2015/08/07発行 ジャピオン825号掲載記事

集まれ みんなの広場

金継ぎクラス

陶器を日本の技で修理 漆と金で生き返る

 「金継ぎ」とは、欠けたり割れたりした陶器を修理する、日本独自の伝統的な技法のこと。漆芸品の修復を手掛ける蒔絵師の更谷(さらたに)源さんが教える「金継ぎクラス」が、チェルシーで行われている。

 2014年から始めたこの初心者対象の教室では、小さな欠けのある陶器の金継ぎを学ぶ。「合成接着材などの化学的な材料を使用せず、口をつけても安全な漆や純金などの自然素材のみを用います」と更谷さんは説明する。

 アトリエでは生徒たちが前回塗った漆の表面を砥石で研いで、筆で漆を塗り重ねる作業に集中している。独特の筆使いがなかなか難しいが、「ラインに自分の味 が出るのが金継ぎの魅力」だとか。「漆が直接肌につくとかぶれるので、触れないように気を付けてください」と何度か注意が入る。

 塗り終わったら15〜20分ほど保湿した容器に入れて少し硬化させ、修理した部分に金粉を蒔(ま)く作業に入る。「この純金粉は粒子が非常に細かいので、飛び散らないように」と更谷さんは、金粉を小さく丸めた真綿でとんとんとはたいて蒔く方法を一人ずつ指導して回る。

 ブルックリン美術館勤務のジェシカ・パルメリーさんは、「金継ぎに興味があってクラスを取りました。この工程を一人でやるのは難しいけど、ここでは先生がコツを教えてくれるので勉強になります」と、持参したミントンの皿とケーキ皿の欠けを修理していた。アーティストのジョアン・プラットさんは、「40年間、陶磁器の制作を続けていますが、どうしても欠けてしまうので、自分で修理ができたらと思って学んでいます」と、自作の大皿の欠けの修理に取り組んでいた。

 ブルックリン在住の松山真歩さんは、「主人からもらった大切なぐい呑みが欠けてしまったんですが、修理できてすごくうれしいです。他にも愛着のある欠けたお皿があるので、ぜひ金継ぎしたいです」と顔をほころばす。「セット皿の一枚が欠けてしまい、なんとかできないかとネットで検索してこのクラスを見つけました」と言うスカースデールから参加の加藤文則さんは、「先生が素晴らしい技術を持っていて、生徒一人一人に合った的確なアドバイスをしてくれます」と喜び、アドバンスのクラスに進んで、割れた食器の修理もやってみたいとやる気満々だ。

 「大事な器が欠けてしまっても、あきらめないで金継ぎすればまた使えます」と更谷さん。自分で修理することを通して、物を大切にする心も学べるだろう。

生徒は欠けた陶器を各自で持参。漆で欠けを埋め、金粉を蒔いて修理する。この金継ぎによって、自宅で眠っていた皿や茶碗が再生する
アーティストや修復家、主婦など職業も人種もばらばら。老若男女の多彩な顔ぶれ
初心者には筆使いが難しいが、筆のラインなどに個々の性格や持ち味が出る
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更谷(さらたに)源さん
 私一人で金継ぎをやっていると数が限られてしまうため、需要に応えられるやり方を考えた末、「教える」ことにたどり着きました。器を再度使ってもらえる、金継ぎの技術や知識が広まる、漆を広めることができる、とクラスを通して良い点がいろいろ出てきました。金継ぎは、日本では昔ながらの伝統職人技という認識ですが、こっちでは「かっこいい!」と言われて新手のアートと見られることが多く、そういう見方があるのかと新鮮な発見がありました。それは生徒の顔ぶれにも表れていて、始めた当初は日本人のお茶関係者だけでしたが、今は非日本人のアーティストや陶芸関係者が増えています。漆や金粉の取り扱いに気をつけた上で、ぜひ楽しんでください。

メンバー募集中

Kintsugi Class

チェルシーのAtelier Mu:Min(143 W. 29th St.)で、水曜と土曜日に実施している。どちらも午後1時から、1回1〜2時間を予定。1クラス全4回。初心者対象。240ドル(金継ぎキット代込み)。終了後、希望者は上級クラスに進める。

MAIL
kintsugi_class@icloud.com
WEB
http://www.urushi.info

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