2015/11/13発行 ジャピオン839号掲載記事

堀古英司の経済ミラクルキャッチ!

第14回 大統領選まで1年を切る

経済や株式にとって
どっちの政党が良い?


 2016年大統領選挙まで、あと1年を切りました。これから1年近く、国民が大統領を選ぶに当たって最も重要な課題である「経済」について、民主党候補も共和党候補も、自分たちの政策がアメリカ経済をより高い成長に導くと、熱弁を振るってくることでしょう。それでは実際、本当にアメリカ経済の成長にとって望ましいのはどちらの党なのでしょうか?

 今回は大統領がどちらの政党であったかという条件に絞って、データを検証してみました。

民主党と共和党
経済成長率で比較

 歴史的に共和党は「小さな政府」を好むので、民間の活力を引き出しやすく、直感的には共和党大統領の方が経済にとって良いというイメージがあります。しかし結果はそれを裏付けるものではありませんでした。

 1950年以降、民主党大統領だったのが36年間、共和党大統領だったのが29年間です。そしてそれぞれの期間の平均経済成長率を計算してみると、民主党大統領の下では3.9%、共和党大統領の下では2.8%と、民主党大統領の方が高い経済成長率を達成しているという結果が出ました。

 またそれぞれの期間の株式相場上昇率を取ってみると、民主党大統領の下では平均12・5%上昇しているのに対して、共和党大統領の下ではほぼ半分の平均6.3%しか上昇していませんでした。

 ただ50年当時と現在では経済状況がかなり異なります。そこでもう少し現代にフォーカスするために、80年以降のデータを取ってみました。そうすると今度は逆に、民主党大統領の下で経済は平均2.7%成長しているのに対し、共和党大統領の下では2.5%の成長という結果が出たのです。これから1年近く、それぞれの党の候補から「わが党の方が高い経済成長を達成できる」との主張が出てくると思います。

 過去の実績を見てみるとこの通り、いずれも正解で、要するに期間の取り方によって答えは異なるものになるということなのです。


株式相場で見ると
民主党の方が良い?

 それでは80年以降の株式相場はどうでしょうか? 実は民主党大統領の下で平均16.2%上昇しているのに対して、共和党大統領の下では平均5.6%しか上昇しておらず、株式相場については期間の取り方にかかわらず、民主党大統領時の方がパフォーマンスが良いという結果が出ています。これは何故なのでしょうか?

 大きな要因は、ブラックマンデー、ITバブル崩壊、不正会計問題、金融危機など、株式市場を大きく揺るがすイベントは、いずれも共和党大統領時に起こっているということです。これについては、そんな時に大統領になって運が悪かったという見方もできますし、規制を緩和し過ぎたから、そのようなイベントが起こった可能性もあります。

 また共和党は強いドルを好む傾向があるので、これはアメリカ企業にとってはドル建ての収益が減少するという点でマイナスです。さらに共和党政権化では減税が実施されることがよくありますが、それによって財政が悪化して金融市場に影響を及ぼす、というケースも散見されます。



大統領と連邦議会
チェック機能果たせるか

 
 もちろん経済政策は大統領の一存で決められるわけではありません。アメリカでは法案は、上院と下院で可決され、大統領が署名して初めて法律として成立します。そのため、上院や下院に反対されてしまえば、そもそも法案さえ上がってこないという状況になってしまいます。このため、大統領がどちらの党に属するかというのもさることながら、議会(上院と下院)でどちらの党が過半数を握っているか、そしてその組合せも重要な要素になってくるのです。

 ちなみに株式市場というのは不透明感を嫌うものです。その点では、大統領も議会も同じ政党になって偏った政策になるよりも、大統領と少なくとも一つの議会は違う政党が担当してチェック機能を果たす方が、株式市場にとっては望ましいと言えます。


※「S&P500指数」は株式相場のパフォーマンスを示している

堀古英司

堀古英司
■ニューヨークに拠点を置く投資顧問会社、ホリコ・キャピタル・マネジメントLLC最高運用責任者。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」をはじめ、メディアに多数出演。著書に「リスクを取らないリスク」。関西学院大学時代、アメフト部で活躍。

今週の用語解説

2016年大統領選挙

2016年11月8日に予定されている、第45代アメリカ合衆国大統領および次期アメリカ合衆国副大統領を選出するための選挙。17年1月上旬に大統領および副大統領当選者が正式決定し、1月20日に大統領就任式が行われる。民主・共和両党の候補指名争いが本格化してきたが、これまでに出馬を正式に表明した主要候補者は以下のとおり。ヒラリー・クリントン前国務長官(民主)、マーティン・オマリー前メリーランド州知事(民主)、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(共和)、ドナルド・トランプ(事業家・共和)。

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
人気が過熱するブルックリン区ウィリアムズバーグ...

   
Back Issue ~9/7/2018
Back Issue 9/14/2018~
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント