2016/01/29発行 ジャピオン849号掲載記事

共感マーケティング

第67回  本当の休み方

年間休日2日でも元気な理由

 私はワーカホリックで、仕事ばかりしています。自営業者ですから誰にも文句を言われないのをいいことに、早朝から深夜まで。移動の車中でもスマートフォンのSNSアプリを使って、顧客や取引先とメッセージを弾丸のようにやり取りします。そうでなければ本を読んで勉強するか、原稿を書くか。家族と行く映画や観劇も仕事に結び付けます。今週、文楽(人形浄瑠璃の劇場)に行ったとき、「もし文楽のプロデュースをするなら、どうするか」について考えながら舞台を見ていました。ゴルフに行くと、「このカントリークラブを満杯にするブランディングとマーケティング」について仲間と議論します。仕事からすっかり離れて休むのは大みそかと元日の2日だけです。ただ、テレビを見ていても仕事に結び付けていますから、厳密には休みといえるかどうか。

 それでも私は元気です。年齢は57歳ですが、病気一つせず、毎日働いています。その理由は、「毎日休んでいる」からです。私の「休み」というのは休日を丸々1日とって、オフィスから離れるという一般的な休みではありません。それでも、真に休めています。その秘訣(ひけつ)についてお話しします。

自分に集中する

 仕事を始める前に日課にしている儀式があります。まず、呼吸法。次に体幹トレーニング、そして腕立て伏せ50回。このメニューで約40分。横浜と大阪2カ所のオフィスにはヨガマットとトレーニング用のウエアを常備しています。呼吸法は息を鼻から吸って、鼻から吐き出すだけですが、半分目をつむります。このとき、当然、仕事のことが頭に浮かびます。今朝ならこの原稿のテーマを何にしよう、という考えが浮かびましたが、あえてその考えを捨てようとはせず、自分に意識を向けます。自分の呼吸している鼻とか、上下に動く横隔膜とか。そうすると、先ほど浮かんだ考えが脇に追いやられます。体幹トレーニングでも、ただひたすら自分に意識を集中させます。膝を抱えるストレッチのときは自分の膝を持った感触を味わう。腕立て伏せの時は肩の筋肉の動きに。実は意識を集中させるのはトレーニングの成果を上げる意味でも有効だといいます。ポイントは呼吸法から始まるメニューではなく、「自分に意識を集中させる」です。

 読者の皆さんも忙しい毎日を送っていらっしゃることと思います。真面目な人ほど、職場を離れて地下鉄に乗っているときも、つい仕事について考えてしまうはず。「考えるのをやめる」のは無理です。人間、寝ているときはいざ知らず、起きている間はおそらく何かを考えています。だからこそ、自分に集中するのです。

休みとは、仕事について考えるのを休むこと

  そもそも休みとは何でしょう。ある休日、朝から海へ出掛けて、目いっぱい活動して、夜帰宅したとします。これも休みの一つの形ですが、その間、ずっと仕事のことを気に掛けていたら、体は海岸にいたとしても、心は職場にいることになります。つまり、真の意味では休めていないのです。仕事について考えるのをやめる時間こそが休みなのです。しかし人間、考えるのをやめるのは難しい。だからこそ、自分に集中する。私は歩きながら、自分の呼吸のリズムに集中します。歯を磨いているときは、歯茎と歯ブラシの当たり具合に集中します。すると他のことを考えられなくなります。体が疲れるのは心が疲れるから。心をリセットし、再起動するためにも、この休み方を取り入れてみてはいかがでしょう?

阪本啓一

今週の教訓
休み上手になりましょう

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

「忙しい」を捨てる

一番大切なのは、変化しつづけること (本書より引用)

 著者はスリランカ上座仏教の長老。日本語が達者で、著書も多いです。スリランカ仏教は日本人が知っている仏教とは若干違い、極めて合理的で、感情をできるだけ排し、理性で物事を捉え、考えようとします。その姿勢が仕事に役立ちます。著者によれば時間は人間が勝手に作り出した概念に過ぎず、だから「時間に追われる」「時間がない」というのは幻想でしかないと。昨日も明日もない、常に一瞬一瞬を生きる他ない。だから「今に生きる」のが生き方上手というわけです。
 何となく実行していたことですが、この本できれいに整理され、我が意を得たりという思いです。「無常」、つまり永遠というものはなく、常に変化し続けている、という考え方に触れ、あらためて「いつもSomething new」こそがビジネスの要と再認識しました。

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