2014/11/21発行 ジャピオン789号掲載記事

共感マーケティング

第7回 やりたいことをやろう


本当の達成感って?

 私が主宰する経営者向け私塾「MAIDO-interna- tional」初日は、参加者が自分の事業内容と課題について話すことにしています。ネットで花を販売しているGROUND(http://www.raku ten.ne.jp/gold/jour-flour/)大谷耕一郎さんの話が示唆に富むので、シェアしますね。

 「みんなでがんばって、月の売り上げが3000万円を超えました。でも、ちっともうれしくない自分がいました。スタッフはみんな消耗しているし…。なんか、喜びを感じないんですね。そこで、自分は一体何がしたいのだろう?と考えると、ただ花を売りたいのではなく、お客さまの『花のある暮らし』をお手伝いしたいのだということに気付きました。そこで、過去に購入してくださったお客さまに直接電話して、花のことで何かお困りごとはないか、お伺いすることにしました。すると、あるわあるわ、いろいろあってびっくりしました。花の扱い方って、意外と皆さんご存じないんですね。例えば、一人暮らしの男性が花束をもらったけど、その後どうすればいいのか分からない、というように」

 「月商3000万円超え」ということだけを捉えれば、世間的には「うまくいってるね!商売繁盛だね!」ということになります。ところが、それでは心が満たされない。皆さんも、同じような経験をお持ちではないでしょうか?

 

主人公は誰?

 起業した時は夢中で、毎日があっという間に過ぎていく。ところが、ふと立ち止まった時、満たされていない自分がいる。本来、「やりたいことをやる」ためにビジネスを始めたはずなのに、大切な人生の時間を使う主人公が自分ではなく、仕事の業務が主人公になってしまっている。

 そんな時、どうすればいいか。三つのヒントを。

 第一に、原点へ立ち返りましょう。そもそも自分はなぜ、このビジネスを始めたのか。何がやりたいのか。何を達成したら満足できるのか。考える際に大切なことは、売り上げや利益、仕入れ、家賃、給与支払、顧客対応など、日々の「アタマを悩ませるあれこれ」をすべていったんヨコに置きます。松下幸之助は、京都東山山麓に真々庵という約1500坪の日本庭園を作り、判断に迷った時、そこで瞑想(めいそう)したといいます。

 すべて何もない状態に身を置いた時、自分は何をしたいのか。月に一度、瞑想タイムを取るようにしましょう。結果、「今やっていることと同じ」ということになっても構いません。大切なのは、「自分との対話」ですから。

 また、「スタッフと自分の温度差を感じる」という経営者につきものの悩みも、実は根っこに「経営者自身がやりたいことを見失い、日々のToDoに追われてしまっている」ことが原因です。経営者がやりたいことを楽しみながらやっていれば、自然と組織内に温度は浸透します。

 第二に、瞑想タイムで浮かんで来たことを、日付と共にノートにメモしておきましょう。そして時々、それを読み返してみます。変化があるのか、あるとすれば何故か。ないなら、その理由は?読み返して気付いたことも、メモしておきましょう。自分が読むだけですから、雑多な書き方でも構いません。

 第三に、他の業種の経営者と定期的に雑談する機会を持ちましょう。具体的な業務について話しても、他業種の人には通じません。いきおい、自分は何がやりたくてビジネスをしているのか、という話の流れになります。人に話すことで整理されますし、気付きます。

阪本啓一

今週の教訓
大切な人生を使うのだから、本来の目的を見失わないように。

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

成功と失敗の事例に学ぶ 戦略ケースの教科書

何よりも、戦略の事例を多く知っていることが、自分で戦略を考える際に役に立つ。何もない「白紙」から戦略を考えることは非常に難しい。まずは他社の戦略を真似ることからはじめることが大多数だからだ。(本書から引用)

 戦略思考の鍛え方、競争優位で勝つ戦略、ライバルの裏をとる機動戦略などを、具体的な企業行動ケースで学ぶことができます。

 世界トップクラスのブランド資産を背景にした強者コカ・コーラの戦略、しょうゆの需要が減少する中でキッコーマンがとった戦略、タンチョウチック時代から一貫して男性のおしゃれをヘアケア製品で応援してきたマンダムの戦略、消費者のインスタントコーヒー離れの中、あえてカニバリズムを恐れずネスプレッソを投入したネスレの戦略、プレミアムビールというカテゴリーを創出したサントリーの戦略などなど、興味深いケーススタディーが満載です。

 アメリカに住み始めた時、キッコーマンのしょうゆ瓶をスーパーマーケットで見掛けた時の誇らしさは、いまだに覚えています。

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