2017/12/15発行 ジャピオン946号掲載記事

共感マーケティング

第158回 普通名詞ではなく色を

 シェアハウスで集客に苦労している人がいます。彼らは「シェアハウス」という普通名詞で人を呼ぼうとしているから人が来ないのです。ブランドつまり「色」が必要です。

 2000年に独立する際、既に「マーケティング・コンサルタント」は普通名詞でした。それでは「とんがり」にならないと判断しました。

 日本で「こんにちは!このたびマーケティング・コンサルタントとして独立しました。よろしくごひいきに」と旗立てたところで、私以外に優秀なコンサルタントは山ほどいます。マッキンゼーなど「ブランド」カンパニーもあります。コンサルティングという仕事は製品のように手で触わることも、料理のように香りを楽しむこともできません。

 「コンサルティングを受けてみて、初めて品質が分かる」という、お客さまにとってはリスキーな性質を持っています。だからなおのこと、品質が担保されるブランド・カンパニーまたはそこの出身でもなければ、仕事は来ないと判断しました。

 そこで、「ニューヨーク帰り」という帰国子女作戦を取りました。「帰国子女」と聞けば、何となく賢そうじゃないですか(笑)。ニューヨーク帰国子女コンサルタントが、私の色になりました。

 現在の経済は「自己実現市場」「ファッション市場」という二つの特徴を持っています。もう、「何かが足りないから補充する」という経済成長期のような充足購買動機では、お客さまは動きません。自分を高めてくれるヨガ、スポーツレッスン、ビジネススクールなど、自己実現のための購買動機が重要なのです。

 ファッション市場とは、「すべてがファッション化」しているということです。iPhoneは携帯電話ですが、携帯電話として使う人は少なくなりました。アプリ活用によって、各自自分のライフスタイル、ワークスタイル用にカスタマイズしています。

 ウエディング会場で仕事していて、制服ポケットにジャストサイズだから敢えて8やXではなくiPhoneSEを選択している人がいます。

 ならば、シェアハウスの色も、「自己実現市場」「ファッション市場」いずれか、あるいは両方に訴求するものでなければ魅力的になりません。

▽自己実現ならば

・食堂がセミナールームになり、住人それぞれがセミナーやレクチャーし合うことが入居条件
・DIYハウスとして、何でも自分たちでできるだけやってしまうことが入居条件
・コンセプトを「ライブラリー」とし、あるテーマに沿った本がとんでもなくそろっている

 何でもいい、どんな本でもある、というのではダメで、地球物理学とか日本史とか、絞られたテーマのライブラリー。

 お手本になるのが志摩観光ホテルクラシックのライブラリーです。神話のふるさと伊勢志摩らしく、古事記から手塚治虫の『火の鳥』まで「神さま」関係の文献がそろっています。

▽ファッションならば

・ウォーキングレッスンを定期開催する
・お互いのファッションチェックを義務化する
・ファッションコーディネーターを呼んで勉強会をする

 など、アイデアはいくらでもあります。

 そして、この「色」が、エコシステムを形成する接着剤になるのです。普通名詞では、人は来ません。今度出版社を起業しようと計画しています。その場合も、ただ「出版社」では普通名詞です。どんな色をつけるのか。ここにブランド化する楽しみがあるのです。

阪本啓一

今週の教訓
普通名詞に色をつけましょう

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

「海外のエリート養成では、まず『哲学』が土台にあり、その上で功利的なテクニックを身につけさせるという側面が強いのに対して、日本では、土台となる部分の『哲学教育』がすっぽりと抜け落ちていて、ひたすらにMBAで習うような功利的テクニックを学ばせている」(本文から引用)

 著者は要素還元主義的、分析的なMBA的思考はもはや有効ではないとし、アート的アプローチが有効であると主張します。もともとコンサルティングは経営にサイエンスを持ち込むことで付加価値を提供するものでしたが、そのやり方は賞味期限切れだと言います。

 「ビジネスの世界にJOYとWOWを!」というビジョンを掲げる私にとって、強い援軍を得た気分です。聞けば、著者は葉山在住との由。ブログを読むと、懐かしい葉山の景色があります。早速フェイスブックで連絡を取り、つながりました。

 「何か面白いこと、一緒にやれたらいいですね」と交わしています。NYはアートに触れる機会満載の街。ぜひ、観劇、映画、美術館、博物館など、アートに親しんでくださいね!

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