2017/02/24発行 ジャピオン904号掲載記事

共感マーケティング

第119回 思考が決める

マザー•テレサの言葉を紹介します。

 「思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから言葉に気をつけなさい。
 それはいつか行動になるから行動に気をつけなさい。
 それはいつか習慣になるから習慣に気をつけなさい。
 それはいつか性格になるから性格に気をつけなさい。
 それはいつか運命になるから」

「死んだ」店 

 ひいきの洋服店から閉店を知らせるハガキが届きました。そこは横浜と京都にも店舗がありますが、大阪店のセレクトが一番自分に合う気がして、主にシャツを購入しています。店長やスタッフにあいさつがてら立ち寄りびっくりしました。店が「死んでる」のです。

 無生物の店が死ぬとはおかしな表現ですが、そうとしか言いようのない空気が店内に満ちていました。

 いつもはハキハキと元気の良いスタッフも、あいまいな表情。ハンガーにかかったスーツやシャツも、以前なら「どれにしよう、どれか選ばなきゃならないのに、みんな欲しくなる!」とワクワクしたものです。

 しかし、以前と同じ服であるにもかかわらずワクワクしません。半値以下の値札が付いていて、間違いなくお買い得なのですが…。

 この時、私は買い物客の不思議な心理を実体験しました。未来のない店にお客はワクワクしない。閉店と決まった店で働くスタッフの心理がそのまま店の空気を死なせていたのです。

 店舗はハードウエア、不動産、言ってみれば箱なのですが、顧客の買いたい気持ちに点火するのは決して箱ではなく、箱を満たす「店の空気」なのだと分かりました。

午前中にお伺いします 

 オフィスを引越すことになり、打ち合わせのため引越会社担当者が来訪することになりました。何時になるかは当日電話であらかじめ連絡をもらうことになっていたのですが、待てど暮らせど連絡がこない。

 やがてお昼が過ぎました。予定もあるので、引越会社に電話したところ、電話口の人が「確認して、折り返し致します」。それから2時間半。午後3時ごろになろうかというとき、さすがにこれ以上待てないのでもう一度電話したところ、驚くことにまた最初から説明が必要でした。

 結局、その後営業マンから平身低頭の電話が入ったのですが、なぜこんなことが起きるのでしょう。

 組織風土です。風土とは分かりづらい言葉ですが、「顧客からの電話を無視、またはないがしろにする組織の習慣」と言えます。

 マザー・テレサの言葉に従うなら、習慣は行動が、行動は言葉が、言葉は思考が作ります。つまり、くだんの引越会社社員の思考が表れた結果なのです。

根っこに思考がある 

 店じまいの死んだ空気といい、引越会社の風土といい、さかのぼると根っこには思考があります。

 「男はつらいよ」寅さんの実家の団子屋「とらや」裏にある印刷会社のタコ社長がしょっちゅう「大変だ大変だ」とマイナスなことばかり口にしています。だから大変なんです(笑)。みんな真面目だから、つい「こうなったらどうしよう」と事前の備えを考えます。そんなもの、なったときに考えればいいのです(笑)。

 レストランなら、新メニューが当たるかどうかなんて、誰にも分かりません。だったら、「大ヒットで行列のできる店になるきっかけになった」状態を頭に描くのです。

 戦略、戦術、全ての思考を「都合のいいように」してみましょう。都合のいいような結果を生みます。

阪本啓一

今週の教訓
都合のいいようにだけ、考えましょう

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

動的平衡2 生命は自由になれるのか

「因果律も決定論もないのです。(中略)私たちの世界は原理的にまったく自由なのです。」 (本文から引用)

 生命現象が機械論的な部品の寄せ集めではなく、分子の動的な平衡であることを語った前作に続き、本書で明らかにされるのは、宿命や運命、さらに因果律や決定論もなく、生命は自由なのだという謳歌(おうか)です。

 遺伝子はあくまで楽譜であり、それをどう演奏するのか、スイッチをオン・オフにするのかは各自に委ねられています。

 私は会社も生命体だと考えており、動的平衡こそが会社の「現在(いま)」。だからこそ、時代の流れとともに分解、合成を重ねていかなければ会社は成長できません。 

 因果も決定論もなく、どんな意思決定も選択も自由であり、だからこそ楽しい、やり甲斐がある。

 福岡伸一先生はいつも私たちを勇気づけてくれます。

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