2017/09/22発行 ジャピオン934号掲載記事

共感マーケティング

第147回 変化に寄り添う

 ホノルルに滞在しました。4年ぶりです。インターナショナルマーケットプレイスがきれいなショッピングモールに変身していて驚きました。しかもサックス・フィフス・アベニューも入店しているではないですか! あの、薄暗い、怪しいローソク売りのいた魑魅魍魎が跋扈するイメージの場所が、まるで六本木に来たかのような「シュッとした」イメージになっていました。

キレイで明るい
でもつまらない
 

 DFS(免税店)も、「百貨店内にある高級ブランドフロアだけを集めました」、というクリーンで明るい店にリノベーションされていて、まるで別人でした。キレイ過ぎてつまらない。

 一方、ロイヤル・ハワイアン・センターは閉店のコーナーが目立ち、まるで地方の商店街みたいな感じでした。

 アラモアナ・ショッピング・センターは日曜だからなのか、地元の人たちで混んでいる感じで、ショッピングに励む観光客はあまりいないようです。入居しているメーシーズ、ニーマン・マーカス、ブルーミングデール、いずれも閑散としています。

 カハラ・モールも行きましたが、欲しいと思える商品がない。ここのバーンズ&ノーブル書店の空気感は好きだったのに、安売り王ロス・ストアーズに取って代わられてしまっていました。カハラが高級住宅地というのは、一体いつの話なんだろうと思いました。ロス・ストアーズがあちこちにあって、びっくりしました。

 ロス・ストアーズ以外、「一体これでモトが取れているんだろうか?」と思いました。採算、厳しそうです。

地元の風を感じる店
ほしいのはワクワク
 

 閑散としたDFSを出て、向かい側にあるTシャツ店ナル・ハワイアン・スピリットはハワイの風を感じさせるデザインで、ホッとします。ここで自分と友人への土産のTシャツを買いました。一枚30ドル程度です。ワクワクして選びながら、高級なものでなくても、欲しいのはこういう「地元の風が詰まったもの」だと思いました。並びにある「ハワイ・カワイイ」は女性向けのかわいいドレス専門店。店名通り、店内にいるお客さまは「カワイイ!」を連呼していました。

 新聞によれば、トイザらスが連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し経営破綻する可能性があると報じられたほか、衣料品チェーン大手のギャップも約200店の閉鎖を発表しています。お客さまがアマゾンを始めとするネットでショッピングする購買行動の変化を理由にする論が盛んですが、それは限定的だと考えています。真の理由は、「そもそも、もう、どこでも買えるモノは欲しくない」のです。

インスタ映えで勝負
小さなホテル

 サーフジャックホテルは、ワイキキの混雑から一歩離れたクヒオ通りのちょっと入ったところにある小さなホテルです。建物がプールを囲むようにコの字になっていて、部屋があります。プールの底にはブランドの統一メッセージ「WishYou Were Here!」が。

 ここはコンセプト企画段階で「インスタ映え」を考えており、写真映りを意識したスポットがあちこちにあります。ビーチ沿いにある巨大なビッグブランドホテルと競争しても仕方ない。「インスタ映え」一本で勝負する心意気を感じました。

 ナル・ハワイアン・スピリット、ハワイ・カワイイ、サーフジャック・ホテルの体験から学ぶことは、「新しい意味を付与する」姿勢です。お客さまの欲しい動機が変化した現在、その変化に寄り添い、独自の意味を提案すること。これが重要です。

阪本啓一

今週の教訓
新しい意味を提案しましょう

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

「こんなもの誰が買うの?」がブランドになる

「ブランドにすることが目的なのではない。ブランドに宿る『楽しさ』『ワクワク』『喜び』『感動』『愛』ことが大事なのだ。そして循環させること。」(本文より引用)

 自分の本で恐縮です。タイトル通り、どんなものでもブランド、つまり、ファンのお客さまがついてくれて、売れる商品になる、その方法について書きました。

 今のお客さまは、一人一台、24時間寝ても覚めてもスマホを持って、SNSでつながりっぱなしの環境にいます。しかも、モノは要らない、乾いてない。そんなお客さまに支持されて売れるためには、「共感」をベースに、明確なビジョン&ミッションを宿している必要があります。

 iPhoneのような生まれついての天才ばかりじゃ世の中面白くない。「ただの」掃除機、トースター、ハンコ、軍手、ゴムシート、猫カフェ、キャンドル、レストラン、タオル…をブランドにした人たちに焦点を当て、読者の商品がブランド化するヒントを満載しました。

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