2016/04/01発行 ジャピオン858号掲載記事

共感マーケティング

第76回 プレゼンテーションの技術

不の解決を伝える

 仕事は、突き詰めれば、全てプレゼンテーションだといえます。分かりやすいのが営業ですね。何かを売るためには、この商品を使うことでどんなメリットがあるのか、相手の立場に立って説明する必要がある。売る側の理由ではなく、買う側の理由。19年間、建材営業に携わり、独立後は16年間、人さまの前で話をする仕事をやってきた体験から、「仕事は全てプレゼンである」と断言できます。

 うまい営業は、「そうそう、そこんところが困っていたんだ!」と思わず前のめりになってしまう「おいしいツボ」を押してきます。

 昨夜、テレビの通販番組を見ていたら、包丁を売っていました。包丁なんか、どこでも買えます。しかしその包丁は、「くっつかない」のです。特殊なコーティングを施してあるらしく、くっつかない。「レジェンド」と呼ばれるやり手売り子の彼は、まず、普通の包丁でジャガイモを切ります。「もちろんこの包丁でもちゃんと切ることができます。しかし、ほら、包丁の刃に切ったイモがくっついていますね。これは汚れにもつながります」と、言いながら、くっついたイモを包丁の刃に滑らせて少し汚すのです。「今度はこちらの新型包丁で切ってみましょう。ほら、切ったイモがくっつかないです。さっと水洗いするだけで汚れが残らない!これ、切る角度とかじゃないですよ。やってみてください」と、そばにいるタレントに新型包丁を渡す。タレントが切る。「くっつかないでしょう。この包丁は先端を職人さんが手作業で加工しているのです。その上に特殊素材でコーティングしている。だからくっつかない。職人さんの手作業だから、そんなにたくさん作れません。だから普通の包丁と切れ味が…」もうこの段階で、私は買いたくなってしまっています。いくらなんだ?しかし冷静に考えれば、包丁です。すでに家にありますし、そもそも私が包丁を手にすることは…実は、ないのです(笑)。料理できないので。

 つまり、包丁を売りたければ、「これまでなじんだ包丁との違い・便利さ」をアピールする。「不(不満・不安・不便)」の解決をしっかり伝えるのが鍵です。

相手を楽にしてあげる

 建材営業で心掛けていたのは、「商談している目の前の担当者を楽にしてあげる、可能ならこの仕事が彼の好成績につながって、彼が上司から褒められる」ようにしてあげることです。どんな人にも上司はいます。つまり、私(営業マン)が彼にどんなに「いいこと」をアピールしても、その内容を100%上司に伝えてくれるとは限りません。だとすると、彼がそのまま上司に渡して、上司がそれを目にするだけですぐに分かる資料を用意してあげるのです。見積書提出の際、これが重要になってきます。ややもすると見積金額だけの対話になりがちです。「高い、安い」という。しかし本来見積もりは先方が自分で価格を見積もることができないからこちらに依頼しているわけです。つまり、大事なことは、価格の論理的合理的根拠を伝え、納得してもらうことです。だから私は、見積書には必ず施工計画書、中でもこの工事の重要なポイントとそれへの対策について簡単な図面と共に添えていました。どんな物件(案件)にも、ボトルネックとなる部分があります。工事ものなら、工期が遅れかねない困難な施工箇所など。そこへの対策を書面にしてあれば、彼はしっかりと上司に説明することができ、「この担当者は分かってるな」と思ってもらえます。

 ただ金額が高い、安い、という議論は不毛です。法人営業のコツは、担当者を楽にしてあげる、上司に褒められるようにしてあげることです。

阪本啓一

今週の教訓
言いたいことではなく、
相手の聞きたいツボを言う

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

どこでもできるはじめての瞑想

瞑想すると頭の中がクリアになりますが、そうなると、見るもの聞くもの全てがクリアに輝いてきます。それはまるでモノトーンの景色がいきなりフルカラーに変わったような美しさです。(本書より引用)

 瞑想(めいそう)といえば、人生に疲れた人が仕事を捨て、家族を捨て(笑)、山にこもってするものだという印象があるかもしれませんが、全く違います。
 私はこの10年以上、瞑想を日常生活に取り入れ、銀行の順番待ち、信号待ちなど、ちょとしたスキマ時間を利用して瞑想しています。何も部屋を薄暗くしてお香をたいて…といった環境がなくてもできます。頭は放っておくと考えます。たいてい「いいこと」ではなく「心配」なことです。家賃の支払いや、仕事したギャラがちゃんと振り込まれるか、とか…。まだ起こってもいないことに備えようとするのが思考。備えあれば、憂いあり。心を未来に送信してしまって、自分で心配事を作ってしまう。そんな私たちにぴったりの日常瞑想法を、本書では知ることができます。

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