2016/04/22発行 ジャピオン861号掲載記事

堀古英司の経済ミラクルキャッチ!

第25回 NYでの住宅購入を考える

住宅は買う、借りる?
アメリカ、日本?


 ニューヨークでアパートや住宅を借りている人は多いと思います。直近の統計では、マンハッタンの平均家賃は3850ドル、日本円で42万円もします。

 2014年時点の日本の平均給与が415万円とのことなので、いかにマンハッタンの家賃が高いかが分かります。もちろん会社から補助などを受けていて、丸々負担しなくてよい状況の方も多いかもしれませんが、それでも毎月の家賃を支払う際、「これが消えてなくなってしまうのはもったいないな」、「いっそのこと買ってしまおうかな」と考えることもあるのではないでしょうか。

 住宅購入をめぐっては、たくさんの要素を考慮に入れなければなりません。景気、金利、ロケーション、自分の収入、生活費、家族計画、ライフスタイル、などなど。考える要素が多い上、恐らく一生で最も高い買い物の一つになるにもかかわらず、ほとんどの方は不動産の取引に慣れていないので、なかなか踏み切れないのではないでしょうか。しかし一定の条件をクリアできるのであれば、私は、ニューヨークでは賃貸よりも購入の方が有利と考えています。

人口は増え続け
住宅価格は上昇する

 その最も大きな理由は、住宅価格の長期的な上昇が見えているからです。単純に住宅ローンの毎月の支払額に諸経費を足した金額と家賃を比べると、それほど変わらないように見えます。しかし多くの人が算入を忘れているのは、アメリカの住宅価格は、長期的には一定の率で値上がりするものだということです。

 上のチャートはここ40年の、アメリカの住宅価格の推移を示したものです。金融危機までは、アメリカの住宅価格はかなり安定して年率5・5%ほどの上昇を示してきました。金融危機を前後して住宅価格は大きく調整しましたが、その後、年率4・9%のペースで上昇を再開しています。

 日本のバブルを経験した方は、「そんなもの、いつまでも続くはずがない」と考えるかもしれません。しかしアメリカと日本では、人口動態が正反対です。2100年に向けて先進国の中では、アメリカはカナダと並んで、最も人口の伸びが高くなる国です。一方で日本の人口が今後減少していくことは避けられません。住宅は人が住むものですから、人口が増えなければ住宅価格が値上がりするはずもないのです。

 例えば地元の産業や会社が衰退してしまい、その地域に住む人がいなくなれば、アメリカであっても住宅価格が値上がりすることはないでしょう。

 しかし金融をはじめ、あらゆるビジネス、芸術、スポーツの超一流が世界中から集まってくるニューヨークの住宅に対する需要は、長期にわたってかなり読みやすいと見てよいと思います。金融危機のようなことがあったので、住宅購入に二の足を踏まれる方もいらっしゃるかもしれませんが、左上のチャートでご覧いただける通り、あの100年に一度と言われた金融危機の直前の価格でさえ、もう取り戻そうとしているのです。アメリカの人口動態を考えれば当然のことだと思います。

駐在員も家を購入し
老後の資金作りに

 現在ニューヨークに駐在中で、数年後に日本に帰られる方でも、検討の価値はあると思います。

 例えば30代で30年ローンを組んだ場合、引退される頃にはローンの返済は終わっているでしょうから、その後、受取家賃収入をまるまる年金の足しにすることができます。30年後となれば住宅価格も家賃もかなり値上がりしているでしょうから、裕福な老後が期待できるのではないでしょうか。そして人口の減少している日本で住宅を保有していた人との差が、かなり開いているのではないかと思います。

 ただ住宅購入においては、以下の最低限の条件はクリアしておいてください。それは、ロケーションで妥協しないこと、自分の経済力に応じた物件を選ぶこと(コンドにするかコープ住宅にするかなど)、そして住宅ローンが毎月無理なく返済できる範囲であることです。

堀古英司

堀古英司
■ニューヨークに拠点を置く投資顧問会社、ホリコ・キャピタル・マネジメントLLC最高運用責任者。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」をはじめ、メディアに多数出演。著書に「リスクを取らないリスク」。関西学院大学時代、アメフト部で活躍。

今週の用語解説

コンド(Condo)コープ住宅(Co-op)

コンド(Condo)日本でいうところの分譲マンションに近い。ビル内の住居ごとにオーナーが違う。賃貸が許可されているため、投資物件としても使用が可能な物件が多い。

コープ住宅(Co-op) 日本にはない形態。住居自体ではなく、ビルを所有する会社の株を購入し、ユニットとしての住居の使用権利を得る。ただし入居はビルを管理する理事会の承認が必要となる。また賃貸に制限をしている物件も多い。価格は同じ立地や物件の状態などのコンドと比較して低い。

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