2017/05/05発行 ジャピオン914号掲載記事

共感マーケティング

第128回 非常識でいこう!

ネコでビルが建つ? 

 ネコリパブリック(里親探しの自走式保護猫カフェ/www.neco-republic.jp)の創業者、河瀬麻花さんが「ネコビルを建てたい!」と言ったとき、誰もが「ネコでビルが建つものか」と思いました(笑)。また同時に「もしビルが建ったら面白いかも」とも思ったものです。ところがどっこい、大阪の繁華街・心斎橋のど真ん中に5階建てのビルが建ってしまいました。

 商売で大事なのはここです。「みんなが納得するようなアイデア」は凡庸です。なぜなら「みんなが納得イコール最大公約数」だからです。既視感ある、「まー、そこそこ。でも面白味ないね」のアイデアなのです。

攻めるアマゾン 

 日本では物流問題が熱くなっています。慢性的な人手不足、ネット通販の普及による荷物の増加、顧客要求の高度化(時間単位で配送指定、不在再配送が多い、など)などで、宅配業者が悲鳴を上げています。

 アマゾンの配送を受託しているヤマト運輸が当日配送サービスから撤退する方針を固め、かつ運賃の引き上げを要求したことが大きなニュースになりました。それと呼応するように、顧客やネット通販会社サイドも、「無理に同日配送しなくていいよね。買う側も考えなきゃね」なんていう会話がSNSで流れたりしています。

 そんな中、「アマゾンが自社で効率配送」というニュースが飛び込んできました。逆風にもめげず、取引のある百貨店やドラッグストアと組んで、注文の商品を提携先の店舗から顧客に届けるのです。

 物流を取り巻く環境の中でよくある意見は「そうだよねー。だから配送時間を短縮するとか、顧客のわがままを聞くとかいうのは、いいかげんセーブしないと、商売立ち行かなくなるよねー」です。

 おそらくみんなが賛成する意見でしょう。アマゾンのすごさは、「だったらその逆を行こう」とするファイトです。「みんなが納得するんじゃあ、いい商売なんか、できるかっ!」この気概がアマゾンをここまで成長させたのです。

ネスレのレンズ 

 人はみんな独自のレンズを通して世の中を見ています。ブランドを作る、というのは新しいレンズを提案し、それによってライフスタイルを変えてもらうことをいいます。

 1867年創業以来150年、常に世界のGDPを上回る成長を続ける世界企業ネスレは、粉ミルク、インスタントコーヒー、ボトルドウォーター、ネスプレッソ…など数々の新しいライフスタイルを提案し続けています。だから成長するのです。

 母乳で十分な栄養を取れない赤ちゃんに栄養のあるミルクをあげたい。忙しい朝、それでも一杯のコーヒーを楽しんでから出掛けたい。会議中でも喉を潤したい。会社の外に出なくても、安く簡単にひきたてのおいしいコーヒーを楽しみたい…。これらの新しいレンズを提供したのです。粉ミルクも、インスタントコーヒーも、全て、今となっては当たり前に生活の常識になっていますが、常識は常識から生まれないことが分かります。

「母乳を粉末で? ばっかじゃないの?」「お湯で溶かして作ったコーヒー? そんなの、香りも味もないだろう」。アイデア段階では、きっとそんな「常識的」意見が優勢だったに違いありません。「だからこそ」担当者は腕まくりして開発したのでしょう。

 あなたのアイデアが、反対意見で集中砲火を浴びたとしたらチャンスです!壁など何ほどのものかと突き進みましょう。きっと大ヒット間違いなしです。

阪本啓一

今週の教訓
「みんなが納得」は危険です

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

古代マヤ・アステカ不可思議大全、 マヤアステカ遺跡へっぴり紀行

「アメリカ大陸は16世紀にスペイン人が来るまで、ほかから影響をいっさい受けていないオリジナル文化。そのあまりの珍妙さやカワイさに、ヨーロッパの影響がまったくないとこうなるのかー、とたびたび度肝を抜かれました。」(本文から引用)

 姉妹本なので、2冊同時にご案内。知っているようで実は知らないメソ(中央)アメリカの古代文明について調べに調べ、実際に現地へ足を運び取材をした本。マヤ、ワステカ、トトナカ、オルメカ、サポテカ、アステカ、テオティワカン、ミシュテカ、タラスコ…ちょっと小耳に挟んだといえば「マヤ」「アステカ」くらいでしょうか。

 著者は神話や宝物、生活習慣、宗教儀式などを全部手描きイラストと文字でつづります。いやー。これはすごい。単行本2冊で540ページを全部手描きですよ。熱量たるや。ページから古代文明の息吹や遺跡の風、においまでが立ち上ってくるようです。メキシコ人たちの人の良さ、優しさに触れる紀行文でもあります。そう、著者は古代文明を描きながら、実は人間というものを観察描写しているのです。深い一冊。

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