第11回 ローンチ

Start-Up

信頼関係構築が基本
短所も隠さず正直に

いよいよ、あなたの新しい商品やサービスを世に送り出す時が来ました。第8回の「顧客獲得」のプロセスでは「商品を欲しい」と思っている顧客の属性を絞り込みました。

これをもとに、ターゲットを絞った顧客層に商品やサービスを売り込んでいくことで、成約率や売り上げを伸ばしていくことが期待できます。

今回は、新商品やサービスを売り出すときに最低限チェックしたい4項目を実際の手順に沿って解説します。

商品やサービス
少しずつ紹介

まずは、さまざまな情報があふれる中でいかに多忙な顧客の注意をひきつけ、面白いと感じてもらうかが大事なステップになります。ソーシャルメディアやブログを通した情報発信で、商品やサービスの内容を少しずつ公開していく方法などがあります。

個人向け資産管理サービスの「Mint.com」は、「MintLife」というブログ向けに、個人資産に関連あるさまざまなトピックについてコンテンツを制作し、関連商品のマーケティングを組み合わせて流すことにより、多くの会員を獲得しました。

見せ方を工夫
信頼される表現徹底

次に、あなたの新商品・サービスの素晴らしさが伝わるよう、見せ方やメッセージを工夫する必要があります。よく考えないと意味が解らないキャッチコピーでは、メッセージが顧客に伝わりません。

ウェブサイト上にある画像を集めてブックマークできるウェブサービスの「Pinterest(ピンタレスト)」は、誰が見ても分かる「Organize and share the things you love(好きなものを整理して共有しよう)」をタグラインにしました。音楽サービス大手「Spotify(スポティファイ)」の「A World of Music」など、見ると心がワクワクするものも効果的です。

新規参入で苦労するのが、ブランドに対する顧客からの信頼感の獲得です。新興ビジネスというだけで、顧客から好奇の混ざった疑いの目を向けられることも多くありますので、慎重を期しましょう。

「信頼感のあるデザイン」、「細部まで行き届いた文章表現」、「業界の慣例や法律をきちんと押さえる」などといった、ビジネスの基本を必ず押さえる必要があります。

あえて弱点隠さない
不要な期待値下げる

新しい商品やサービスの弱点を隠さないことも非常に重要です。最初のローンチ時に自社の商品やサービスの悪い点をストレートに認めることは難しく感じるでしょう。

しかし、最近では、買い手はほぼ必ずインターネットなどで競合と比較しますので、弱点は自然と分かってしまいます。弱点を、むしろ最初から明らかにすることで不要な期待値を下げ、ギャップリスクを減らすことができます。

このように、新しい商品やサービスを出す時には、
①顧客に目を向けてもらえるよう露出を工夫すること
②商品やサービスの素晴らしさが伝わるよう、見せ方やメッセージなどを工夫すること
③顧客に信頼感を持ってもらうこと
④弱点は隠さないこと
この4点が重要なポイントになります。ローンチの段階では、あなたがどれだけ顧客の背中を気持ち良く押してあげられるかが重要なので、試行錯誤で失敗を恐れず実行してください。

次回は顧客へのアフターケア(ポストローンチ)について解説します。

【スタートアップに関する用語】

ローンチ(Launch)
事業を立ち上げること。参入すること。特に、新しい商品などを売り出すこと。
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タグライン(Tagline)
顧客と潜在顧客、つまり世の中に対して、その企業やブランドが持つ感情面と機能面のベネフィットを分かりやすく伝えるための表現。
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セールスファネル(Sales Funnel)
見込み客を絞り込んで受注に至る過程、またはその手法。
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奥西正人(まさひと)
RISING STARTUPS代表

2015年にミートアップ「JAPAN NYC Start- ups」を、翌年、「RISING STARTUPS」設立。ニューヨークのスタートアップ企業の交流を目的とした「IF CONFERENCE」、起業を目指す人を支援する「IF Workshop」を開催。www.risingstartups.co