2016/05/27発行 ジャピオン866号掲載記事

集まれ みんなの広場

藝道殺陣波濤流高瀬道場NY

相手を思いやって斬る 殺陣で世界平和を

 殺陣(たて)とは、映画やドラマの格闘シーンで、刀などの武器を使って行う演技や技術のこと。この殺陣を学べる道場が、ホワイトプレーンズの藝道殺陣波濤流高瀬道場NYだ。

 指導者の香純恭(かすみ・きょう)さんは、日本ではアクション俳優や殺陣師が所属する高瀬道場で殺陣を習い始め、18年のキャリアを持つ。

 2年前、自宅に道場を開いて以来、国籍を問わず、子供から大人までの生徒に殺陣の指導を行っている。また、道場は殺陣の技術だけでなく、日本の伝統的な礼儀作法、武士道精神も教授するのが特徴だ。

 この日は、約1時間の小学生クラスが開かれた。クラスはマットを使った準備運動に始まり、黙想(もくそう)や刀の構えの確認を行う。道場の2周年記念の催しが1カ月後に控えていたこの日は、当日披露する演武の練習を中心にクラスを行った。

 「足の向きが違う」「もっと腰を入れろ」。道場に響く香純さんの指摘に、子供たちは「えい!」「やあ!」と声を上げて応える。2人一組で行うパフォーマンスの練習では、香純さんは、「殺陣は競争じゃない。相手を思いやって2人で一つの型を作り上げろ」と強調し、技術だけでなく、思いやりの精神を説くことも忘れない。練習後は、「強きにおもねる事なかれ」など、道場訓を皆で唱えてから、そのうちの一つについてみんなで話し合いクラスが終了した。

 週1回、マンハッタンから通う、高橋太郎君(9)は、剣道をやっていた祖父の影響で剣術や刀に興味があったという。通い始めて1カ月ほどだが、「今の自分より強くなりたい。もっと殺陣がうまくなりたい」と強い意気込みを語った。

 大人クラスの生徒で、この日、練習を手伝っていた殺陣歴1年9カ月の三宅由利子さんは、「日本の心を学べる」と道場の魅力を語り、「作法には全て意味がある。でも日本にいただけでそれが学べるわけではありません。海外でそうしたことを学べるのは素晴らしい」と話す。

 2月からわが子を道場に通わせているスミス友季子さんは、「ずるくない生き方とか、私たちが日本人として教えたいことを代わりに教えてくれる」といい、「愛にあふれた先生。厳しいことも愛がないと伝わらないけど先生はそれができる」と香純さんに全幅の信頼を置く。

 香純さんは「私自身、殺陣が大好き。殺陣でみんなが幸せになってくれれば最高です」と思いを語った。

二人一組になっての型の稽古。殺陣は相手を思いやる気持ちがないと、うまくできない。「殺陣は競争じゃない」と香純さんの指導が入る
小学生クラスの参加者。練習の成果もあり、ポーズも格好良く決まった
道着の着方も一人一人、香純さんが丁寧に指導
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香純恭さん
 殺陣は、マーシャルアーツと違って勝敗を決めるものではありません。協調性や相手の呼吸を読むのが大事で、自分だけできてもだめなんです。例えばアクションをやる時、キックの強さは受ける人が表現してあげないといけない。これは、相手へのリスペクトがないとできません。道場を開いたきっかけは、たまたま教えたドイツ人の子供が殺陣に感激してくれたこと。その時、殺陣は世界でも通用すると手応えをつかみました。国際色豊かな生徒たちが、殺陣を成功させるには、相手の文化を思いやる気持ちが大事。まさに国際社会で生きる力ではないでしょうか。最終的には、殺陣を通じてみんなが思いやりの心を持ち世界が平和になればと祈っています。

メンバー募集中

Tate Japanese Sword Fight Performing Art NY

ホワイトプレーンズの道場で、小学生、中学生、一般、俳優向けにそれぞれクラスを開催。殺陣の他にも棒術やカメラを意識したアクションも学べる。また、不定期でマンハッタンでもクラスを開講。刀の名称や基本の構え、演技まで丁寧に指導する。

MAIL
tatehatoryuny@gmail.com
WEB
http://www.tate-hatoryuny.com

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