2018/10/05発行 ジャピオン987号掲載記事

共感マーケティング

第196回 ミラクル起こす

チームや職場で、みんなのやる気に点火し、一丸となる掛け声。どんなものがあるでしょうか。私のごく最近の体験では、「ミラクル起こそうぜ!」でした。

やらないと起こらない
「肉フェス」に出店した際の合言葉で、チーム全員が燃えました。素人の出店、分からないことばかり、ミスばかり、ベテラン店には長い行列なのに、うちは閑古鳥…。「負け」要素が続いたその時、鉄板で焼いている誰かが叫んだのです。

「ミラクル起こそうぜ!」

そうだ、オレたちにもミラクル起きるかもしれない。結果、会計的には惨敗でしたが、27人の仲間全員の一体感、やりきった感はハンパないものでした。ミラクルです。では、どうやったらミラクルは生まれるのでしょう。 

後日、出店メンバーと「ミラクルが生まれるには?」というテーマでディスカッションしました。「やること。やり続けること。やらないでミラクルが向こうから来てくれることはない」やはり「神様、ミラクル起きてくれますように」と祈っているだけではダメみたいです(笑)。愚直でも、何でも、やること。先が見えなくても、とにかくやること。

ただ、これはいつでも、というわけではなく、タイミング、流れを見る必要がありそうです。世阿弥「風姿花伝」に「男時(おどき)女時(めどき)」という言葉があります。ギャンブルをやる人は分かると思いますが、流れがあります。流れがこっちにきているなあ、という時を「男時」、逆の時を「女時」といいます。男時に、一気にやってしまう。どんどこどんと。女時には、静観し、じっと流れを見詰める。

ミラクルは見方による
はたから見ると「ミラクルやん!」ということでも、本人にとっては「やるべきことをやったのみ」という場合があります。ディスカッションの中、ある男性が言われました。

「君が〇〇ちゃんと結婚できたのはミラクルやん」。返していわく「ミラクルでも何でもない。必然です」(笑)。

オリンピック水泳で金メダルを獲った選手は、世界で一番水圧をはねのけた人です。一般の人ならあり得ないこと、不可能なことをやってのけた。でも、おそらく本人にとっては「やるべきことをやって手に入れた結果」なのではないでしょうか。ミラクルと言われると憤然とするかもしれません。つまり、ミラクルとは、見方でどうにでもなる性質を持っています。

体を使う
「できるかな、無理かな」と悩んでいる時は、首から上しか使ってません。しかし、ミラクルは首から下、体全体を使った行動からしか生まれ得ない。JR九州のななつ星は2013年10月運行開始以来、予約数が定員よりはるかに上回る人気です。過去最高競争率はDX(デラックス)スイートの316倍! 「世界の王」をも断った、コネもツテも使えない公平な抽選が有名です。

当選したお客さまは、当選通知から実際に乗車するまでの数カ月、ツアーデスク担当者と電話通話回数およそ20回を重ねます。これによって、乗車前から高まる期待と感動が生まれるのです。出発日の朝、専用ラウンジで、お客さまとツアーデスクの〇〇さんとが感動のご対面。これも、「電話」という、アナログだけど体を使ったやりとりの結果です。 

一緒に汗流す、声出す、悔しがる、ドキドキする…。そう、スポーツのチームなら日常茶飯事のことを、仕事のチームでもやるのです。仕事における「身体性」。ミラクル起こす大事な要素です。

阪本啓一

今週の教訓
「身体性」を大事にしましょう

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

身体感覚で『論語』を読みなおす。

どうも『論語』は、実は世界で最初の「こころのマニュアル」だったのはないか(本文から引用)

漢字の「心」は3000年前に生まれ、りっしんべんを使う「性」「悔」、したごころを使う「恭」「慕」「惑」、などはそれ以降にできました。孔子は2500年前の人なので、彼が生きたころは「心」というコンセプトはまだ新しかった。

「四十にして惑わず」と言ってますが、著者は「ちょっと待てよ。孔子の時代、惑という漢字はなかったのでは?」と立ち止まります。「惑」ではなく「或」と読むと、どうなるか? 「或」は「範囲を限る」意味があります。「不或」は「可能性を限らず、どんどん行け!」という意味になるのです。

40歳ともなると「どうせこの年だから」と限ってしまいがち。孔子先生は、「限るな!」と励ましてくれていたのです。漢字は象形文字なので、本来、「身体性」豊かです。古代文字で論語を読み解いていく傑作。

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