2016/08/19発行 ジャピオン878号掲載記事

共感マーケティング

第94回 アクセスしやすくしよう!

 さる地方のホテルチェーンから社内研修の依頼メールが来ました。日程を見てみると空いているし、お世話になっている某氏からの紹介のようで、喜んでやらせていただきます、と速攻で返信しました。

 私はメールを読んだら、その場で返信する癖があります。置いておくと返信を忘れてしまうので。先様からは翌日「では、社内で検討し、またご連絡します」と返信がありました。それがほぼ1カ月前。

 今朝、先のスケジュールを固める仕事をしていて、空けたその日程が気になりました。メールの返信が翌日になるとちょっと都合悪い。SNSをやっていればフェイスブックかLINEで連絡がつくのですが、あいにく先様はやっていない。仕方なく電話しました。通常であれば「ああ、阪本さん、このたびは・・・」となるところが、「・・・・?」と不思議そうな対応。電話の向こうから微妙な空気が流れてきます。これは担当違うのかな? とメールの差出人の名前を再確認したところ、ご本人でした。

 「あ。連絡入れてなかったですかね。日程をもう一度練り直してみようとなりまして」

 「そうですか。じゃあ、今回はとりあえず今の所はなし、ということでよろしいですね?」

 「はい」

アクセスしにくさ

 私はこの会社からのオファーを今後受けないことをその場で決めました。理由はいろいろありますが、実は最も大きなものは「アクセスの面倒臭さ」です。いまや電話かメールしか連絡しようがない、というのは、私にとって耐え難いアクセスの悪さなのです。

 私はクライアントとはフェイスブックメッセージまたはLINEでやりとりしています。必要ある場合はフェイスブック・グループを立ち上げ、そこでファイルやリンクの共有をメンバー間でします。その便利さを知っているので、メールはまどろっこしい気がするのです。

 思えばこの体内時計の感覚、時代と共に速くなってきていると思います。

 1980年代はまだ工業化社会の名残があり固定電話が中心ですね。だから相手が不在の折は「折り返し」電話をいただく。

 90年代半ばからは携帯電話が普及しましたから、話したい人とダイレクトにつながることができた。「話したい」と「話せる」の時間差が固定電話で誰か最初に出た人につないでもらうより断然速くなりました。

 そして2000年代はメールが加わりました。メールの返信はその日のうちに欲しいもの。翌日だったら「遅いなあ、何してんだろう」となります。加速しています。そしていま、SNSの時代は「瞬間」になりました。「既読になってるのに、どうして返事くれないんだ? あーん?」(笑)。

アクセスは一発速攻

 人間の「コミュニケーション速度」が「1日単位」から「瞬間」へと加速していったわけです。これは顧客とお店やオフィスとの連絡速度にも大事な要素です。広島の「heelandtoe」(www.rakuten.ne.jp/gold/heelandtoe)のメルマガはリアルタイムな体内時計を持ったコンテンツで人気です(今日の話題が写真付きで盛り込まれている。たとえば8月7日であれば前日の原爆の日の様子など)。

 あなたのお店やオフィスは、お客さんがアクセスしやすいですか?JOYWOWは私に連絡しようと思えば、フェイスブックメッセージで一発速攻です。だからウェブサイト、やめました。フェイスブックをやっている人にお客さんを限定することになりますが、それでいいと考えています。アクセスしやすさが注文しやすさ、です。

阪本啓一

今週の教訓
アクセスしやすさが注文しやすさ

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

はみだす力

「そっか!私は考え方が違うから、ここに呼ばれたんだ!」 (本文から引用)

 引用した言葉は、著者がMITメディアラボ助教に就任し、初めて教授会に出席した際に思った考えです。

 周囲の教授たちはアーティストの著者よりエンジニア的思考を持っているため、話し合いながら、「私と考え方が違う・・・」と不安になる場面がよくありました。そんなプレッシャーの中でひらめいたのが「違うからいい」というもの。

 著者の「はみだしはじまり」は保育園から始まります。そこから「みんなと一緒じゃなくていい」「答えをたくさん見つける」「普通を疑う」・・・というスプツニ子! 世界観が生まれてきたのだと分かります。

 何しろフツーじゃない。高一の時に角刈りしちゃうんですから(笑)。生きる勇気と、仕事を精力的にやりこなす力をもらえます。大傑作。

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