2018/10/19発行 ジャピオン989号掲載記事

共感マーケティング

第198回 起こったことはすべていいこと

私の人生哲学に「起こったことはすべていいこと」があります。

どう英訳しようかと考えながら、東京日帰り出張に出掛けました。仕事を終え、浜松町からモノレールに乗ったところで、窓を激しくたたく雨。さっきまであんなに晴れていたのに、ゲリラ豪雨です。まあ、飛行機なら問題ないだろうと余裕をかましていました。

搭乗口に行くと、「機材遅延のため20分出発が遅れます」。19時20分発になるのか。テレビでは渋谷がゲリラ豪雨に遭っている映像が映っています。ようやく搭乗し、席に着いた途端、たまらなく眠くなりました。寝た。起きた。まだ飛行機は止まってます。また寝た。起きた。さっきのまま。

時計を見ると、すでに20時近くになってます。窓をたたく雨。アナウンスで管制塔から離陸許可が出ない由が伝えられます。東京湾上空に積乱雲が居座っている(セキランウンって、強そうなネーミングやなあ)。「当機は7番目です」。待つ。待つ。待つ。

マジかっ!
20時37分、「伊丹到着時刻が規定の時間を超えるので、離陸不可能」との由。マジかっ!

日帰りなので、何も用意してません。何としてでも大阪へ帰らねば。アプリで新幹線の状況を見ると、品川発の最終21時30分が空いている。とはいえ、まだ自分は機内。この段階で20時45分。羽田空港から品川までどうやって行くんだっけ? 驚いたのは、機内の人、誰も文句一つ言わず、おとなしいこと。日本人素晴らしい。

ゲート到着、航空会社グランド担当者が駆け付け、おわびを言ってます。いや、それはいいから。こっち急いでるんで。ドバーっと空港を飛び出し、モノレールに。間に合うのかは乗ってから考えよう。京急は悪天候でへたってる、アテにならない。結論として、新幹線には間に合わないと分かりました。ホテルを取るしかない。幸い、浜松町に確保できました。

夜に何でもそろう都内
コンタクトレンズケア製品、下着、スーツに合うシャツ、靴下などをそろえなければなりませんが、浜松町駅からホテルへ向かう歩道沿いのドラッグストアとコンビニで済みました。時間は夜22時頃、パリなら完全アウトです。今のニューヨークがどうなのか分かりませんが、かつて住んでいた頃なら、何も買えてないはず。改めて東京という街の便利さを知りました。

考えたら夕食がまだです。見回すと、カレーチェーン店が煌々(こうこう)と営業してくれてます。店のスタッフ、外国人ばかりですが、元気いっぱい、楽しそうに働いてます。ここはどこの国? というのも、いまの東京なんでしょう。彼らの働きぶりがあまりに気持ちいいので聞くと、ベトナムから来ているそうです。

男時・女時
世阿弥の言葉に「男時(おどき)・女時(めどき)」があります。何をやってもうまくいく絶好調の波に乗っているのが男時。逆が女時。男、女に意味はなく、要するに陰陽ですね。この日の私は女時でした。何しろ、ようやく入ったホテルの部屋にはナイトウェアがなかった。

スタッフ、ついうっかりのようです。何をやっても裏目に出る日。しかし、これらの体験すべてが、自分にとって栄養になる。ネタになる。そうか、すべてがストーリーになる。

「Everything makes your stories.」
 
これが、「起こったことはすべていいこと」の英訳だ‼ 寝る前、発見し、すっとしました。やはり、起こったことはすべていいことなんです。げんに、こうして原稿になってるわけですから(笑)。

阪本啓一

今週の教訓
Everything makes your stories.

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

能を本気で深く味わうには、「能を観る」のではなく、「能と共に生きる」心構えが必要とされるのです。(本文から引用)

650年の老舗ブランド「能」の秘密に迫ります。老舗ブランドは変化の達人ですが、能も同じ。次々襲う逆境をはねのけるイノベーションを生み出し、今の繁栄があります。世阿弥の仕掛けだけではここまで残らなかった。継ぐ人たちの熱い思いがなければ。

夏目漱石作品(「夢十夜」「草枕」)に見られる能の影響。芭蕉「おくのほそ道」は綱吉の命による義経鎮魂の旅ではないか、という仮説は興味深くワクワクします。江戸時代、寺子屋で謡曲は必須科目で、古典(源氏物語、伊勢物語、古今和歌集など)が庶民の基礎教養だったそうです。世界で稀に見る知的水準の高い国だったんですね。

当時、江戸は世界一の人口を誇る大都市だったとのこと。魚屋、八百屋など市井の人々が「高砂」などを暗唱していたのはすごい。

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