2017/11/24発行 ジャピオン943号掲載記事

集まれ みんなの広場

書道教室/あおぞらコミュニティー基金

墨と筆で遊んで学ぶ教室
新たな日本文化の切り口

 日系コミュニティーの支援により立ち上げられたNPO団体「あおぞらコミュニティ基金」主催の各種教育プログラムが今年9月から開講している。各教室は幼稚園児から小学生を対象に、ひらがな、漢字、書道、そろばんなど日本の文化を中心に教えている。

 この日は、書道家の田中太山さんが教える、3歳児対象の書道教室が行われ、10人の児童が集まった。田中さんが3人ずつ児童を呼び、「ゴシゴシしてみよう!」と硯(すずり)に水を入れ、墨をすることからクラスがスタート。

 それぞれの児童に筆を持たせて、「ドシャーンって紙の上に落としてみよう」と言い、児童たちは見よう見まねで思い思いに筆を紙の上に自由に走らせる。

 「3歳の子供は飽きるのが早いので、集中力を保たせることを意識しています」と語る田中さん。子供たちが筆で紙に書くときには「ドシャーン」「ズドーン」など、口で効果音をつけることを忘れない。

 「文字を上手に書くというよりも、墨をすったり、墨が飛び散るのを見て楽しんでもらえることに重点を置いています」

 書き上げると、先生が一人一人の半紙に名前を書きハンコを押していく。1枚の紙が、十人十色の「作品」として仕上がった。

 個人の作品を作った後は、特大の筆を墨汁に浸し、大きな1枚の半紙に皆で筆を走らせる。「順番だよー」という田中さんの声に、児童たちは1列に並び、自分の順番がきたら田中さんと一緒に筆と墨で「遊び」を楽しむ。

 息子の聖七(せな)くんを教室に通わせる石井友見さんは、「初めての教室に通うといつもは泣いて帰ることもあるのに、この教室には笑顔で入っていきました。作品は冷蔵庫に張っています」とクラスの雰囲気が気に入って参加したという。

 通い始めて3週間のかみらちゃんのママ、しんぼあいこさんは、「主人と相談して、習字を習うのは日本の文化を学ぶいい機会だと感じ、始めてみることにしました」と話す。

 実果(みか)ちゃんのママ、秀島美弥さんは、田中さんの形式に捉われない教え方に共感して通わせ始めたという。「先生は漢字の形の成り立ちも教えてくれます。今年の母の日に、娘が『母』という漢字を書いてプレゼントしてくれたんです。母という漢字の意味も分かって書いてくれたのかなと思うと、額に入れたいくらいうれしかったです」と笑顔で語った。

www.aozoracommunity.org(小学生対象)
www.aozoragakuen.com(プリスクール対象)

特大の筆は、重くて持つだけでも子供たちは大奮闘。この後に手形と足型も加えて、みんなの作品を完成させた
3歳の児童たちは筆で思い思いに書いた作品を大事そうに持っている
墨が飛び散ったら「もっと雨を降らせようか」と言い、墨を雨に見立てて、作品をより楽しく、面白いものにしていく
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田中太山さん
 気をつけていることは、まずは子供たちの安全面ですが、それ以外は、飽きさせないこと。3歳の児童は、お手本を見ても、その通りに書けるわけではありません。上手に書けなかったら飽きてしまうし、上手く書けても集中力が続かない。だからクラスでは、書くことを楽しむのを目的にしています。墨を使って水から墨汁を作ること自体、子供たちは「遊び」だと思っているので、筆から墨を紙に落とすときに「ズドーン」と効果音を入れたり、墨が飛び散るのを見て楽しんだりして、飽きさせないように心掛けています。単にきれいな字を書くことではなく、「墨を使って書いて楽しむ」ということが、今後、新しい日本文化の切り口になってくれたらうれしいですね。

メンバー募集中

Aozora Community Foundation

毎週月〜金曜日まで、ひらがなや漢字、習字、バレエなどの教室を開講。現在、来年1月からの生徒を募集中。一般の児童も参加可能。

TEL
347-721-3521
MAP
535 Clinton Ave., Suite 2, Brooklyn, NY 11238

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