2017/04/07発行 ジャピオン910号掲載記事

共感マーケティング

第124回 応援したくなる企業に

 銀行、特に地方銀行に詳しいT氏(彼は地銀専門のコンサルタント)から、「銀行は、中小企業のココを見ている」という話を聞きました。米国と日本では事情が違うかもしれませんが、基本、少子化で人口減であり、生産年齢人口が減少しているなど外部経済環境が共通していますので、同じと見ていいと思います。

企業の中身を見て支援 

 平成26事務年度金融モニタリング基本方針で金融庁は「金融機関は、財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、借り手企業の事業の内容や成長可能性などを適切に評価(事業性評価)し、融資や助言を行い、企業や産業の成長を支援していくことが求められる」としています。 

 イケイケドンドンで放っておいても経済が右肩上がりになるわけではない時代、企業の中身をよく見て支援しなさい、ということですね。とても良い傾向です。とはいえ、複雑なこの世の中、銀行はあなたの事業の成長性を見極めるのは難しい。だからこそ、次のような点を見て判断します。

銀行が見る8要素 

 銀行はあなたの事業が成長するかどうかという難しい判断より、非常にシンプルに、「この会社はお金をきちんと返してくれるか」という判断を優先します。では、何をもって「きちんと返済してくれるか」を判断するのか。

 第一に、社内がきれいで、整理整頓されている。第二に、従業員が来客にきちんとあいさつする。

 第三に、時間を守る。銀行員の世界では、「五分前に集合」は当たり前です。T氏が講師を務める銀行員向けセミナーでのこと。午前9時開始なのに、8時40分過ぎにはもう集まっている。頭取が部屋に来たのは8時50分。つまり銀行員の世界では、「遅刻」というのはあり得ないのです。だからアポ時間に遅れるなどもっての外。その段階で予選落ちです(笑)。

 第四に、ウソをつかない。都合悪いことほど正直に話しましょう。第五に、約束を守る。第六に、身なりが整っている。「人を身なりで判断する」教訓は、銀行との付き合いでは正しいのです。

 第七に、経営者にポリシーがある。ドラマ「半沢直樹」で、こんなエピソードがありました。

 ある町工場。銀行の融資担当者(半沢直樹)が経営者に、あえて意地悪な質問をします。「社長、全部機械化することを融資の条件にする、と言ったらどうします?」。それに対する社長の答え。「本当に今、苦しいですが、手作業だからこその、工作物に触って・感じることで、精度を高めていくこだわり、つまり熟練の技をポリシーとして大事にしているので、機械化で生産性を高めろという条件はのめません。それなら、融資はお断りします」。

 この回答で融資が決まります。銀行は、経営者の哲学を見ているのです。

 第八に、数字に強いか。銀行員と話すのに、数字を基に話せるかどうか。戦略を、きちんと数字に翻訳して話せる社長は信頼されます。数字が分からず、「その件は部下に…」と言うようでは、「大丈夫か?」と思われます。「倒産した企業に一つだけ共通するものがある。それは、社長が数字に弱いことだ」とは、帝国データバンク調査部長の言葉です。

 いずれも「経営者として当たり前」のことばかりです。この基本をしっかり守った上で、「よし、ここを応援しよう!」と思わせるようなビジョンやミッションがあれば、鬼に金棒。

 そしてこれは、銀行のみならず、お客さまの立場に立っても、同じです。応援したくなる企業を目指しましょう。

阪本啓一

今週の教訓
基本を守りましょう

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

「数字」が読めると本当に儲かるんですか?

「高い授業料を払ってわかったのは『お金はあとからついてこない』」(本文から引用)

 著者は楽天市場で人気の生花店「ゲキハナ」を運営する現役の経営者です。彼が生花店を起業し、やがてインターネット販売に主軸を移してから年商1億円を達成。

 ところがちっとも儲からない。手元にお金が残らない。なぜだろう?ともがいてもがいて、もがいた結果行き着いたところが、「魔法のメガネ=限界利益」。

 管理会計に目覚めた彼が、売上高よりも利益優先の経営を始めて以来、黒字経営を継続し続けています。全て実体験を基とした内容なので、とても説得力があります。

 今だ、世の中には売上高優先の経営者が大きな顔をしていますが、大事なのは「限界利益」です。本書を読んで、ときに大笑いしながら、楽しく管理会計を学びましょう。

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