2018/05/11発行 ジャピオン966号掲載記事

共感マーケティング

第177回 フォーカス・マーケティング

JOYWOWパートナー小室由歌利の本を6月に出すべく、現在、制作中です。自費出版ではありますが、よくあるしょぼい装丁ではなく、私が以前から憧れていた鈴木成一デザイン室のブックデザイン、外部の敏腕編集者に編集をお願いし、印刷会社とも仕事を進めています。原価計算ばっちりで、「**冊目以降、すべて利益」という目処も立ってます。つまり、何も出版社に頼らずとも、自社で出せる。唯一の問題は、流通つまり、読者への届け方ですが、問屋、書店、アマゾンでは販売しません。ここでJOYWOWらしいマーケティングをします。

仮想通貨がついてくる

「キラキラ本」とニックネームをつけ、「由歌利に会いに行かないと買えない」としました。勉強会、セミナー、パーティーなどで、由歌利から直接でないと買えません。価格は税込み3000円ですが、パーティーや勉強会は参加価格に含まれているので、実質無料です。一冊ずつシリアルナンバーを付けます。そのナンバリングが「買った印、キラキラID」になります。3000円支払うと、本と、3000JWという仮想通貨がついてきます。1JWが1日本円の換算。JWは次のJOYWOWから出る本に使えます。次が私のビジネス書の予定ですが、定価が仮に2000円なら2000JWで買って、残りの1000JWは貯金できます。

フェイスブックで「由歌利キラキラ本欲しい人!」と、この指とまれをやったら、たちまち170人集まりました。秘密のグループを作り、そこに入っていただきます。これで由歌利のエコシステムがはっきり可視化しました。読者の顔と名前とインタレストと人数が分かるのです。最後の仕上げはこの人達のことをイメージしながら本造りできます。

エコシステムの新陳代謝

これまでも由歌利エコシステムはつかんでいたのですが、エコシステムは日々変わります。中にいる人の環境が変わるから、これは致し方ありません。積極的に関与していた人も、ある日急に遠ざかったりします。いい悪いではなく、そういうものなのです。だから常にアップデートしつづけなければならない。

グループ内で「3000JWの使いみち」についてアンケートを取りました。「もう一冊キラキラ本を買う」「残しておいて次の阪本ブックを買う」。それぞれ何人いるのか数字が分かります。つまり、170人のうち、2冊買う人が何人、中には3冊買う人や会社で配布する、というメッセージも来ました。それだけで、発売前に初版1000部完売する目処がつきました。そして、キラキラ本を買ってくれる予定、つまり、「由歌利へのインタレストを持っているエコシステム」の80%が手にした3000JWを阪本ブックに使う、ということも分かりました。

つまり、由歌利エコシステムに、阪本がリーチすることができたのです。やがて阪本ブックが発売されたら、同じように3000JWをつけます。その次の由歌利の作品を買うのに使えるよ、とすると、今度は阪本エコシステムが新たな由歌利エコシステム形成に一役買うことになるのです。大手出版社や書店、アマゾンではできないこうしたマーケティング、これこそがこれからのやり方だと考えています。人のインタレストにフォーカスし、エコシステムを形成するフォーカス・マーケティング。オススメです。

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「キラキラ本」を抽選で5人に進呈。希望者はEメールに名前、住所、当コラムの感想を添えreader@nyjapion.comまで、「キラキラ本」を表題に送ってください。当選者のみ通達。

阪本啓一

今週の教訓
カギは楽しさの循環です

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

「たった1人」を確実に振り向かせると、100万人に届く。 「市場の空席」を見つけるフォーカス・マーケティング

「君のビジネスをつぶすには、どうすればいい?」(本文から引用)

自分の本で恐縮です。マスから個人へ。個人から個人のアタマの中にあるマイクロインタレストへ。その小さなインタレストに焦点を当て、商品作りをし、売り方を考える。

キーになるのは、エコシステム(コミュニティー)の形成です。誰に向けてかはっきりしないメッセージは、アテンションが希少な現代人には届きません。これまではまず商品を作ってから「さて、どうやって売ろうか」でした。これからは売り方から先に考えます。つまり、「どんなインタレストを持った人に届けようか」というやつです。

そのためには、製品・サービスで考えるのではなく、何の価値を提供しているのか、つまり、商品のキモとなる価値を蒸留することが大事です。「君のビジネスをつぶすには?」という問いは、そのためのものです。

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