2019/02/01発行 ジャピオン1004号掲載記事

第8回 顧客獲得

Start-Up

潜在顧客を探して購買意欲を高める

ここまでのスタートアップのプロセスを通して、あなたが作り出した新しい商品やサービスを、いよいよ顧客に提供しましょう。

商品やサービスをお客さまに買ってもらうこと(顧客獲得/Customer Acquisition)は、当たり前ですが、ビジネスに不可欠です。しかし、新しい顧客の開拓や獲得、その後の顧客の維持は、精神的にも肉体的にも負担が大きくなりやすく、多くのビジネスが苦戦する部分でもあります。

顧客獲得には、たくさんの手法がありますが、今回はその中でも重要な三つのステップについて解説します。

潜在顧客の獲得

最初のステップは「リードジェネレーション」です。あなたの商品やサービスを買ってくれる可能性を持つ潜在的顧客(リード)を見つけることで、主に氏名や社名、電話番号、メールアドレス、住所などの情報を集めます。広い範囲で多くの顧客を獲得したいと考えた場合、従来ならば「大手メディアの広告」が効果があると考えるかもしれません。メディアが多様化する現代においては、そうした広告を目にする人の中にターゲットがいないこともありえるので、そうなってしまうとリード獲得につながりません。まずは自分に合ったやり方で、小さく始めることが重要です。

検索エンジン「DuckDuckGo(ダックダックゴー)」の創業者ガブリエル・ワインバーグは著者「トラクション(Traction)」で、リードジェネレーションの手法19種類を紹介しています。その一つとしては、「オフラインのイベント開催」を挙げています。直接会話する機会を設け、距離感を縮めることでリード獲得につなげることを推奨しています。また、地味で手堅い方法ですが、「紹介」も有効な手段です。既存顧客からの紹介や、社内、社外の人脈を生かした営業活動は、すでに接点があるだけにリード獲得や成約に結び付くケースも多くあります。

顧客に育てる

次は、リードを「顧客」に育てる「リードナーチャリング」です。この段階での目標は、リードに有益な情報を届け、より強い結び付きを構築することです。一方的な押し売りや営業にならないよう、リードが実際に欲しがっている情報を提供するよう配慮する必要があります。これにはメールを使った営業や、ソーシャルメディアで情報を提供する方法があります。オンライン以外でもセミナーの開催や潜在的顧客の定期訪問も効果的です。

ビジネス向けソフトウェアの開発を手掛けるSAP社は、同社のサービスを使って売り上げを伸ばした顧客の事例をウェビナー(ウェブ上で行われるセミナー)で紹介することで、約10億ドルの販売上乗せにつなげました。

販売契約の締結

最後のステップとなるのが「クロージング」です。リードの購入意欲を十分に高めたところで、実際にあなたや営業担当者が販売契約を締結(クロージング)します。やり方に関しては「正解」や「法則」はありません。タイミングや話し方に注意し、試行錯誤して成功率を上げましょう。

新規顧客の獲得では、目の前の数字にとらわれていてはいけません。始めは思うような結果が出なくても、潜在的なお客さまと良い関係が築ければ、長期的に大きなビジネスに結び付きます。ここで紹介した三つのステップを活用し、細やかなアプローチで購入意欲を高めていきましょう。

次回は、ビジネス起業に役立つオンラインツールやアプリ、クラウドサービスを紹介します。

【スタートアップに関する用語】

トラクション(Traction)
ユーザや売り上げの伸びなど、サービスを伸ばしていくための勢い。
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エスイーオー(SEO)
検索エンジンからサイトに訪れる人を増やすことで、ウェブサイトの成果を向上させる施策。
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バイラル・マーケティング(Viral Marketing)
主にインターネットやメールにより、クチコミを利用して不特定多数に広まるよう仕掛けていくマーケティング手法。

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奥西正人(まさひと)
RISING STARTUPS代表

2015年にミートアップ「JAPAN NYC Start- ups」を、翌年、「RISING STARTUPS」設立。ニューヨークのスタートアップ企業の交流を目的とした「IF CONFERENCE」、起業を目指す人を支援する「IF Workshop」を開催。www.risingstartups.co

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