2016/01/15発行 ジャピオン847号掲載記事

堀古英司の経済ミラクルキャッチ!

第18回 「ダウの犬投資法」を知ろう

初心者でも簡単
ダウの犬投資法とは


 犬ってかわいいですよね。私も犬は大好きで、特にアメリカで柴犬とか秋田犬を見ると、思わず近寄って行ってしまいます。

 しかし投資の世界で「犬」というと、あまり良い意味ではありません。エサを食う物=金を食う物、のたとえに使われる事が多く、今回ご紹介する「ダウの犬投資法」(Dogs of the Dow)もその意味で使われています。

 投資の世界にはさまざまな投資方法があり、研究されています。もちろん過去の実績がそのまま将来に通用するという保証はありませんが、方針がある程度合理的で、過去の実績も良好であれば、将来にも当てはまる可能性は高いと想定することができます。

 「ダウの犬投資法」はこの条件に該当し、また初心者でも簡単にできる投資法の一つと言えるでしょう。

配当利回りの高い
10銘柄に投資する

 ステップは以下の通りです。ダウというのはアメリカの代表的な株価指数であるダウ30種平均のことです。そしてその中で、前年末時点で配当利回りの高い順に10銘柄をピックアップし、その銘柄に投資するというだけです。これを繰り返すだけで、長期的に優れたパフォーマンスが得られることが知られています。

 企業の配当というのは毎年大きく変動するものではありませんので、前年末で配当利回りが高かったということは、株価が下落していた=犬だった、ということです。しかしそういう「犬」に投資するという作業を続けると、1977年から2006年の30年間で、ダウ30種平均の年率平均リターンが12%であったのに対し、「ダウの犬投資法」では18%のリターンが得られたという結果が出ています。

 年間6%だけの違いに見えますが、これが30年続くと、ダウ30種平均では100ドルが約3000ドルになったのに対して、「ダウの犬投資法」では約1万4300ドルにもなった計算になります。それではなぜ、こんなに簡単な「ダウの犬投資法」がうまくいくのでしょうか?

投資をするなら
株価の安い優良企業

 第一の理由は「良いビジネス」に投資している可能性が高いからです。ダウ30種平均に採用されるのはアメリカのみならず、世界的に見ても疑いのない超優良企業です。いずれも超大型株で時価総額が大きいという事は、それだけ独自の強みや競争力を持っており、かつその状態が比較的長期間続くと市場が評価しているという事です。

 第二の理由は、にも関わらず「安い」からです。配当利回りは「一株配当÷株価」で算出されますが、配当利回りが高いという事は分母である株価が安いという事でもあります。高い配当は経営陣の中長期な業績および財務内容に対する自信の表れとも言えます。キャッシュフローが厳しい会社や、財務体質が悪い会社、中長期的なビジネスに自信のない会社が高い配当を出す事はできないからです。

 このように「ダウの犬投資法」は、「良いビジネスを安く買う」という、いわば投資の基本を忠実に守っているからこそ、このような良好なパフォーマンスを得る事ができた訳です。

リターンが期待される
16年の「ダウの犬」は?

 例えば15年、ダウ30種平均は1年を通して、配当を算入するとほぼ横ばいでしたが、14年末のデータを元に「ダウの犬」に投資した場合、2・5%と小幅ながら上昇となっています。15年の「ダウの犬」には、エクソンモービルやシェブロンなど石油関連企業が含まれており、原油価格の急落を受けて株価は20%近い下落となりました。一方で、マクドナルドやGEなどは25%近く上昇しており、それら石油関連株の下落を補って余りある上昇を示したわけです。

 15年末の株価を元にピックアップした16年の「ダウの犬」は、上の表の通りです。一見、企業名だけ見ると、決して高い成長を期待できる企業には見えないかもしれません。しかしそうして、投資家の期待が高くない株式ほど割安で、堅実なリターンを生み出すものだということなのです。

 政策金利が2%近くになるのは、早くても17年でしょうから、今回久しぶりに利上げが始まったからといって当面、株式投資を怖がる必要はないということになります。

堀古英司

堀古英司
■ニューヨークに拠点を置く投資顧問会社、ホリコ・キャピタル・マネジメントLLC最高運用責任者。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」をはじめ、メディアに多数出演。著書に「リスクを取らないリスク」。関西学院大学時代、アメフト部で活躍。

今週の用語解説

配当利回り

配当利回りとは、購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けることができるかを示す数値。配当とは、企業が株主に利益を分配することを指し、投資家が保有する株数に比例して分配される。配当利回りの計算式は、「1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100」となる。配当金額が同じで購入株価が高いと配当利回りは下がり、購入株価が低いと配当利回りは上がる。また、購入株価が同じで配当金額が大きいと配当利回りは上がり、配当金額が小さいと配当利回りは下がる。

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