2016/04/08発行 ジャピオン859号掲載記事

共感マーケティング

第77回 計数管理をしよう

まず基本用語を覚えよう

 経営に使うお金には「資金調達」と「計数管理」の2種類があります。資金調達は、銀行など金融機関から融資してもらう方法が一般的です。この他、クラウドファンディングという資金集めの方法がありますが、これはプロジェクト単位で考えるのが適切であり、経営で恒常的に使うものではないので、今回は別にしておきます。

 計数管理は店や会社が利益を出すために必須です。まず、基本用語を覚えましょう。例をレストラン経営にとってみましょう(ニューヨークの相場が分からないので、通貨単位を円で解説します)。

 「固定費」は家賃、水道光熱費、人件費、リース費など、気絶していても寝ていても一定金額が掛かる費用のことです。アルバイト代は勤務時間によって変動しますが、後に述べる理由によって、これも一定時間内に定めておき、固定費化するのが良いでしょう。

 「変動費」は野菜などフードの仕入れ、ドリンクの仕入れなど、日によって、売上によって変わる費用のことです。法人クレジットカードの支払いは、これも毎月の「使っていい金額」を決めておき、固定費化することをおすすめします。

 「売上」は売上単価と個数を掛け合わせたものです(売上単価×個数)。売上を上げるには、単価を上げるか、客数を増やすか、その両方か。この三つしか方法はありません。

損益分岐売上高を知る

 では、お店が儲(もう)かるか、赤字かの境目となる「限界利益」(損益分岐売上高)はどうやって出せばいいのでしょう。限界利益とは、1単位増えれば増える利益のことで、売上と変動費の差で求めます。

 限界利益から固定費をマイナスした金額が儲けの「利益」です。現実にはここから借入金の利息支払いなど営業外損益が出ますが、ここでは無視します。変動費を売上高で割った比率が変動費率(変動費÷売上高×100)です。

 変動費率はとても大切なので、正しく把握する必要があります。まず、費用項目を変動費と固定費に分類します。経営の安定は、変動費を固定費化することで生まれます。どういうことかといいますと、毎日の仕入れ金額などを予算化しておくのです。クレジットカードの支払い金額も予算化(例えば50万とか)します。つまり、本来変動費なんだけど、固定費化する。

 そしていよいよ限界利益を出します。数式は、固定費÷(1―変動費率)です。

 話を簡単にするため、変動費=材料費として、50万円掛かるとします。

 まず、月の売上が200万円のとき変動率は、
「50 ÷200×100=25%」
固定費が90万であれば限界利益は、
「90 ÷(1―25%)=90 ÷0・75=120万円」
このとき変動費は、
「120×25%=30万円」 固定費は変わらず90万円なので、費用の合計は
「30+90=120万円」
限界利益と同額、つまりプラマイゼロになります。

目標売上高を出してみる

 月に100万円の利益を残したいとします。すると、この100万円を固定費に乗っければいいのです。
「(90+100)÷(1―25%)=190万÷0・75=253・333…」
 つまり、254万売上達成すれば、「よっしゃ100万儲かった!」というわけです。
 経営を計数でつかんでおくと、「いいとき」だけではなく「悪いとき」に手を打ちやすくなります。

阪本啓一

今週の教訓
数字で考えるクセをつけましょう

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
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阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

赤字店を年商20億円に導いた 飲食店開業・経営の成功メソッド

多くの経営者は、事例やテクニックを知りたがります。しかし、経営者として真に必要な知識は、時代が変わろうとも変わることのない経営の原理原則です。経営で成功するには時流に乗ることと、原理原則を守ることの両輪を回し続ける必要があるのです。(本書より引用)

 著者は自分で実際に居酒屋チェーンを経営した経験者であり、現在も複数の事業を経営する現役。だから現場で実際に自分の触った体験が元になった内容なので、非常に役立ちます。
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