Page 3 - NY Japion

03|Vol. 951|Friday, January 26, 2018 COVER STORYこの博物館が面白い!ハイテクで海中を「体感」するのサンゴ礁の浅瀬に変わっ ガイドの案内で次々に 年 月にオープンした。ニ 現れる展示室には、「夜のサ ューヨークタイムズ紙やC ンゴ礁の発光生物」「カリフ NNも絶賛している。向こ ォルニア沖巨大コンブの森 う 年はこの場所で同様の とアザラシ」「ハワイ沖カタ 展示を公開していく計画 クチイワシの大群」など、常 だそうだ。 人ではとても目にすること 圧倒的なビジュアルゆえ ができない状況が再現され に「新手のエンタメ」とも思 る。しかも見学者は展示を えるが、海洋生物の生態は 外から眺めるのではなく、 全てナショナル・ジオグラフてゆくではないか。 ナショナルジオグラフィック•エンカウンター 陽光が降り注ぐ海中に は極彩色の熱帯魚が泳ぎ 回り、時折足元をよぎるエ イたちは、見学者の足の動 きに反応する。ドキュメン タリー映像でも定評のある 「ナショナルジオグラフィッ ク」だからてっきり実写か と思いきや、全てインタラ クティブなコンピューター昨年 月オープンのナショナルジオグラフィックが仕 掛ける展示「エンカウンター〜海のオデッセイ」。その 最新型の海洋博物館では一体何に「遭遇」できるのか。 総発行部数850万で 世界一のグラビア科学雑誌 「ナショナルジオグラフィッ ク」が肝入りでプロデュース した「エンカウンター〜海 のオデッセイ」の展示は、タ イムズスクエアから徒歩0 分のビルの地下にある。予最新技術と海のコラボ テーマパークのライドば りの整列入場で最初に案 内されたのは、何の変哲も ない小部屋。ところが暗転 してエキサイティングな音 楽が鳴ると、床から壁かアニメーションだそう。 「まずあったのは最新技 術を使うという試みと、見 学者を絶対に行けないよ うな場所に連れてゆくとい うコンセプトです。通常の 博物館の展示ではあり得 ないような、いままで誰も 見たことがない視点から 大自然の素晴らしさを見 せるのが狙いです」と話す のは同展のマーケティング展示の中に「イマースする (=身を浸す)」。こればか りは筆舌を尽くしても伝 えきれない感覚。しかも、あ まり書くとネタバレや先入 観を招くので、「百聞は一見 にしかず」。とにかく足を運ィックに所属する研究者と 専属カメラマンたちが持 つ、膨大な資料と科学知識 に基づいている。例えば、目 玉展示の一つにどう猛なア メリカオオアカイカ(体長 1・5メートル、体重 キ ロ)の共食いを間近に体感 するコーナーがある。まる で怪獣映画の決闘シーンの ような大迫力だが、イカの 動きや生態は全て科学的 事実の通り。映像体感の後 で研究者の証言やイカの実 写を見せるなど、学術面の備情報ゼロで飛び込む。 ら、みるみるソロモン諸島&セールス部のシャノン・ヘ バートさん。 「エンカウンター〜海の オデッセイ」は構想5年、ビ ジュアル制作2年。建物を 展示用に改築するために 1年の歳月を費やして、昨フォローも抜かりない。 海の素晴らしさを再認 識させ、興味を抱かせるだ けにとどまらず、海洋環境 への配慮まで意識させてし まうところが、さすがナシんでほしい。科学的裏付けを重視ョナルジオグラフィック。Photo courtesy of National Geographic Encounter目玉の一つ3Dで見る8K映像の「カタクチイワシのベイトボール」。捕食者に対抗して小魚たち が作る、球状の群に包まれる感覚は他では味わえない。絵本「スイミー」の世界そのものPhoto courtesy of National Geographic Encounter素早く足元をかすめるエイたちに大人も大はしゃぎPhoto courtesy of National Geographic Encounterデジタルとは思えない世界にいつしかどっぷりNational Geographic Encounter226 W. 44th St.(bet. 7th & 8th Aves.) www.natgeoencounte r.com 入場料:一般・前売り39ド ル 5 0 セ ント 、1 2 歳 以下・前売り32ドル50セントなど 5015 10大小の博物館がひしめくニューヨーク。METやアメ リカ自然史博物館など、メジャーどころに目が行き がちだが、今回は「隠れた宝」とも言うべき魅力的 な博物館の数々を紹介する。© Rich Carey/ Shutterstock.com10