2018/08/17発行 ジャピオン980号掲載記事

共感マーケティング

第190回 上達する会社

 この季節、子供連れファミリーが空港や機内にあふれています。騒ぐ子供は致し方ないとして、気になる(はっきり書くとムカつく)のが親です。

 那覇からの機内、家でやっているようにほえるだけほえる幼児が通路を隔てて親といました。「ここは公共スペースであり、家と同じようにしてはいけない」は親がしつけなければならないことです。しません。一緒に騒いでます。

 やがて大阪(伊丹)空港に着陸。静かなので、どうしたのか見ると男の子を床に座らせ、座席の母親が上から手をつないでます。ありえない。子供は膝の上に抱えてないと離着陸の際は上下に動くから、飛び上がる危険があります。

 万が一これで事故にでもあったら、航空会社が責められます。社会性がない親、迷惑な話です。

君子は上達
小人は下達

 「ちゃんとした」家庭では、子供が大人に合わせます。つまり、社会のルールを大人が教え、子供はそれに従うように教育するのです。一方、先ほどの家のような「あかん」家庭は大人が子供に合わせます。このありさまを見ながら、『論語』の一節を思い出しました。

 「君子は上達し、小人は下達(かたつ)す」

 スポーツなどでよく使う「上達する」はここから来ています。意味は、君子はより高みを目指して自分を磨く、小人は程度の低いものを求めて堕落する。君子は「ちゃんとした人」、小人は「あかん人」くらいに理解しましょう。

 この話、ビジネスにもあてはまるなあ、と思いました。ビジネスで大事なことは、「いつもサムシング・ニュー」の精神です。

ビジネスでの
上達とは何か

 例えば、こういうこと、ありませんか?「慣習になっているけど、形骸化してしまっていて、誰もそれをなぜやっているのか分からない」という仕事や行事。

 例えば、私が定宿にしているホテル。部屋に入るといつもテーブルの上にお菓子と、「阪本啓一様 本日は、***ホテルにお戻りくださいまして誠にありがとうございます。***ホテル総支配人****」という印刷されたカード。

 このホテル、私が利用を始めた3年前には、さる人の紹介で総支配人とお目にかかり、その関係でご縁ができました。以降、宿泊するたび、総支配人の手書きお礼カードがお菓子に添えられました。

 それはいいのです。私もありがたく、うれしく、たまにフロントで顔を合わせると会話しました。以来、ホテルの経営母体は2社変わっています。くだんの総支配人も行方知れず。なのに、カードとお菓子はその理由も分からないまま、引き継ぎ事項として実行されています。しかし私は現在の総支配人とは顔を合わせたこともないし、印刷カードで何の感情も湧かない。むしろ「このホテル、こういうことに費用かけて、大丈夫か?」とさえ思います。

 考えてみれば、世の中、こういうこと、多いです。空港の検査で、「パソコンは外に出してください」「ペットボトルは検査します」と言われますが、検査員ですら、理由が何か分かっている人、多くないと思います。このように、社内で形骸化してしまった業務を定期的に見直すことから、上達マインドは養成されます。クリエーションはそういうところから生まれるのです。

 一方、下達な会社は、「値段ばっかり言われてさ、もうかんないよ」と愚痴っているところです。「値段ばかり言われる」というのは、あなたの商品や会社が値段しか魅力がない、ということを自ら言ってるようなものです。上達しましょう。

阪本啓一

今週の教訓
上を向いて歩きましょう

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

実践・論語塾

「そもそも哲学と仕事は優先順位を争うものなのでしょうか。それは絶対に違います。どんな仕事にも哲学はなくてはならないものです。」(本文から引用)

 著者はかの陽明学者・安岡正篤の孫。私も論語を愛読していますが、著者独特の視点からピックアップした言葉が興味深い。タイトルに「実践」とあるように、特にビジネスパーソンが自分の仕事に置き換えて考えやすいような章句が並びます。

 「志を持つ」「学びを楽しむ」「自分を省みる」「人を育てる」「経済と志の豊かな国へ」章立てもすてきです。論語と同じく、どこから読んでも構いません。目次に章句が書かれているので、気になる箇所を開くのもよし、ぱっとページを開いて、そこにある文章を読むのもいいでしょう。空理空論ではなく、著者の身体に入っているからこその説得力ある論語の理解が学べます。私の座右の書。「知者は人を失わず、また言を失わず」にあるように、「この人!」と思える人との深い交際、意識したいものです。

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