2019/02/08発行 ジャピオン1005号掲載記事

ハートに刺さるニュース解説

第93回 トランプの支持率

トランプの型破り手法
「ファン」からは評価

米国史上最長の政府機関一部閉鎖は、ひとまず収束した。

ところが、80万人もの政府職員が、家賃やローンを払うのにハラハラしたにもかかわらず、トランプ大統領に対する米国民の支持率は、あまり変わっていない。トランプ氏の伝統的ではない変わった政治手法が、いかに「トランプファン」と呼ばれる同氏のコアの支持層に支えられているかが浮き彫りになる事実だ。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースの世論調査(1月23〜26日)によると、トランプ氏の支持率は43%、不支持率は54%だった。この数字は、政府閉鎖が始まる前に実施された12月の調査と同じだという。調査はトランプ氏がメキシコとの国境の壁の予算要求を引っ込める2日前、つまり政府閉鎖の最中に行われている。

壁予算要求の撤回は、ナンシー・ペロシ下院議長が率いる民主党の勝利と受け止められている。さらに、トランプ氏の支持率は一時、4割弱、不支持率は6割近くあったが、就任から2年超がたって、政府閉鎖を経験しながらも、低い水準とはいえ上がってきていることが分かる。ちなみに、トランプファンと呼ばれる人たちの割合は、常に3割程度とされている。

遂行能力に疑問も
支持率は下がらず

一方で、矛盾したデータも明らかになった。彼の大統領就任時は、「仕事の遂行能力がある」と答えていた人が46%に対し、「ない」と答えていた人が34%だった。しかし、今ではほぼ逆転し、今回の調査では、トランプ氏に「仕事の遂行能力がある」と答えた人が38%、「ない」と答えた人が46%となった。

お決まりの質問だが、「この国が正しい方向に進んでいると思う」と答えた人は28%と、トランプ氏就任以降で最低。前月からは5ポイントの低下だ。「この国が悪い方向に進んでいる」と答えた人は63%にも上った。これは先月から7ポイントの上昇で、2017年12月以降で最高だという。

大統領の仕事の遂行能力がないという人が多い、しかも、米国が悪い方向に向かっている、というのにもかかわらず、全体の支持率が落ち込まないというのは、今まで大統領として評価すべきとして、調査の質問になっていた項目以外のトランプ氏の「型破り」なスタイルが評価されているとしか思えない。

誤解招くつぶやき
2018年は3倍

「型破り」というのは、スタイルだけにとどまらない。また、主要メディアを「フェイクニュース」「国民の敵」と決めつける誤解を呼ぶ表現を使い続けるだけではない。トランプ氏が大統領に就任してからファクトチェックを日々データ化しているワシントンポストによると、就任から730日で8158回の虚偽かあるいは誤解を招く発言やツイートをした(2019年1月20日現在)。18年中は、1日平均16・5回の嘘か間違った発言があり、17年の5・9回の3倍に達するという。つまり、大統領発信の情報はそれだけ疑ってみなければならないが、それをうのみにする人も多くいるのは事実だ。

米紙ニューヨーク・タイムズのA・G・サルツバーガー発行人は1月31日、トランプ大統領へのインタビューで、大統領が「フェイクニュース」「国民の敵」という言葉を広めた結果、ジャーナリストに対する脅しや攻撃、検閲が世界でいかに高まっているかを認識しているかと尋ねた。この際、ワシントンポストのコラムニストで、トルコのサウジアラビア領事館で殺害されたジャマル・カショギ氏の名前も出した。ポストは、米中央情報局(CIA)が、サウジアラビアのムハマンド皇太子の命令でカショギ氏が殺されたと結論づけたと伝えているが、トランプはこれを認めてない。

サルツバーガー氏の質問に対しトランプ氏は、「ニュースが正しく語られなければ、国にとっては良くないことだ。そして、正直なところ、私は不当な報道の犠牲者だ」と答えた。

ちなみに、米国の現状についてどのように感じるかとの質問に対し、回答者の68%もの人が「ひどい状態」、「困難な時期」など否定的な言葉やフレーズを使った。肯定的な描写はわずか17%だった。

そんな状態の国に住んでいるということを、米国に住む私たちは認識しておくべきだろう。

1月23日にワシントンDCで行われた政府閉鎖への抗議。政府閉鎖は12月22日から始まり、1月25日に一時解除された

津山恵子

津山恵子
■ジャーナリスト。「アエラ」などに、ニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。フェイスブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏などに単独インタビュー。近著に「教育超格差大国アメリカ」(扶桑社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。

今週の用語解説

トランプ氏のツイート

トランプ大統領によるツイートをカウントしているウェブサイト「トランプツイッターアーカイブ(trumptwitterarchive.com)」によると、大統領就任から現在までに3万以上のツイートを行っている。

2月3日付ワシントンポスト紙の報道によると、同日(就任745日)までに、8459ツイートが誤り、あるい誤解を与えかねないツイートであったと報じている。またそのうちの6000ツイートは、就任2年目の2018年につぶやかれている。

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