2018/01/19発行 ジャピオン950号掲載記事

共感マーケティング

第162回 兆しを読む

 易経にハマってます。易経は、四書五経の中でも最古の書物。5000年前の成立といいますから、想像もつきません。論語ですらその半分、2500年前。その頃の人が、「五経って古過ぎて分かんねー!」と嘆いていたといいますから、現代の私たちには本当に難しい。

 易というと、「当たるも八卦当たらぬも八卦」を連想します。易者さんがじゃらじゃらして、「さて、そなたの運命を見てしんぜよう」と言うような。もちろん、占いの性格もありますが、ビジネスに生かすことができるのは、時間への考え方です。易経の英語タイトルは「Book of changes」、つまり「変化の書」です。

陰陽でとらえる 

 陰陽の太極を思い出してください。白、つまり陽が極まれば黒、陰になります。陰陽どちらかということはなく、コインの裏表のように、同じものです。

 これをビジネスに置き換えると、いまうまくいっているものが陽、イマイチ苦戦している、あるいは、お客さまがみんな不満に思っているものは陰です。

 陽はやがて陰に、陰がやがて陽転するのであれば、機会発見のヒントになるのです。たとえば、日本ではいま、タクシーに不満を持っている人たちがいっぱいいます。

 基本、老人がドライバーで、アナログ、頑固、道を知らない、車内清掃がされてない、それゆえ何となくにおう、スーツケースを入れようとトランクを開けたら汚い雑巾がぶら下がっている…。

 「タクシーに乗るのは我慢大会。臭いし、道知らないし、スマホで地図を示しても老眼で見えないと言われるし」。知人女性の言葉です。

 また、なぜかウーバーが日本には入ってきません。陰極まれり、というところです。だからこそ、機会の窓が開いていると考えます。

 例えば、乃木坂タクシーというのはどうでしょう?人気の女性アイドルグループ、乃木坂46メンバーのようなドライバーばかり用意します。街を流していないので、予約でしか乗れません。道を知らなくても「いいよ、ぼくが教えてあげる!」とお客さまがむしろ喜びます。そして、できるだけ長く一緒にいたいから、走行距離も伸びます。女性の場合は韓流やイケメンタクシーが受けるでしょうね。

 つまり、みんなが「もうダメだ」と口をそろえる陰を陽転すればいいのです。考えてみれば、ダイソンは、「もうこれ以上どうしようもないんじゃないの?」という製品ジャンルを再発明してきました。掃除機、扇風機、ハンドドライヤー、ヘアドライヤー…。

 バルミューダは家電量販店で3000円台の安売り合戦コーナーのトースターを10倍の価格で売れるよう再発明しました。

兆し 

 これを書いている今日は冬至( 2017年12月22日)です。一年のうち一番夜が長く、昼が短い。明日からは日一日と春が近づいてきて、昼の長さが長くなる。でもアタマでは分かっていても、寒さはこれからが本番です。小寒、大寒、節分ときて、ようやく春を迎えることができます。そうです。兆しは、実体とずれがあります。このずれが大事です。陰の真っただ中にいる人は「お先真っ暗だ、光はどこにも見えない」と絶望的になるかもしれません。しかし、陰極まれば陽に転ずる。そういう時こそ、勉強や、商品開発に汗を流し、陽転が一日も早く来るように仕込むのです。「日が長くなってきたね、若葉も芽吹いてきて」という、誰もが感じる兆しとは違い、一般的には誰も気づいていない兆し。これを捉えることが、ビジネスチャンスの鍵です。陰陽で捉えれば、見えてきます。

阪本啓一

今週の教訓
機会を見つけましょう!

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

人生に生かす易経

「易経をよく学べば、占わなくても先々を察知することができる」 (本文から引用)

 竹村さんは1970年代に易経に出会って以来、ずっと研究家として学んできたといいます。

 仕事や人生、生活にどう生かせばいいのか、竹村さんの実体験を元に書いておられるので、すいすい入ってきます。特に乾為天の龍の話は、人生にも、人の育成にも、事業の盛衰にも当てはめて読み取れます。ゆっくりと着実に成長する。不遇なときほど身を律し、勉強したり修養に充てる。吉凶いずれも、わが身を振り返り、どのような心構えで過ごせばいいのかで変わります。

 つまり、運命は決定論的に決まっているのではなく、自らが切り拓いていくもの。無い時、無名の時、失意の時こそが、可能性に満ちた時である。このような勇気をいただきました。私の人生哲学「起こったことはすべていいこと」の論証にも役立ちました。

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