2016/08/26発行 ジャピオン879号掲載記事

共感マーケティング

第95回 情報獲得法

 ビジネスに最も必要な力は気付く力です。気付くためには情報が欠かせません。今日は、わたしの情報獲得法をご紹介します。

新聞は紙で読み
電子で保存する

 紙の新聞は日本経済新聞(日経)と朝日新聞に絞って購読しています。私が注目するのは、文字通り「小さい記事」。一面見出しとか、サイズが大きな扱いの記事は無視します。なぜなら、そういう大きなニュース(例えば今、原稿を書いている14日ならば、SMAP解散)は放っておいても目にします。SMAP解散は昨夜からツイッターで嫌というほど流れていました。そういうビッグニュースではなく、つい見逃してしまいそうな小さな記事(地方版とかのしかも下段にあるような)に注目します。例えば、
 「ゴルフ場で流れ星観望会 あす和歌山・紀美野町で」(日経、2016年8月11日付)

 これはペルセウス座流星群をゴルフ場の芝生に寝転んで楽しもうと、和歌山県紀美野町立みさと天文台が地元のゴルフ場の協力のもと、企画したものです。ゴルフ人口が減少し、どこのゴルフ場も経営が厳しい中、こういう使い方があるのか、と目からウロコでした。早速その場でiPhoneを取り出し、日経電子版のアプリを立ち上げ、検索し、記事が出てきたら保存。紙の記事をハサミで丁寧に切り取ってファイルしていた頃もありますが、検索性に乏しいし、保存も大変、何しろ持ち歩けません。「外にいること」がデフォルトの私には、手元のスマホにいつでも保存記事があることは最強です。

多くのエリアの新聞
電子版で読む

 北海道、秋田、広島、沖縄…これまで仕事で訪問したり、現在もお世話になっているエリアの新聞は電子版で目を通します。ここでも「その地方ならではの記事」を探します。

 例えば沖縄ならこの夏、ヤギ肉の価格が高騰しました。ヤギ汁の価格が以前なら1000円程度だったのが、現在は1500円から1800円に上がってしまったとの由。そこで那覇に行った折、地元の人にヒアリングします。「毎日飲むものではないけれど、やはりこの値上がりは痛い」という実感を生で聞くことができました。無料で読める範囲は限定的ではありますが、日本はもちろん、世界中の新聞をウェブで閲覧できるいまの時代、なんと幸せなんでしょう! 活用しない手はありません。

若い人と対話する

 デジタルネーティブ、物心ついたときからネットに接してきた若者が社会人になって第一線で活躍しています。彼らに情報収集方法について聞いてみると、やはり参考になります。若い人たちは「デートに使えるクールなカフェ」を探すのに、グーグルは使いません。インスタグラムのハッシュタグ、例えば「#cool cafe yokohama」といったもので検索するのです。また、好きな芸能人をフォローして、彼女たちが身につけている服や時計などをフォローしています。つまり、かつての芸能雑誌(「明星」とか。古い!)やファッション雑誌の役割がインスタグラムに置換されているのです。

映画を観る

 年間50本は観ています。観たいものだけではなく、自分の関心には外れてしまうテーマの映画も観ます。結果、「さっぱり分からない!」体験をすることになります。それがいいのです。自分が分からないだけで、でも、映画制作者たちは現代にその作品を問う価値を持っている。「分からないこと」に接するのです。

阪本啓一

今週の教訓
情報は、気付き

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

「無知」の技法 不確実な世界を生き抜くための思考変革

既知の先には可能性に満ちた土地が広がっている。境界線から逃げずにいれば、まったく新しい学び、創造性、喜び、不思議と出会えるかもしれない。本書ではその体験を「知らない(Not Knowing)」と呼ぶ。(本文より引用)

 大学に入った息子が「(大学の意義は)知らないことがこれだけ多く満ちていることと、学ぶことの楽しさ」と言っているのを聞き、「知らないこと」の大切さについて議論しました。

 今、日本で公開中の映画「シン・ゴジラ」で未知の生物が襲ってきたとき、学者たちは既知の知識だけに頼って、現実を見ようとしませんでした。しかしこの傾向は、現実の仕事や生活でもよくあることです。知らないこと、予想もつかないことに対峙する方法を、「特別なもの」とするのではなく日常化する。ビジネスにとって大事なことは、やみくもに知識を増やすことではなく、この、姿勢や行動について身体化することなのではないかと考えています。突然視力を失って「盲目の写真家」となったマルコ・マルティネスの話など、魅力的な事例が満載。

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