2019/01/11発行 ジャピオン1001号掲載記事

共感マーケティング

第210回  金銭感覚を壊せ

企業内部で生まれる新製品開発プロジェクトで、業界をひっくり返すようなブレイクスルーが生まれることがめったにないのはなぜでしょうか。理由はさまざまありますが、私の仮説では、「金銭感覚が会社員だから」です。毎月定額振り込まれる給与の範囲で生活をやりくりしている金銭感覚で、大きく育つ製品が生まれるのは難しい。

大きく育つ商い

手堅く、コツコツ生きるのは大切ですが、商売は金銭感覚が大事。100万円を触ったことのない人に、100万円以上の商いはできないのです。大きく育つ商いは、やはりどこかクレイジーな人が生み出しています。

知人のアパレルブランド社長の趣味は銀行から融資を受けることです。先日JOYWOWパーティーでアイリッシュダンスを会場全体で踊っている最中も「ほんで、それのマネタイズはどうなってるん?」と話し込んでました(笑)。

「お金の余裕は気持ちの余裕」と豪語し、「そんなに要るの?」というくらい、融資を受けています。年次経営計画に「融資目標金額」も必ず記載、「なぜそれだけの金額を融資してもらう必要があるのか」について明確にしています。

メーンバンクの担当者も「『こうなりたい』というものがはっきりしているので、実現に向けて応援したい」と言っています。銀行も「中の人化」する熱さがクレイジーな融資金額を実現しているのです。商売の成長は運転資金の成長と同意ですが、ぜいたくな資金のおかげで彼の会社はガンガン成長しています。

壊す方法

では、どうすれば身に染み付いた金銭感覚を壊せるのでしょうか。

▽月に1回は、豪華な店でディナーする

服装や所作も店に見られる緊張感ある店でディナーします。そして支払い金額にビビる体験をする。

▽半年に1回は、ラグジュアリーなホテルに泊まる

来ているゲストを観察。サービスを体験します。

▽仲間内の飲み会の支払いでJOYWOWジャンケンする

JOYWOWでは、仲間内の食事の最後にジャンケンして、負けた人が全額支払うという遊びをします。お茶やランチならいいのですが、時に居酒屋で夕食全額という歴史的敗北が生まれます。その時に支払う金額は、自分ではまず出さない額です。こうしてどんどん壊れていきます(笑)。

要するに、「貯める」「定額内で考える」という自分の中のアンカリング・バイアス(偏見)を壊すのです。「回す」「使う」とお金は生きてきます。水と同じく、「貯める」とよどんで、やがて腐ってきます。「あちゃー、失敗した」という買い物も大事。金額が大きければ大きいほど、身に付きます。月に1回は「浪費の日」と決めてもいいかもしれません。

▽アホになる

賢く使う、賢く生かす、なんてちまちました発想でお金と付き合ってはいけません。100円が100万円に化けるのが商売です。「化ける」ためには、どこか「超える」意識が必要。アホになりましょう。

▽家計簿なんて、つけない

小遣い帳も同じで、いくら使って、残金いくらなんて、知ったこっちゃない。貯金なんて、昨日の才能が生み出したもの。「オレは今日の才能で今日のメシを食うんだ!」くらいの狩猟民族的発想を持ちましょう。

阪本啓一

今週の教訓
自分が触ったことのない金額は
商いできません

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

古事記

「思い切って、『古事記』の紹介のしかたを改めることにしました。まず、最初に掲げた現代語の『通釈』を読み通していただけば、おおよそのあらすじをつかむことができます。」(本文から引用)

誰でも名前は知ってるけど、誰もが読んだことがあるとは限らない「古事記」。「古いんでしょ?」と思いますが、成立は712年で、万葉集と変わりません。書き言葉として現存しているのが平安時代からのものがメーンですが、奈良時代の言葉を無理やり漢字化したものが「古事記」です。

人間レコーダー稗田阿礼の話し言葉を、太安万侶が苦心して漢字化しました。とはいえ、私たちは学者じゃありませんから、大和言葉の素晴らしさを味わえばそれでいいのです。

それにしても奇想天外な物語です。国作りが男女の交わりで生まれたとか、魔軍を追い払うのに桃を投げ付け、効果があったので桃に称号を授けるなど、「古事記」、やりたい放題のロックな本です。最初に生まれた島は淡路島、次が四国のようです。面白い!

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