Page 3 - NY JAPION
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03|Vol. 851|Friday, February 12, 2016 COVER STORY20劇場で 3カ月渋谷真紀子さん 東京生まれ。慶應義塾大学法 学部政治学科卒業。博報堂で の営業職を経て2013年に来 米。2015年にエマーソン大学 大学院演劇学部修了。アメリ カン・レパートリー・シアターでイ ンターンを経験。5月には自身 が演出する作品も公演。渋谷さんにとってのインターンとは努力が認められる場所。現場でしか得られな い経験ができるところ。次のステップを踏み出 すチャンスが得られるところ。▲ミュージカル「ウエー トレス」の教育部門で インターンを経験。写 真はポスターと修了証▶サマースクールでは 子 供たちが 脚 本を書 き、実際に舞台に出る プログラムで指 導に 当たった。写真は本番 当 日 の 舞 台 袖 から の 風景インターン経験を生かせ憧れの演出家の下で 次のステップへの扉  昨年5月にエマーソン大 学大学院演劇学部を卒業 後、6月からケンブリッジ にあるアメリカン・レパー トリー・シアターでの3カ 月間のインターンプログラ ムを修了した。る『エンターテインメントの 枠を超えて、社会に気付き を与える演劇』では彼女が 第一人者です」  演出家になるために大学院で学んできた渋谷さん。トニー賞受賞演出家で、ブロードウェーミュージカル「ファインディングネバーランド」などの舞台演出で知られる、「憧れの」ダイアン・ポーラスさんが芸術監督を務める同劇場で経験を積みたいという強い思いがあった。インターンとして受け入れられたのも、在学中から1年半ボランティアとして関わってきた   代の最後に、「やりたい 努力を認められたからだ。 ことをやろう」と仕事を辞  「私自身のテーマでもあめ、演劇を学ぶために留学  プロたちが持てる専門的 な知識、技術の全てをつぎ 込むことで、「劇」が出来上 がるのを痛感したという。渋谷真紀子さん現場で学んだ 「業界」のルール  携わったのは、ポーラス さんが演出を手掛けるミュ ージカル「ウエートレス」の 教育部門。家庭内暴力を受 けた女性が自立していく 過程を描く物語で、作品の 理解を深めるための教育ツ ールの作成、劇場の教育部 門では子供たちが自ら脚 本を書き、舞台に立つとい う4週間のサマープログラ ムで指導に当たった。した。だから、「一瞬の時間 も無駄にしたくない」とい う思いで臨んだ。インター ンでは演劇という特殊な世 界で仕事をすることの難し さを学んだ。い、椅子を持っていくと、 らにうれしかったのは、そ 「あなたの仕事ではない」と の後、マンハッタンの路上で 違う部門から言われた。 偶然すれ違ったとき、『ハー   集まっているのは、第一線 イ』とあいさつしてくれた  「インターンとして与え られた業務をこなしなが ら、こうしたらいい、と思う ことをどんどん提案してい ました。そうしたら、上司 から、それぞれに役割分担 あり、果たす責任があるこ と、また自分の役割に徹す るように注意を受けまし た」その環境では、「自分に課せ られた仕事を完璧に遂行 することが一番大切。小さ なことでも自分のやるべき ことを外れると、本業をお ろそかにし、人の仕事を奪 うと見られてしまう」  「この業界では実力を示 す機会すら得るのが難し い。でも面接で『アメリカ ン・レパートリー・シアター で働いていたのなら大丈 夫』と評価され、チャンスを もらえることがありまし た。また知り合った人たち とのつながりから次のチャ ンスを得ることもありま す」  インターン後、全米演出 家振付師組合(SDC)の フェローシップに選出され、 ブロードウェーミュージカ ル「アリージェンス」の演出 部門に研修生として派遣 されたときも、似た経験を した。年配の俳優を気遣インターン経験が チャンスを広げる  2月には「ウエートレス」 のブロードウェー公演の準 備が始まり、プロダクション アシスタントとして手伝っ てほしいと声が掛かった。 今、いくつかのプロダクショ ンで演出家になるための経 験を積んでいる。就職を前に、実社会で仕事の経験や知識を得る ことができるインターン。今号では自分の夢に向 けて、有意義なインターンを経験した人、または 現在も続けている人に体験を語ってもらった。で活躍する各分野のプロ。 こと」と笑う。  インターンではポーラス さんの話を聞く機会もあっ た。「作品を作る秘訣(ひけ つ)を教えてくれました。さ


































































































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