2019/04/12発行 ジャピオン1013号掲載記事

ハートに刺さるニュース解説

第97回 NY州予算

環境配慮を盛り込む
プラスチック袋禁止へ

年明けに、ペットボトルを買わない、プラスチックバッグ(レジ袋)は受け取らない、と決意した。死亡したクジラの胃に大量のプラスチックゴミが入っていたというニュースが相次いでいる。このままプラスチック製品を人類が生産し続けると、私たちの子供が大人になって次の世代を産む2050年までに、海中にあるプラスチックの量が、海中生物の重さを超えるという。

このような事実を悲観し、環境意識が高いミレニアル(1980年〜2000年代に生まれた世代)はもう子供を産まないとまで言い出している。

ノープラスチック

筆者は、マイボトルやエコバッグを誇らしげに持ち歩いている近所のミレニアルの影響で、「No plastic bottle, no plastic bag」を決めた。少し前から、生ゴミを冷凍庫で凍らせて、ご近所の家庭用生ゴミ入れまで持っていくことも始めた。これも、同じアパートに住む友人が、実行しているからだ。筆者のアパートの管理人は、この生ゴミ入れを設置していないにもかかわらず、皆、隣のアパートまで捨てに行くのも厭わない。

ペットボトルを買わないのは、かなり以前から心掛けていたが、困難なのは出張中だ。水道水が飲めない場所もある。ワシントンのホテルの部屋で、マイボトルの水が切れた際、服を着替えて階下に降りていき、レストランで水をボトルに入れてもらった。これを書いているラスベガスの24時間バーに行って、同じことを頼んだところ、「アルコールを不正に分けているように見えるため、バーの水道から補給するわけにいかない」という理由で、プラスチックカップに注いだ水を自分でボトルに入れさせられた。ペットボトルを買わないためにバーに行ったのに、プラスチックカップを無駄にしてしまうという結果になった。

買わないと決めたら、「お〜いお茶」やオレンジジュースも飲めない。でも、飲みたければ、自宅でボトルに入れていけばいい。昔はそうしていた。ペットボトルは、飲みたいと思ったものをすぐに飲めるという「欲望」が入っていると痛感している。

ニューヨークの取り組み

こうした中、ニューヨーク市のビル・デブラジオ市長は年頭の教書で、年内に発泡スチロールの入れ物を禁止すると発表した。教書を聞いていた観衆から大きな拍手と歓声が上がり、「ニューヨーカーは、意外に環境意識が高い」と驚いた。

引き続いて、ニューヨーク州は、プラスチックバッグを来年禁止することを決めた。4月に承認された2020年度の同州の予算では、小売店がレジ袋を客に提供することを20年3月から禁止する条項が盛り込まれた。同州内の郡が、代替となる紙袋に5セントの税金を課すことを認める条項も含まれている。

こうした措置を取る州は、カリフォルニア州に次いで、米国で2番目となる。ハワイ州では、全郡がレジ袋を規制しているため、事実上全州で禁止していることになる。

ニューヨーク州環境保全局によると、州の住民が使用するレジ袋は、1年間に約230億枚にも上る。ニューヨーク市だけで、1年間に100億枚以上のレジ袋が消費され、これをゴミに換算すれば1700トン。市はこれを州外のゴミ埋立地まで運ぶために、年間1250万ドルを支払っていると推定される(ナショナル・ジオグラフィック誌による)。

ニューヨーク州の予算に盛り込まれた脱プラスチック対策は、日本もできることではないか。日本に帰ると、コンビニエンスストアで渡されるレジ袋の量に驚かされる。ペットボトル飲料の種類や形も、明らかに米国よりもはるかに多い。

ゴミの分別などで、米国ははるかに日本より遅れているのは事実だ。しかし、問題が起きれば、反応は素早い。お子さんがいる読者も多いだろう。ぜひ一考し、「No plastic bottle, no plastic bag」に加わってもらえればと思う。

プラスチックごみは海洋汚染につながるとして削減が急務となっている

津山恵子

津山恵子
■ジャーナリスト。「アエラ」などに、ニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。フェイスブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏などに単独インタビュー。近著に「教育超格差大国アメリカ」(扶桑社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。

今週の用語解説

プラスチック製品の削減

プラスチック製の袋やストローのごみが、海洋汚染や生き物への被害につながっていることを踏まえ、ごみを削減しようという取り組みが強化されている。日本でも外食チェーンやコンビニ、観光業がプラスチックストローの廃止に乗り出し、代わりに紙製に切り替える動きが相次ぐ。そうした需要を背景に国内製紙大手も紙ストローの生産を本格化している。同様に、スーパーなどでプラスチック袋を廃止し、必要なら有料にするといった措置も目立つ。

 

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