2018/05/18発行 ジャピオン967号掲載記事

共感マーケティング

第178回 アイデアの伝わる仕組み

私は、「ブランド・クリエイター」を名乗っていますが、分かりやすく言うと「売れる仕組みを作る専門家」です。売るのではなく売れる、集客するのではなく、お客さまの方から集まってくれる。他動詞ではなく自動詞。ビジネスはアイデアを形にして商品化し、それをお客さまが「いいね!」と共感して買っていただく営みです。売れるとは、アイデアが伝わった結果。お客さまが共感するのは、そのアイデアが提供する「自身の変化」に対してです。

変化を買っている

美容院をイメージしてもらえば分かりやすいでしょう。そう、お客さまは変化を買います。変化には、分かりやすさが必要です。DVDがVHSビデオを置換した時と比較して、ブルーレイの普及速度が遅いのは、「変化が分かりにくい」からです。「画質がいいとかいろいろ聞くけど、正直、よく分からない」。
「この小さなデバイス一つで、携帯電話、本、クレジットカード、パソコン、カメラ、ビデオカメラになるんだ」という分かりやすい変化があるから、スマートフォンがこれだけ普及したのです。もはや「外出時には服を着ようね」と同じ意味合いで、スマホは人類のライフスタイルに定着しました。 しかし、これほど分かりやすく、シンプルな変化を生み出すのは至難の業であり、たいていは、「誰のインタレストを満たすのか」をしっかり見定め、その人にどうやれば伝わるかの仕組みを作ることが大事です。
一人が何かアイデアを着想します。この段階では目に見えない、彼女のアタマの中だけの私的幻想です。商品化する中で、仲間とディスカッションし、アイデアを磨いていきます。ここで私的幻想は商品開発チームの共同幻想化します。売れる仕組み作りとは、開発チームの境界を外へ広げ、共同幻想化を広げることなのです。
近所のビル1階にあった居酒屋が4月末をもって閉店しました。老朽化したビルが取り壊されるためです。閉店あいさつの貼り紙には、5月8日から移転先で営業開始する旨があります。この店はきっと移転先でもこれまでと同様に繁盛するでしょう。なぜなら、お客さまのエコシステムができているからです。エコシステムとは、共同幻想を持つ人たちで形成される、ゆるいつながりの共同体です。

売れる仕組みも考える

商品を開発、店を開店、あるいは起業しようというとき、みんな「作る」ことばかりに意識が集中してしまいます。
これは会社員としてメーカーにいた頃、痛感したことです。
「より良い品質の、素晴らしい商品を作ろう!!」それはいいのですが、商品ができてから、「さて、これ、どうやって売ろうか」と途方に暮れる(笑)。実は売れる仕組みも同時に考えておくのが重要です。
私は、起業しようという人に最初にするアドバイスが「で、どうやってお客さまが来てくれる仕組みを作りましょうか」。答えは一つで、商品作りと同時にエコシステムを形成しておくことです。
フェイスブックのグループ機能を使うのが一番簡単で、やりやすいでしょう。お客さまがフェイスブックアカウントを持っていなくても大丈夫。イベントを定期的にやって、来る来ないは別として、常にお声掛けしましょう。エコシステムは新陳代謝するもの。イベントこそがその新陳代謝を促し、新しい人達を招き入れる働きをします。
売るのではなく、売れる。伝えるのではなく、伝わる。あくまでも自動詞を意識しましょう。結果的に、あなたのアイデアは共同幻想化し、広がっていきます。

阪本啓一

今週の教訓
エコシステムは商売の守り神です

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

持たない幸福論

「働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない」
(本文から引用)

企画中の本のテーマが「所有を捨てる」なので、参考のために手に取りました。著者は昔から学校や仕事が苦手だったといいます。体力がなくて疲れやすい、朝が弱い、集団行動も苦手。それでも「そういう風に思う自分がいけない」のだと思い、受験勉強して大学に入り、働きたくないなあと思いつつも就職しました。

そんな中、インターネットに出会い、「仕事辞めてもネットさえあれば、なんとかやっていけるんじゃないか?」と思うに至って、2007年夏に会社を辞めた由です。現在はできるだけ働かず、ぼーっとしていることを大事にしている。年収は100万前後ですが、シェアハウスに住み、人から要らないものをもらったりすることで、何不自由がないそうです。困りました。私があらためて書く必要がないのです(笑)。

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