2018/05/25発行 ジャピオン968号掲載記事

共感マーケティング

第179回 ほんとうのサクセスとは

2000年4月、19年勤めた会社を辞めて、翌日ニューヨークへ向かう飛行機に乗りました。41歳。ニューヨークで起業するためです。お金?退職金80万円、貯金ない。クライアントゼロ。英語話せない、聞き取れない。それでもサクセス狙ってました。お金を稼いだらサクセス、単純にそう考えていました。

なぜニューヨークで起業?「帰国子女作戦」のためです。ブランドでいう「とんがり」を持たせるためには、他の誰もやってないプロフィールを武器にしようと考えました。

孫子いうところの「勝つ試合しかしない」。つまり、勝てる試合を自分で作るためです。当時少なかった「ニューヨークでコンサルティング会社を起業」という看板を持つ。日本へは出張で行く。だから住所はマンハッタンにこだわりました。

人生の休暇だった

今月の家賃、払えるのだろうか…。オンラインで銀行口座の残高を見ては、ため息をつく日もありました。それでも、私の仕事が「書く」ものだったせいか、かなり自由に時間を使ってました。毎日、何があっても夕方4時には仕事をやめて、プールに泳ぎに行くことにしていました。当時書いた本(『スローなビジネスに帰れ』)あとがきに、次の文章があります。

「発想につまったり、新しい解決を求めたりするとき、セントラルパークに行く。幸い、歩いていける近所だ。パーク内に、シープメドゥ(SheepMeadow)という、とんでもなく広い芝生の広場がある。腰をおろした。スパニッシュらしい若者が二人、フリスビーをしている。(中略)気がつくと一時間、私はフリスビーを見ていた」優雅です(笑)。

当時の私は家賃と戦ってました。いまJOYWOWの共同経営者をしている小室由歌利と知り合ったのもニューヨークです。彼女は、1993年、「娘、妻、社員…という、自分の外側にある属性をすべて剥ぎ取った時に何が残るのだろう?」とニューヨークに渡ったといいます。「ハダカになった時、自分に何が残るのか?」現にパーティーに行ったりして、著名企業の社員でも何でもないことが分かると「私はあなたに用はない」と、あっさり横向かれた経験を聞かせてくれました。

彼女もマンハッタンで足かけ8年戦ってました。現在制作中の本「キラキラ生きる」で、ニューヨークでの生活を振り返って次のように描写しています。

「屋上と給水塔の美しさ。夕陽の大きさ。余暇を楽しめる環境。歩く楽しさ。貧富の差。一つの国の中にある時差。東西に走るストリート、南北に走るアベニューの個性。マンハッタンは田舎。NY loves me…」

どんなに苦しくても

読者の皆さんも日々、戦っておられることと思います。いま、日本に戻っている私は心からのエールを送ります。ニューヨーク生活は、どんなに苦しくても、きっと、宝物になります。「とうてい、そうは思えないよ」という声が聞こえてきそうですが。私は、ニューヨーク生活を経験して、真のサクセスは「自由を手に入れること」だと気付きました。何ものにも依存しない自由。お金とは関係なく、自分で自分の生活をコントロールできる自由こそが、ほんとうのサクセスなのだと。

そして、ニューヨークでの生活は、人生の中で、長い休暇でした。あの休暇の「タメ」があるから、いまがんばることができています。高くジャンプするための、大いなる「タメ」。

□  □

小室由歌利「キラキラ生きる」(6月20日発売)を抽選で5人に進呈。希望者は6月30日(水)までに、「キラキラ本」を表題に名前、住所、当コラムの感想を添えてreader@nyjapion.co mまで。当選者のみ通達。

阪本啓一

今週の教訓
思えば、ロングバケーションでした

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

アー・ユー・ハッピー?

「誰かに依存していたんじゃ、カンファタブルにはなれない。」
(本文から引用)


単行本が出たのが2001年。マンハッタンの家で繰り返し読みました。当時永ちゃんもロサンゼルスに住んでいて、東と西で違うし、向こうは私のことを知らないけど、同じアメリカでがんばっている、ということが励みになりました。

本の最初に、自分の手で稼ぐことのありがたさについて話るマッサージの女性の話が出てきます。会社を辞めて独立したばかり、不安で仕方ない時、この本を読むと、永ちゃんももがき、苦しんで、一歩ずつ素手でつかんでいったのだと分かり、力づけられました。

何より、社員の横領による被害総額35億のいわゆるオーストラリア事件が衝撃でした。本が出た当時は裁判の真っ最中。そういう逆境を跳ね返そうというがんばりがすてきでした。異国で戦うあなたにも、きっと勇気が届くことと思います。

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