2018/06/01発行 ジャピオン969号掲載記事

集まれ みんなの広場

殺陣波濤流NY

殺陣は思いやり
心も技も真剣勝負

「えいっ!」「えいっ!」と大きな掛け声と共に、「ヒュンっ!」と風を切る日本刀の鋭い音がスタジオに響く。香純恭(かすみ・きょう)さんが代表を務める「殺陣波濤(たて・はとう)流NY」のアドバンスクラスの練習が始まった。殺陣とは、日本の伝統芸能の一つで、映画やドラマの格闘シーンで、刀などを使って行う演技や技術のこと。

最初の30分は、抜刀から、「袈裟(けさ)斬り」「胴斬り」などの斬り方を練習して、刀を鞘(さや)に戻すまでの基本を繰り返し行う。「クルーン、シュッ! このタイミングを覚えよう」と動作を入れて分かりやすく解説する香純さん。真剣な面持ちで聞く生徒たちは再度チャレンジ。「惜しい!止めるタイミングを合わせよう」と、繰り返し練習が続いた。

この日はジャパンデーのパフォーマンスに向けたリハーサルが行われ、ステージ入場から退出まで、細かく練習が行われた。「刺された時に、客席に刀が見えるように演出も考えているので、体をその方向に向けて」と、映画プロデューサーでもある香純さんは、常にカメラや観客のポジションを計算しながら指示を出す。「何が起こっているかは、やられる人が表現してくれる」とのことで、刺され方、斬られ方、倒れ方に力を入れて指導する。生徒たちは耳を傾けて、何度も繰り返し練習を重ねていた。

俳優の丸田哲広(のりひろ)さんは、昨年9月からクラスに参加。「殺陣は日本でも習っていましたが、基礎からもう一度習いたくて参加しました。ここで練習していくうちに、斬られる役の大切さやディテールの深さに気が付きました」と話す。

「侍の役が来た時にすぐ演技ができるように、このクラスを取りました」と言う俳優の中根大樹(だいじゅ)さんは、「侍映画を観る時に、所作を細かく観るようになりました。先生は優しいですが、ちょっと怖いですね(笑)。今回は舞台に立つチャンスを与えてもらえたので、ぜひ期待に応えたいです」と練習にも熱が入っていた。

女優の三宅由利子さんはクラス歴4年。「母国である日本の伝統芸能を知りたいと思って参加しました。最初のけいこは、侍にとって刀とは何かから始まり、侍の文化や所作、美学など多くのことを学び、日常の人間関係でも人を思いやるようになりました」と、精神的な変化を語った。

香純さんは、「殺陣がメンタルの部分でも役立ってくれることを期待しています」と話した。

「殺陣波濤流NY」は2014年にホワイトプレーンズに教室を開設、16年にマンハッタンクラスを開設。俳優向けの上級クラスでは、実戦向けの、より高度な技術を学ぶ
俳優向けの同クラスには、現役の俳優やダンサーが集まっている
殺陣の動きや所作を学ぶことが、相手に対する尊厳や思いやりにつながっていく
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香純恭(かすみ・きょう)さん
いくら技術を学んでも、現場でのカメラの位置などが分かっていないと力を発揮できないので、「見せる技術」を身に付けることがプロの俳優には重要です。アクションクラスでは、そうしたことを踏まえ、現場ですぐに使える動きを加えて殺陣とアクションを教えます。俳優に限らず、殺陣の所作を学びたい人はぜひ参加を。所作の一つ一つには意味があり、先人の知恵や思いやり、尊敬の念を知ることで、丁寧に生きることを考えさせられます。また6月2日(土)に、私の映画製作事業初の短編映画「First Samurai in New York」が、ニューヨーク国際短編映画祭にてニューヨークプレミア上映されます。www.facebo ok.com/FIRSTSAMURAINY

メンバー募集中

TATE Hatoryu NY

マンハッタンクラスは隔週の水曜日に、アドバンスクラスは午後1時30分から3時、ビギナークラスは午後5時30分から6時45分に、ミッドタウンのRipley Grier Studios(520 8th Ave.)で開催。参加費1回30 ドル(別途5ドルの刀レンタル代) 。

MAIL
tate@hatoryuny.com
WEB
www.tate-hatoryuny.com

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