2017/08/04発行 ジャピオン927号掲載記事

集まれ みんなの広場

金継ぎ教室

欠けた陶器に命吹き込む
伝統技法を身につける

 漆芸品の修復を行う蒔絵(まきえ)師の更谷(さらたに)源さんが2014年から始めた「金継ぎ教室」が、ロングアイランドシティーで行われている。

 「金継ぎ」とは、陶磁器の割れや欠けを漆(うるし)で直す伝統的な技法のことで、元来は蒔絵師がその技法を使って修理を行う。日本でも数少ない蒔絵師の一人である更谷さんは、「本格的な修理法を身につけ、壊れた食器を自分で直せるように指導します」と話す。

 初心者クラスでは、素材に使う漆についてや金継ぎの技法の基本的な知識を学び、初歩の工程を実践する。この日は全4回のクラスの2回目。前回は欠けた箇所に漆と「との粉」を混ぜたパテ状のものを乗せたので、今回はその部分を砥石(といし)で研ぐ作業に進んだ。

 更谷さんがやり方を説明しながら実演した後、生徒もそれに習って砥石でゴシゴシとこすり続ける。「どうでしょうか?」と生徒が差し出す食器の修理箇所を更谷さんが指で触って、「この部分がまだ盛り上がっているので、もう少し続けてください」と指導する。

 表面が完全に平らになったところで、今度はそこに筆で漆を塗り重ねて補正。「合成接着材を使った方法も出回っていますが、ここでは直接口を付けても安全な漆や純金などの自然素材だけを使って修理します」と更谷さん。漆は触るとかぶれるので扱いを慎重に行い、作業が一段落するたびにテーブルを拭くことを忘れない。

 アーティストのグリッポさんは、クラスで習いながら自宅で茶わんとティーカップを修理したそうで、「漆など本物の材料を使って教えてもらえるのがいいです。先生も知識と経験が豊富で何でも聞けます。想像以上に細かい作業なので忍耐力が必要で、それが僕には一番難しい」と笑う。

 雑貨屋とコーヒー店を経営する石川波子さんは、「今までは割れたり欠けたりした物は捨てるしかなかったですが、自分で直せるようになったので長く使い続けられます。日本の友達が東北の震災で壊れてしまった食器がたくさん持っているそうなので、それも修理してあげたい」と話す。

 エディターのウィン・シャグアンさんは、「猫が壊したお気に入りの食器類を修理したくてクラスを取りました。物を大切にする金継ぎの精神は素晴らしい。上級クラスに進んでもっと学びたいです」と上を目指す。

 「ゆっくり時間をかけてやることが一番大切」と更谷さんはアドバイス。次回は、漆を塗った部分に金粉を蒔(ま)く作業を行う。

壊れた食器などを修復する伝統的技法を身につける「金継ぎ教室」。小さな欠けを直す初心者対象の教室から始めて、希望者は割れたものを修理する上級クラスに進める
3〜5人の少人数制で行われるので、細かいところまで学べて技術も身につく
作業には根気が必要。時間をかけて完全な仕上がりを目指すが、難しい箇所は更谷さんがその場で個別に指導してくれる
COMMUNITY_927_1

更谷源さん
 日本の伝統文化である金継ぎは昔ながらの伝統職人技です。金継ぎがブームになってしまい、本物の漆を使わずに、接着剤でくっつけるやり方が多く見られますが、このクラスで使用する原料や材料は日本でしか入手できないものが多く、漆や金粉はもちろん、砥石や炭なども日本から取り寄せています。正当な技法に従って行うと時間がかかって根気が必要な上に、漆にかぶれる可能性もあります。しかし、漆を使った昔ながらの技法で修理した食器は安全で欠けることも少ないので、この日本の技をもっと広めていきたいです。伝統的な技術と本物の漆を使って本格的に金継ぎを勉強したい人なら、誰でも参加できます。

メンバー募集中

Kintsugi Class

月〜土曜日に開催。1回1時間から1時間30分。1クラス5人まで。初心者クラスは全4回240ドル。その後、希望者は上級クラス(5回250ドル)に進める。個人、またはグループでの受講も可。

MAIL
urushi@me.com
WEB
http://www.urushi.info
MAP
43-01 22nd St. Long Island City, NY 11101

バックナンバー

NYジャピオン 1分動画


利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント