2018/12/28発行 ジャピオン999号掲載記事

共感マーケティング

第208回  デジタルは義務

この原稿を書いている前日、ソフトバンクが通信障害を起こし、スマホが「圏外」になりました。住民票をJAL機内に移した方がいいくらいの「飛び回り生活」をしている私としては、スマホが使えないと致命的です。オンライン講座はフェイスブックを使っていますし、クライアントとのやりとり(この時期はお歳暮やパーティー出席のお礼)、個別相談、すべてスマホです。

今月末に出る新作書き下ろし本も大半はスマホで原稿を書きました。移動中のスキマ時間を使って。

アナログ? デジタル?

1995年、ニコラス・ネグロポンテが「ビーイング・デジタル」を出版したとき、世の中がまだアナログ全盛で、一部の先進的「意識高い系」な人たちだけがデジタルでした。デジタルと言っても、せいぜいパソコンでメールを送る程度でしたが。

その後デジタルがビジネス、特にマーケティングに大きな力になる、という機運が盛り上がり、例えばセス・ゴーディン「パーミションマーケティング」はその予感を論理化したものです。

ワイファイが一般化する、スマホが普及するなど社会インフラがデジタル化し、いまや郵便物や宅配便の再配達、出前はアプリで済みます。ショップカードを持ち歩くのが面倒だったのが、アプリ化して財布が分厚くならず、助かっています。クラウドファンディングは資金調達の定義を塗り替えました。

ところがいまだ頑固にアナログな人たちがいます。学べないし、仕事の可能性を狭めているし、営業の機会を失っています。

ある社長は私がいくら勧めてもフェイスブックをやろうとしません。何も人が何食べた、どこ行ったという投稿に「いいね」を押したり、自分も同じことをやりなさい、と言っているのではないのです。コンサルティングで訪問できるのは月に1回だけなので、その間を埋めるためにフェイスブックグループで情報の共有や質疑をやりましょう、という意図なのです。24時間阪本と触れ合えるのに、社長はその機会を自ら放棄しています。スマホも持っていますが、基本、電話機能しか使っていません。

イベント会場担当営業者。JOYWOWは1年前に会場を押さえます。1年の間、彼女がフェイスブックをやっていれば、JOYWOWの動きも分かるし、イベントページに参加すればどこの誰が来るのか、顔と名前と人数を把握できます。新しい顧客と出会って個別相談を受け付け、受注することもできます。

頭がデジタルか?

ところが彼女はメールしか使っていません。メールはもはや「できれば使いたくない」ツールです。スパムが多いし、圧縮添付ファイルなど、面倒臭い。メッセンジャーでグループを作れば、リアルタイムでダイレクトにイベント参加者と対話できます。その中で、新しいヒントをもらえる(こんな設備があったらいいな、こんなサービスが欲しいという)でしょう。一度つながれば、維持するのは「戸別訪問」よりよほど簡単です。

こう考えると、ツールがデジタル化かどうか、ではなく、頭脳の中、仕事のスタイルがデジタル化しているかどうか、が問題なのだとわかります。あなたはデジタルですか?

いまやデジタル化は、義務です。SNSは必須の仕事ツールです。

阪本啓一

今週の教訓
読み書きデジタル

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

お金は愛

「社員にとってはお金が最大の関心事であり、最大のモチベーションです。」((本文から引用)

社員への愛はお金で示せ、賞与は振り込みではなく手渡し、販売戦略より「人材戦略」にお金を使え、採用費をケチってはいけない、学校を作って社員を青田買いする…。

どのページにも役立つ考え方があります。私はどちらかというと「理念系」なので、このような「実践系」の事例は勉強になります。学校では教えてくれないお金の哲学、付き合い方は、本書で学びましょう。

愛はお金で買えない。もちろん、そうです。しかし、お金がないと愛を表現できないこともある。「お金の余裕は気持ちの余裕」とは知人の名経営者のセリフ。同感です。現金支給するための賞与8000万円の札束の写真が巻頭にあります。銀行の支店にはそれだけの現金がないから、本店から取り寄せてもらったそうです。まさに座布団です(笑)。

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