2017/04/28発行 ジャピオン913号掲載記事

中村武彦のプロスポーツから見る経営学

第13回 サッカースクールの構想


特性と市場を生かして
サッカー教える学校を

 5歳~19歳で登録してサッカーを現在プレーしているアメリカ国内の競技人数は、USユースサッカー(US Youth Soccer)とAYSO(AmericanYouth Soccer)の統計によると約360万人だといわれています。さらに登録をしていない競技人口もあるわけですから、その数は更に多いと推測されています。また競技人口の内訳は、男子選手52%、女子選手48%となっていることから、サッカーが男子だけでなく女子にも人気の高い競技であることも分かります(USユースサッカー調べ)。

 2007年と少し古いデータですが、FIFA(国際サッカー連盟)が実施した調査で、アメリカ国内には約390万人のユースの登録者数がいることが分かっています。そのため実はアメリカ国内における、ユースサッカーの競技人口は世界でも1、2を争う多さであることは、昔から事実として知られているのです。

 日本を見てみると登録種別の違いがあるため一概に比較できませんが、日本サッカー協会の調べでは、18歳未満の男子で登録されている選手数は約73万人、女子選手の数は約2万7000人となっています。男女合わせると約76万人ということになります。

 このように競技人口が大きい、つまり市場が大きいアメリカにおいては、クラブサッカーのビジネスの規模が大きいわけです。こちらもUSユースサッカーの統計ですが、アメリカ国内には、サッカークラブが約6000もあるのです。

これまでになかった
日本人が運営の学校

 ここまでサッカーの競技人口やクラブの数を見てきました。その状況を考えると、サッカーを切り口にした事業を始める上では好条件がそろっていると言えるわけです。そんな中で、「ニューヨークに日本人の運営による、ユース向けのサッカースクールを作ったらどうだろうか」と考えるようになりました。

 当地近郊の在留邦人数は約8~10万人だといわれています。それだけの人数がいながら、日本人による本格的なサッカースクールがあるという話はあまり聞きません。ならば、これまで業務を通して蓄積してきたクラブ経営のノウハウをベースに、ビジネスとして取り組めるのではないかと考えました。

 以前もこのコラムでお話ししましたが、弊社スタッフには、元プロサッカー選手として活躍してきた人材を多く採用しています。彼らを中心に、プロ選手としての経験、知識、技術を子供たちに教え、クラブの運営も手掛けるという構想です。

 元日本代表を含むコーチ陣がそろうサッカークラブは、ニューヨークでもまれです。さらには弊社スタッフのみならず、業務で関わる選手も多くいます。プロチームの入団トライアウトのために来米する選手や、毎年オフシーズンを利用してニューヨークを訪れる日本人プロ選手も数多くいます。そうした選手たちが、このクラブで、臨時コーチとして子供たちを指導し、一緒にプレーするということが実現できれば、ユニークさも出すことができると考え、構想は膨らむばかりです。

 さらに将来につながる才能を秘めた生徒が出て来たら、より高いステージとして、弊社のネットワークを介しニューヨーク周辺のメジャーリーグサッカー(MLS)のクラブが運営するアカデミーなどの下部組織に推挙したり、プロチームのユースとのトレーニングマッチなども定期的にできれば、子供たちにとっても良い経験になるだろうとアイデアは尽きません。

企業の支援も合わせ
参加しやすい組織に

 より多くの子供たちが参加しやすい環境を作ることも理想に掲げたい。そのためには例えば生徒たちの負担を軽減するために練習で使用するトレーニングギアや寒さが厳しい冬の時期の防寒具、ユニフォームなど必要となるエクイップメントを購入するための資金提供をしてくれる企業や、運営のサポートをしてくれるパートナー企業などの賛同も欠かせません。

 私自身、長くニューヨークに住み、感じ、仕事を通して取り組んできたこと、さらにスポーツビジネスという事業から得てきた知識、ネットワーク、加えてスタッフに元選手や元日本代表の経験者が増えたこと、またニューヨークを訪れる多くの日本人選手たちの存在。そして何より多くの日本人や日系企業が集まるニューヨークという特別な場所で、日本人が運営する組織としてこの地を代表するような子供向けのクラブチームの設立を目指すことは、弊社の「日本と米国をつなぐ」というミッションも果たすことができます。夢は大きく持っています。

アメリカはユースのサッカー競技人口は世界でも1、2を争うといわれている。その中で、クラブを運営することは大きなビジネスチャンスとなる

中村武彦

中村武彦
マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマネジメント修士取得、2004年、MLS国際部入社。08年アジア市場総責任者就任、パンパシフィック選手権設立。09年FCバルセロナ国際部ディレクター就任。ISDE法科大学院国際スポーツ法修了。FIFAマッチエージェント。リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。

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