この街にも随分、本格的なそば屋ができたが、店の一角で、常時、日本人の職人がそばを打ち、切っているのは「蕎麦こう」だけだろう。厳選した米国産そば粉を原料にした端正なさらしなそばは、ひざを打ちたくなる絶品。かえしは秘伝だが、「出汁には鹿児島県枕崎市から取り寄せた本枯れ節(高級かつおぶし)の厚削りを使っています」と、ご主人の高橋博美さん。
さて、今季は一風変わった天丼で打って出た。題して「エビ天満載丼」。特大のブラックタイガーを一口サイズに切り分け、カラリと揚げたのを、熱々の丼ご飯に敷き詰める。これをチリの利いたマヨネーズ・ソースで豪快にいただく。青のり入りの、厚手のコロモの中に、優しく抱かれた弾力あるエビは、まろやかな味わい。形状も味も、天丼の常識とはかけ離れているが、実に安心して食べられる。どこか懐かしい幸せな味だ。キャリアと実力に裏打ちされた高橋そば名人だからこそ、こんな冒険も成功するのだろう。もっとも、高橋さんは、「エビのしっぽは食べないアメリカ人にも、エビ天丼を味わって欲しいから」との、軽い発想から始めたらしい。ニューヨーク発の新天丼が、世界のスタンダードになる日も近い?
先月から週7日ランチタイムも営業
5月からメニューに加わった満載状態の新型天丼。ソースはスパイシー・マヨネーズと丼ダレの2種類から選べる。セットでは、自慢のそば(ざる、または、かけ)も堪能できる。ランチに最適のボリューム感。13ドル50セント。