT)検査を行い、治療部位の骨の厚みや高さ、歯茎の状態などを確認します。インプラントを埋められるだけの骨があるか、歯茎に細菌感染などの問題がないかを調べるのが目的です。

 一方向からだけ撮影する従来の2次元(2D)レントゲン検査と違い、歯とその周辺組織の断面を上下左右から細かく撮影するCT検査は、口の中をより正確に調べることができます。インプラント埋入(まいにゅう)部の骨の厚みも、下の方は5ミリだが上の方は2ミリしかないなど、詳細に知ることが可能です。

 次に、コンピューター上で口の中を立体的に再現し、専用ソフトウェアを使って各種分析やシミュレーションを行います(写真参照)。

コンピューター上での治療計画では何を決めますか?

骨の厚みや状態、形、神経の位置などに基づき、埋入するインプラントの数と位置、埋入角度などを決めます。骨の高さや厚みが十分でない場合は、人工的に骨を作る骨造成治療が必要かどうかと、そのタイミングを判断します。

 インプラントは、長さや太さ(直径)、形状によってさまざまな種類があり、埋入する位置や骨の状態によって適切なものを選びます。骨が薄い場所には、太くて長いインプラントは不適切です。逆に歯ぎしりをする人は、強い力にも耐えられるように、太くて長いインプラントが必要です。

 かみ合わせも重要です。例えば上の前歯を失うと、骨が時間とともに後退します。後退した骨にインプラントを埋入すると、それに装着する人工歯も後ろよりになるので、かんだときに、下の歯に余計な力がかかってしまいます。そうならないように、かみ合わせを考慮し、必要に応じて骨を造成し、インプラント埋入角度を調整します。

 ほかにも手術の細かなやり方などを決めた上で、治療選択肢と、それぞれにかかる時間と費用を患者に提示します。それを基に患者と歯科医で話し合い、患者の健康状態や年齢、希望、経済状況などを考慮した上で治療法を決めます。

歯が1本もない場合もインプラント治療はできますか?

可能です。その場合、上下全体で8本程度インプラントを埋入し、入れ歯を固定します。入れ歯が安定しない、よくかめないといった問題を解決し、天然歯のように好きな物を食べられるようになります。特に顎が大きい人の場合、全体で10本程度のインプラントが必要になることもありますが、普通は8本程度で十分です。

 インプラントの上に入れ歯を固定する代わりに、クリップで留める方法もあります。その場合、入れ歯のように取り外して清掃します。取り外し式といっても、強い力でしっかりかめますし、入れ歯のように歯茎に負担がかかることもありません。

 骨の量が少ないと、全体的に骨造成治療が必要になることもあります。その際、問題はあっても数本でも歯が残っている場合、最初から抜いてしまわず、それらを利用して仮のブリッジを作成し、段階的にインプラントに移行する方法もあります。そうすることで、治療中も不自由なくかむことができます。

サイナスリフト(上顎洞底挙上術)とは何ですか?

サイナスとは、頬骨の内部にできた大きな空洞です。上の歯を抜くと、時間とともに骨の吸収(骨が分解されて減ること)が進み、サイナスがどんどん広がります。その結果、必要なインプラントを埋めるのが難しくなることがあります。サイナスリフトとは、骨造成治療によって、下に広がった空洞の底部を押し上げる技術です。ここ15年ほど使われている技術ですが、検査と骨造成技術の進歩によって格段に進歩しました。

 CT検査と治療計画を作るための専用ソフトウェアのおかげで、いまや患者により適した治療を、より正確に、かつ安全に行えるようになりました。インプラント治療は難しいとあきらめず、まずは専門医に相談してください。

※ 来週は、成相宏樹先生に頭痛について伺います。

専用ソフトウェアを使った治療計画策定画面の一部。
CT画像上でインプラント(円内)埋入をシミュレートする。
治療計画に基づき埋入位置と角度を3次元モデル上に示した図(画像提供:Dr. Bastadjian)
スクリーンショット 2015-08-14 15.18.54

ジョー・バスタジアン先生
Joe Bastadjian, DDS

歯科補綴(ほてつ)・インプラント専門医師。ニューヨーク大学(NYU)歯学部口腔外科卒業後、補綴歯科専門課程とインプラント手術フェローシッププログラムを修了。NYU歯学部歯周療法学・インプラント科の元臨床准教授。米国歯科医師会、オッセオインテグレーション学会会員など。審美・一般歯科の中村デンタルNY(www.NakamuraDentalNY.com)と提携し、日本人患者も多い。

Joe Bastadjian DDS, PC
Prosthodontics & Implant Surgery

TEL
212-832-6440
MAIL
DrBastadjian@gmail.com
WEB
http://www.NYSMILEPRO.com
MAP
205 E 64th St., Suite 403 (bet. 2nd & 3rd Aves.)

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