2018/07/27発行 ジャピオン977号掲載記事

共感マーケティング

第187回 買ってくれる理由を知る

 「大阪人のタローはアホや。同じくアホのハナコは大阪人や。せやから大阪人はみんなアホばっかりや」
 こういう話、よく耳にします。大阪人の名誉にかけて、明らかに間違いです(笑)。たまたまあなたの知り合いにいるタローとハナコがアホだとしましょう。そして、2人とも大阪出身だったとしましょう。でも、その二つの間にあるのは相関であり、因果ではないのです。

マーケティングでの
相関と因果の混同

 日本人が大好きな血液型診断。「A型はきちょうめん、B型は奔放、O型は天然、ABは変人」とかいうやつがありますが、これも因果をもとにしていません。「よくあるよね」という酒場の話題にはいいかもしれませんが根拠などないのです。以上、いずれも相関と因果を混同しています。

 ところが、マーケティングの世界ではこの「相関と因果の混同」をよくやります。

 例えば、「ペルソナ」という考え方。「60歳、大阪市北区在住、年収**、既婚、自営業」という私の属性からカード会社が導き出すのは「ハワイの高級ホテルの一室を買って、普段は観光客に貸し、別荘代わりに使いませんか」「夫婦で豪華客船クルーズしましょう」です。興味ない。

 現在私がハマってるのは海で馬と遊ぶことだし、ギョーザを思いっきり食べたい。「Spotify」が流してくる音楽も、私の年齢属性だけを見てはじき出した「おすすめの曲」です。

 企業が集めるデータは「相関」を手に入れるには適していますが、「買う理由」、つまり因果にはなかなかたどり着けていません。その証拠に、コンビニ、百貨店、ショップなどのカードを大量に持っていますが、目の覚めるような提案をもらったことは一度もない。

買ってくれる
理由を探ろう

 ビジネスで最も重要なことは相関ではなく、因果です。つまり「あなたの商品を買ってくれる理由は何か」「あなたの店に来てくれる理由は何か」

 こんなことがありました。おいしいイタリアンレストランなので、後日予定していたイベントに使わせてもらおうと予約、37人で利用しました。ウェブサイトには「カード利用OK」とありました。イベントの参加費は後払いだったため、キャッシュだと立て替えが大変です。当日、レジ横にある複数のカード会社のシールを指しながら店長に「今日のお支払いはカードでいいですよね?」と確認したところ「いいですが、お一人当たり300円いただきます」。この店長、予約するときは満面の笑顔でしたが、その後イベント当日までの間、ことごとく「感じ悪い」のです。イベント運営スタッフからもそう聞いてますし、私自身も電話応対で体験しました。カードウェルカムとうたっているのに、1人300円余分に取るとは!計算すると、本来の価格より1万1100円余分に支払うことになります。これ、何ですか?

 20万円近い金額だったので、キャッシュの持ち合わせがなく、カードで支払いましたが、不本意でした。そして、二度とこの店には来ない、と決めました。37人ですよ。大雨の夜に。

 店長は何か勘違いしています。「料理さえおいしければ、客は来る」と。違います。客がレストランに行く理由は「人に会いに来る」のです。沖縄の「トリコ」は、料理やドリンクがおいしいのは当然ですが、スタッフ4人、それぞれが持ち味豊かで、常連は皆、トリコスタッフに会いに来ます。買ってくれる理由を知ることは、魅力的な商品・店作りと同等か、それ以上に重要です。購買理由チェック、日々の業務の中で定期点検するよう習慣化しましょう。

阪本啓一

今週の教訓
大事なのは買う理由です

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

パスコースがない? じゃあ、つくればいい。

「サッカー選手は、人間的に良くないと活躍できない。」(本文から引用)

 小柳さんは私が子供の頃から活躍されています。天地真理、南沙織と共に元祖三人娘と呼ばれていたのも、「わたしの城下町」「瀬戸の花嫁」「星の砂」などのヒット曲も知らない人の方が多いかもしれません。

 そんな小柳さんがいまやサッカー解説で有名です。元日本代表監督・岡田武史さんもサッカー友達といいます。1日5試合、仕事のない日は10試合、年間平均2000試合を観戦し、ブログとサッカーノートをマメに書いています。

 小柳さんの視点はご自身が歌手・俳優のプロとして仕事してきたレンズ。だから「人として」「周囲の仲間との創造」という点を重視します。やはり残る人は違う。セカンドキャリアについて考えるヒントとしても、勉強になる1冊でした。サッカーについて皆目知識がない私でも、楽しめました。

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