2017/07/28発行 ジャピオン926号掲載記事

共感マーケティング

第139回 現実が答え

 生まれて59年、ビジネスの世界に入って36年、その経験から分かったことがあります。それは、「現実が答え」というシンプルなものです。

 「そんなはずはない」「まだオレは本気出してないだけ」。いえ、あいにくですが、「望んだこと」であり「本気出した結果がこれ」なのです。

 考えてみてください。あなたはニューヨークに住んでいます。動機はそれぞれでしょう。人によっては、会社の命令で転勤してきたから、自分の意思ではない、という方もおられます。でも、「ニューヨークに住んで、仕事している」現実を生み出したのは会社でも他のだれでもない、あなたなのです。

潜在意識には2種類
地下一階と地下二階
 

 人間の意識には顕在意識と潜在意識の二種類があります。顕在意識は起きて、自分で認識できる意識ですね。そして潜在意識にはさらに二種類あります。地下一階と地下二階。地下一階は、時に顕在意識へ、つまり水面上に顔を出します。夢で見るとか、酔っ払ったときのホンネとか。つい感情的になって口走ってしまった一言とか。すべてあなたの地下一階に存在しているものです。

 地下二階がやっかいです。全く意識にのぼりません。だから本人にも何があるのか、さっぱり分からない。分からないが、恐ろしいことに、地下二階は、現実を作るのです。あなたの周囲を見回してみましょう。それが現実です。すべて地下二階が生み出したものです。

 「いやいやいや、それはないでしょう。うちの店が繁盛しているのは、私がお客さまへ真摯に向き合い、メニュー開発やら何やら懸命になって取り組んだ結果だ。すべておめめぱっちり、起きた中でやったことだよ。それが地下二階? ちゃんちゃらおかしいね」

 繁盛しているお店は、それでいいのです。あなたの地下二階が「繁盛店を作る!」と決め、顕在意識に指令を出し、「お客さまへ真摯に向き合い」「メニュー開発やら何やら懸命になって取り組む」ようにしたのですから。

問題は「やり方」でなく
喜びを感じる「あり方」
 

 問題は「繁盛していない店」の場合です。

 真面目な人ほど、やっかいです。知人の店はもうかっていません。真面目に取り組んでいます。非常に勉強熱心で、あちこちの勉強会に顔を出し、新しい手法を学んできては、試します。しかし、結果につながりません。

 地下二階理論からいえば、「儲かっていない現実」は彼の望んだ結果です。

 彼は、仕事を楽しんでいません。今の商売も、本気で好きなわけではない。これまで長年やってきたからという見栄やプライドで続けているだけで、仕事自体に喜びを感じていないのです。だから、問題は「やり方」ではない。彼の「あり方」つまり、心底喜びを感じられる仕事を選択し、無我夢中で取り組めるようにチェンジすること。

 彼の店がもうかるようになるには、「ノウハウ」では効果が出ません。地下二階の動機はいついかなるときでも「喜び」です。やっていて喜びを感じられる商売に変えてしまう勇気。

 成功者の本は面白い。しかし、同じことをやって同じように成功できるとはさすがに誰も考えないでしょう。それは後知恵だからです。

 成功者といえど、急流の中にいたときは、「えいやっ!」で意思決定したこともあったし、「結果オーライ」だったはずなのです。しかしこれだけは言えます。成功者は全員、仕事を楽しみ、ほれ込んでいたということを。

阪本啓一

今週の教訓
ほれてほれてほれ抜ける
商売をしましょう

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

本竜宮城と七夕さま

「人間は万事において創造者たりえず、信託された者だからである。」 (本文から引用)

 親戚が勤務する関係で利用する飛行機は国内、国外ともにJALです。

 席に着くととすぐ座席ポケットにある機内誌を広げ、浅田次郎さんの連載コラムを読みます。そしていつも、「うまいなあ」と筆の冴えに感動感心するのです。

 江戸っ子のきっぷの良さ、人の気持ちへの繊細な理解と行き届いた心配り。ユーモアたっぷりのお人柄。広く深い博学。旅する作家の日常に同伴させていただく楽しみを味わえます。

 引用した言葉は、「人間がすべてをやっている気でいるが、実は神様が人間を使ってやっておられるのだよ」という意味で、わたしも常にそう思っています。

 仕事にせよ、私生活にせよ、「出た結果がいい結果」「起こったことはすべていいこと」という哲学を持っているベースにあるのは、この考えです。

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