2018/09/28発行 ジャピオン986号掲載記事

共感マーケティング

第195回 ピッチで走り回る

勉強会有志30人で「肉フェス」に出店しました。鹿児島そらのまち惣菜店社長がメンバーなので、そこの出店としました。

結果、目標1600食に対し、600。惨敗。初日、開場と共に長い行列のできる店もあれば、うちのように閑古鳥もありました。価格設定は500円か1000円、出店者が事前に決めます。並んでいるのは圧倒的に500円店。私たちは、試算した結果、やはり1000円でないと利益が出ないと結論しました。全27店舗の中で、リアルに店がないのは私たちだけだったので、「フェス出店は広告宣伝、利益がなくてもいい」というわけにはいかなかったのです。

当日現場でチケットを見て「しまった!」と思いました。チケットは1000円、2枚綴になっていて、一枚が500円です。お客さまの心理としては、二つの店を食べ比べしてみたい、1000円の店だといっぺんにチケットがなくなってしまう、これは痛い。

そうなのです。問いの立て方を間違えました。「価格が500円か1000円か」ではなく、「チケット1枚か、2枚全部なくなっても、それでも食べたくなる魅力があるか」が正しい問いだったのです。正しく問いを立てる必要性を改めて学びました。

改善
DAY2は前日の反省を踏まえ、いくつか改善しました。鉄板を前面に出し、焼いている姿がお客さまに見えるよう、シズル感を伝えました。ブース内メンバーは全員大声を出し、にぎわい感を。また、「1000円でもボリュームたっぷりで、シェアできるメリット」を大声で伝えました。

「あの西郷どんの鹿児島からやってまいりました。ただいま絶賛噴火中であります。何の火山か肉火山! 西郷もりもりの桜島焼きしゃぶだ。朝採り新鮮キャベツをゆで上げ、その上においしい鹿児島牛を焼きしゃぶしてのせます。特製『食べるソース』をかけてできあがり。お父さん、お母さんはもちろん、お子さまも大好きな味。家族でシェアできます。一つ取れば十分のボリュームです」

のぼり旗を振りながら、チケット売場に並んでいるお客さまに向け、語り掛けます。もちろん、この声はお隣の行列にも聞こえる。げんに、買ったあと、うちの店に来てくれる人が多かったです。これらの改善のおかげか、朝から長い行列ができました。すると暑い中、並んでくださっている皆さんが神様に見えます。冷たいおしぼりを用意、一人一人にお礼を言いながら手渡ししました。これはアンケートで、好評価でした。

この時はアンケートとかそういうものは無関係、ただうれしいのとありがたい、クソ暑い中並ばせて申し訳ない、で夢中でした。

汗をかく
成績は、27店舗中DAY1は13位、DAY2は8位、総合11位。参加したメンバー全員やりきった感動に満たされました。やはり経営は、商売は、観客席に座ってあれこれ言っていては分からない。暑い中、走って声を出して、汗かいて。ピッチ(フィールド)で自ら走り回らないと手にできない体験です。終わって打ち上げの席で、みんな「夏休み、田舎へ行って、いとこたちと楽しく遊んで帰るときみたいだね。明日から学校…」と感慨深く話し合いました。

準備段階も、壁、壁、逆風の連続でした。酷暑の中、みんなで乗り切ったあと、人に優しくなれました。

私も、朝10時から21時までアクセルを床まで踏み切って走り回る体験を超え、体力と精神力に自信がつきました。奇跡の還暦です(笑)。

「さあ、次は鳥人間コンテストやな!」

阪本啓一

今週の教訓
実際の体験ほど、学びの多いものはありません

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

「数字」が読めると年収が アップするって本当ですか?

「自分がどんな『稼ぎ方』をしたいか?」という軸があって、それに合った、業界や職種を見つけると、自分が生きたい人生と重なりやすく、ミスマッチも少なくなる。(本文から引用)

経営者と社員の意識の違い。両方を経験しているので、はっきり分かります。社員のときは「給料日、遅いなあ」、経営者になると「もう給料日⁈早~‼︎」。社員は給料だけではなく、福利厚生、仕事環境、教育など、目には見えづらいものも受け取っているのですが、なかなか理解できません。

会計は数字という共通言語で表現されます。会社を流れるお金を数字でつかみ、その意味を理解する。それだけで、自分がいかに恵まれていると考えるはずです。経営側に立つと、トイレットペーパー一つムダにできないことが分かります。1個100円としても、それは売上ではなく、給料や管理費、販促費、税金などを支払ったあとに残った利益から出ている…。読みやすい物語でページをめくるのが惜しいほど。社員に読ませたい本ナンバーワンです。

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